【初心者向け】エイラビショップでシャドバエボルヴの基本を学ぼう【シャドバエボルヴ】
はじめに
こんにちは!MITOと申します。名古屋GPが閉幕し、今年の大型大会がひと段落しました。皆さんの結果はいかがだったでしょうか?
僕は横浜GP autumnで≪ミッドレンジロイヤル≫、名古屋GPで≪エイラビショップ≫を使用し、いずれもDay1予選落ちという結果でした。
さて、全体としてウマ娘環境(以下:現環境)は≪ウマ娘ミッドレンジ≫、≪ディスカードドラゴン≫の二強環境になりました。これらのデッキは全体的にカードパワーが高く、上振れによる攻め性能が非常に強力なため、間違いなくTier1デッキと言えるでしょう。すなわち、≪エイラビショップ≫を紹介する今回は「最強デッキ紹介!」のようなものではありません。それを前提として、僕が握っていた≪エイラビショップ≫の構築やプレイング、ゲームプランなどを紹介していきたいと思います。
記事を見る前におすすめする動画・記事
≪エイラビショップ≫云々の前に、エボルヴをはじめたばかりという方はflat-工房 さんの動画を視聴することをお勧めします。各クラス共通で重要な基本を勉強することができます。この記事でも同様のことを書いていますが、≪エイラビショップ≫に基づく書き方になっています。
文章で確認したい方はぴ さんのnoteを読むといいです。動画とほぼ同じ内容を文章化してくれています。
記事を書く動機
この項では、筆者がなぜTier1以外のデッキについて記事を書くのかという動機を書いていきます。興味がない方は読み飛ばして全く問題ありません。
環境の多様性を提案する
一般的にTCGの環境変遷は大型大会に依存することが多く、エボルヴもその例に漏れることはありません。事実、直近のGP結果に基づき、前述の二大Tier1は横浜GPと比較して名古屋GPの方が増加しています。このことは、Tier1デッキの結論構築の完成を加速させると同時に、他クラスの研究速度を減速させてしまいます。この状況が続くと環境は固定化され、これからエボルヴを始める人は≪ウマ娘≫か≪ドラゴン≫を握るしかないという状況になってしまうことが危惧されます。
各クラスに魅力があるエボルヴで他のクラスの面白さに触ることが出来ないというのは非常にもったいないことです。そのため、まずは筆者が今環境で一番使用している≪ビショップ≫というクラスにフォーカスを当てて紹介することで、環境の多様性に貢献したいと考えました。
エントリーモデルとしての有用性
カードゲームにおいて、常に攻撃側に立つことは基本的にありません。したがって、防御側の動き方もある程度知っておく必要があり、それを手っ取り早く学ぶことが出来るデッキが≪エイラビショップ≫だと筆者は認識しています。
≪エイラビショップ≫は基本的に防御的な行動が多い「コントロール」というアーキタイプです。今回のデッキ紹介では、「守護の扱い方」、「クイックの構え方」、「クイックの使うタイミング」を学ぶことができます。
今後環境が変遷する中で、コントロールデッキがTier上位に来ることは大いにあり得ます。その時にスムーズにデッキを使うためのエントリーモデルとして、≪エイラビショップ≫を使ってほしいというのが筆者の願いであり、この記事を書く動機となっています。
デッキリスト
デッキを作る前に
デッキを作る上で大事なことを3点上げます。これは、≪エイラビショップ≫に限らず多くのデッキで共通して言えることです。
初動のカードは必ず3枚
「あると便利」なカードは2枚
「使うと気持ちよくなれる」カードは1枚
①は≪ビショップ≫における≪プリズムプリースト≫です。このデッキはいかにスムーズに≪エイラの祈祷≫を設置できるかが勝利に関わってくるため、≪エイラの祈祷≫をサーチするカードは初動に最適です。このようなカードを減らすことはデッキの安定性を損なうことに直結するため、基本的にお勧めしません。
②は進化前2枚、進化後1枚のEVOLVEフォロワー(以下:Eフォロワーと表記)などが該当します。「試合中1回使用すればそれなりにゲームを有利に進められるけど、2回使うかは怪しいな…」となったら2枚に採用枚数を減らしてみましょう。
③はいわゆる「ピン差し・おしゃれピン」と言われるカードです。これらのカードは「使うと非常に強力だが、使えるシーンが限られる」というカード群です。使用することで劇的な勝利につながることが多いのが特徴ですが、カードゲーム初心者にピン差しはお勧めできません。理由として、ピン差しは基本的に構築を歪める原因となりやすいからです。
下のグラフは、ピン差しのカードを引き直し込みで引く確率です。10ターン目でも40 %に満たない確率でしか引けないことが分かります。つまり、ピン差し自体「引けたらラッキー!」くらいの確率で使うカードだということです。ピン差しを増やせば増やすほど、「引けたらラッキー!」に依存するデッキになってしまうため、ゲームプランが歪みやすいと言えます。
さて、ここまでの話をおさらいしてデッキを構築すると、このような順序で構築ができることが分かると思います。
とりあえず使いたいカードを3枚入れる。
1ゲームに一回使うかな?というカードを2枚に減らす。
その過程で1枚になってしまう(使わないことが多い)カードは一度外してみる。
こうしてみると、皆さんが作る多くのデッキは40枚という枠組みの中で
3枚×12種+2枚×2種→14種
3枚×10種+2枚×5種→15種
3枚×9~10種+2枚×4~5種+1枚×2~5種→16~18種
このような構築が多いのではないでしょうか。もし、自分の構築が20種類以上のカードを採用しているということであれば、一度構築を見直すところからスタートしてみると良いと思います。
エントリーモデル
本題となる≪エイラビショップ≫の構築です。今回は偏差が少ない3×10+2×5の構築としました。
詳しいカードの解説は拙稿「ライフで受ける!漢気エイラビショップ」および「note challenge Vol.2対戦レポ」と重複するため、そちらを参照していただけると幸いです。
ゲームプラン
このデッキのゲームプランは大きく分けて以下の3つです。
中盤の盤面を制圧して大型フォロワーで殴る
≪ヘヴンリーイージス≫で2回殴る
相手の戦意を喪失させる(コンシード)
ちなみに、ゲームプランの優先度は上に行くほど高くなっています。防御的デッキであっても殴る意識を持つことは大事です。
①中盤の盤面を制圧して大型フォロワーで殴る
このデッキにおけるメインプランです。≪ディスカードドラゴン≫や≪ロイヤル≫に対して多用します。
≪エイラの祈祷≫によってバフされた大型フォロワーでリーダーを攻撃していくプランです。ここでいう大型フォロワーは体力6以上を指します(※)。
このプランを取る上で重要なことは大型フォロワーをむやみにアクトしないことです。エボルヴはゲーム特性として、スタンド状態のフォロワーを取る手段が限られています。そのため、大型フォロワーをあえてアクトしないことで、相手の行動を「スタンドフォロワーを除去」か「スタンドフォロワーを無視してリーダーを攻撃」の2つに制限することができます。このとき、相手が後者を選択してきたときがターニングポイントになります。
無理やり攻撃してきた相手の盤面を≪ジャンヌダルク≫や≪カグヤ≫を使って同時処理してあげましょう。相手に元からいた大型フォロワーと同時に≪ジャンヌダルク≫や≪カグヤ≫の処理を強要させることが出来ます。≪エイラビショップ≫は一度盤面を制圧すると次々と大型フォロワーを展開することが出来るようになるため、一気に勝利が近づくでしょう。
②≪ヘヴンリーイージス≫で2回殴る
シンプルに見えて実は難しいプランです。≪ミッドレンジウマ娘≫などの回復が乏しいデッキに対してよく使います。
≪ヘヴンリーイージス≫は非常に強力な除去耐性を持つEフォロワーである一方で、そのコストは8+2と重く、回復も行えないため、着地ターンは隙だらけになってしまいます。このデメリットを緩和させる方法は次の通りです。
直前のターンで盤面を制圧する
→≪カグヤ≫や≪ジャンヌダルク≫、≪テミスの審判≫などリーダーを攻撃されても問題ない程度に体力を回復する
→≪ウマ娘≫:16点以上、≪ディスカードドラゴン≫:13点以上
なぜ≪ウマ娘≫に対して16点以上が必要かというと、後攻のときに
この流れが最も負けパターンとして多いからです。逆に言うと、16点以上の体力があれば、オグリキャップは1回しか使えないために回復を多用して逃げ切ることが出来ます。ちなみに、先攻の場合は8ターン目にポンと置くだけで済むため、案外簡単に着地できたりします。着地後に特殊進化から≪テミスの審判≫や≪破邪の光≫で攻撃を貫通させていきましょう。
③相手の戦意を喪失させる
このプランはコントロールというアーキタイプ特有のプランです。主に攻め意識が強めな≪ディスカードドラゴン≫や≪アグロナイトメア≫、実はドローソースが少ない≪コントロールナイトメア≫、特定の勝ち方を前提に動く≪薔薇エルフ≫や≪超越ウィッチ≫に対して使います(※)。
極端な話ですが、エボルヴの多くのデッキにおいて、瞬間打点の現実的な上限はデッキによってある程度決まっています(ディスカードドラゴン:フォルテE×2+オグリキャップ×1+樫本×2=30点など)。それ以外は盤面に残ったフォロワーで攻撃する必要があります。≪エイラビショップ≫は盤面の除去に優れており、徹底的な除去を意識すれば、ほとんど盤面を撃ち漏らすことはありません。したがって、≪ディスカードドラゴン≫に対しては「体力を30点以上にすればだいたい負けない」という状況ができてしまったりします。この状態になった場合、≪ダークエンジェル・オリヴィエ≫でハンデスを選択したり、≪カグヤ≫で≪冥府への道≫を同時使用したりしてハンドリソースの差を広げていきましょう。そうすることで、相手を勝つプランを全て行使してもこちらの体力が削り切れない=勝てないという状況に追い込むことが出来ます。十分に相手を弱らせたら、再びゲームプランを①または②に戻していきましょう。
各ターン毎にやりたいこと
先攻の場合
1ターン目
≪プリズムプリースト≫を置きます。以上です。
…と言いたくなるくらいに初動は≪プリズムプリースト≫に依存します。基本的に≪エルフ≫以外には置いて構いません。≪ウマ娘≫では≪見習い魔女と長い夜≫、≪ドラゴン≫では≪ブレイジングブレス≫を使われることが裏目ですが、撃たれた場合でも1対1交換なので割り切ってしまいましょう。
≪エルフ≫相手に置くことは≪ベビーエルフ・メイ≫の存在があるためにお勧めしません。できる限り直接≪エイラの祈祷≫を探す引き直しをすると良いでしょう。
次点で≪ベルエンジェル≫を置くことはありますが、≪ロイヤル≫対面以外にはアクトする必要はありません。
2ターン目
1ターン目にプレイした≪プリズムプリースト≫を進化させましょう。
サーチするアミュレットは基本的に≪エイラの祈祷≫です。手元に≪エイラの祈祷≫が既にある場合、≪冥府への道≫をサーチすることも検討しましょう。判断基準としては、以下の通りです。
≪ベルエンジェル≫や≪メジロドーベル≫、≪レディアンスエンジェル≫がある場合はハンドリソースに余裕があるため≪エイラの祈祷≫
ハンドリソースがない場合は≪冥府への道≫
進化した≪プリズムプリースト≫ですが、攻撃しない選択肢を検討しましょう。
例えば、仮想敵の≪ウマ娘≫デッキは2ターン目に≪スペシャルウィーク≫をプレイすることが多いです。≪スペシャルウィーク≫は進化することが可能なEフォロワーで、そのスタッツは3/3です。つまり、2ターン目に≪プリズムプリースト≫で攻撃してアクト状態になっていると、一方的に破壊されてしまいます。このような不利交換が見込まれる場合は、できるだけ攻撃しない方が良いでしょう。
≪エイラビショップ≫というデッキはフォロワーが盤面に残ることに価値があるため、一度出したフォロワーはできるだけ不利交換されないようにしましょう。
3ターン目
サーチした≪エイラの祈祷≫を設置しましょう。ほぼすべての対面でこれが最適択です。
≪エイラの祈祷≫がない場合、≪メジロドーベル≫出走や≪冥府への道≫など、3PPでやれるプレイをとりあえずやってしまいましょう。≪冥府への道≫は3点自傷のデメリットがありますが、このデッキにおいて3点の自傷は些細なものなので気にせずにプレイしてOKです。
4ターン目・5ターン目
≪エイラの祈祷≫が設置できている場合、積極的に回復効果を持つフォロワーをプレイしていきましょう。理想ムーブはそのターン中に使えるコストをぴったり消費できるフォロワーです。いずれも体力が6以上の大型フォロワーにサイズアップするため、相手に難しい処理を押し付けることが出来ます。
ゲームプラン①でも紹介したように、むやみにアクトしないことがポイントです。当然リーダーを攻撃されてしまいますが、このデッキにおいて体力は最も補充しやすいリソースであるため、度胸で受けていきましょう。
≪ダークエンジェル・オリヴィエ≫のチョイス効果は柔軟に選択できるゆえにプレイ難易度が少し高いです。エイラ条件下では基本的に回復効果+何かを選択すると考えてください。以下に選択基準を設けてみました。参考にしてみてください。
≪カグヤ≫とアミュレットがセットで手札にある
→EP獲得(6t早期着地or7t1PP構え)≪ガーディアンシスター≫と≪エイラの祈祷≫がセットで手札にある
→EP獲得(6tエイラ2枚着地が可能に)≪冥府への道≫が手札にある
→相手のセルフハンデスを選択(リソース差の増大。こちらがリソース過多にならないように相手を削る)それ以外
→ドロー(いつでもベターな択)
6ターン目・7ターン目
基本的には相手盤面を制圧する時間帯です。強力な除去性能を持つ≪ジャンヌダルク≫や≪カグヤ≫で盤面を制圧していきましょう。
5ターン目に≪ダークエンジェル・オリヴィエ≫でEPを取得している場合、6ターン目に≪カグヤ≫をプレイすることが可能になりますが、≪ジャンヌダルク≫がある場合はそちらでの処理を優先しましょう。理由として、7ターン目に≪カグヤ≫をプレイするとき、EPを使用することで1PPを余らせることができるからです。この1PPは≪エイラビショップ≫において非常に重要です。詳しくはクイックタイミングについての項で解説します。
≪カグヤ≫で展開するアミュレットは、自分の盤面にフォロワーが残っているのであれば≪エイラの祈祷≫を優先し、より強固な盤面を作り上げることが望ましいです。盤面を制圧してしまえば、≪冥府への道≫は後からでも使うことが出来ます。
盤面制圧と同時に、6,7ターン目は2枚目のアミュレットを展開することができる時間帯でもあります。先ほどの≪カグヤ≫を使うことが最も簡単な展開方法ですが、いつでも≪カグヤ≫を使えるとは限りません。≪メジロドーベル≫や≪ガーディアンシスター≫といった小型回復と合わせて出すという方法も覚えておくと良いでしょう。
8ターン目以降
基本的に6,7ターン目と同じ制圧を繰り返し、相手がこちらの盤面を処理しなければならない状態を維持しましょう。相手が息切れするか、盤面をリセットする動きを取ってくるはずです。お互いの盤面が更地になったシーンは≪ヘヴンリーイージス≫の降臨チャンスです。このカードがスムーズに置けた場合、ゲームの終着に大きく近づくことができます。
着地後は≪テミスの審判≫や≪破邪の光≫といった確定除去によって確実に大型打点を叩き込んでフィニッシュです。
後攻の場合
後攻の場合、基本的にEP分だけターン数が繰り上がるイメージです(先攻4ターン目→後攻3ターン目、先攻7ターン目→後攻6ターン目など)。
ここで一つ重要な問題が生じます。先攻3ターン目で設置していた≪エイラの祈祷≫はいつ置けばよいのでしょうか?
答えは「無理して置かない」です。≪エイラビショップ≫はライフリソースの確保に優れている一方で、序盤の横展開を処理する手段は少ないです。≪エイラの祈祷≫の安易な設置は相手の横展開を加速させてしまうため、より多くのダメージを受けてしまします。早めに設置したいという思いをグッと我慢して、盤面のトレードを徹底することが重要です。
では、中盤の辛い展開を乗り越えた後どうするのか。≪ビショップ≫の伝家の宝刀、≪テミスの審判≫で盤面をリセットしてしまいましょう。
ここで、初めて先攻の6,7ターン目にやりたいことに合流できます。すなわちアミュレットの設置タイミングが訪れたわけです。ここからは粘り強く得意な盤面制圧を行っていきましょう。
プレイングまとめ
先攻は3ターン目に≪エイラの祈祷≫を設置し、ゲームプラン①を押し通す
後攻は無理に≪エイラの祈祷≫を設置せず、≪ジャンヌダルク≫や≪テミスの審判≫で盤面リセットを行ってから先攻のプレイングに合流する
クイックの使い方
クイックはエボルヴで唯一相手ターン中にできる行動です。PPコストやアクトなどを起動条件としています。相手ターン中に使うため、ほとんどが相手の行動を阻害する盤面干渉系のカードです。
さて、ここでこのデッキのクイックスペルを確認してみましょう。
3種類のスペルがありますね。では1つ問題です。
この中でクイックスペルとして最も強いカードはどれでしょう?
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正解は≪ダークオファリング≫です。
≪ダークオファリング≫
≪ダークオファリング≫は自分の盤面のカード1枚の破壊をコストとしてリーダーを3回復し、1枚ドローします。
盤面のカードを自壊する効果はデメリットに感じますが、このデッキにおいてデメリットになることは少ないです。理由は、盤面に仕事を終わらせたアミュレットがあるからです。
6,7ターン目にやりたいプレイを思い出してみてください。≪カグヤ≫を使って盤面を制圧するという動きでしたね。≪カグヤ≫はファンファーレで3コスト以下のアミュレットを出すことができ、この効果で≪冥府への道≫をプレイしながら進化すると、エイラ条件下7/6/6【突進】(交戦ダメージ無効)3点×2の盤面火力+3ドローという意味不明なパワーカードとなります。とても強力な動きである一方で、盤面に展開した≪冥府への道≫はこの時点で仕事が終わっています。展開後はただの置物となり、盤面を無駄に圧迫してしまうカードとなってしまいます。
ここで≪ダークオファリング≫を≪冥府への道≫に使うと、盤面圧迫を解消しながら体力を回復することができるのです。そして、このカードを使うタイミングは相手ターン中であるため、相手ターンにもかかわらず≪エイラの祈祷≫のターン1回誘発条件を満たすことができます。相手ターン中に1コストで≪エイラの祈祷≫を起動させられる≪ダークオファリング≫は、クイックスペルとして破格の性能を持っていることが分かります。相手ターン中のスタッツ変動は、相手の処理プランを大きく崩すことに繋がります。
では、≪冥府への道≫をプレイしなかった場合はどうすればよいでしょうか?
この問題も≪カグヤ≫が解決してくれています。≪カグヤ≫の進化時に生成されるトークンアミュレット≪うたかたの月≫は、次の自分のメインフェイズに消滅するという自壊効果を持っています。このアミュレットが永続で残ると≪カグヤ≫がぶっ壊れになるためだと思われます。しかしこのアミュレット、効果は自分のターン中でしかはたらきません。すなわち、自分のターンが終わったら自壊を待たずに壊してしまって構わないのです。
プレイングの面で1PPを残すことが重要だと書いたのはこれらの≪ダークオファリング≫を絡めたプレイを成立させるためです。
ここまでの話をまとめると、≪ダークオファリング≫の基本的な使い方は以下の通りです。
≪ダークオファリング≫は相手ターン中にアミュレットに使うのが基本
≪冥府への道≫は後々邪魔になるため、割れるときに割る
≪冥府への道≫がなければ≪うたかたの月≫を割る
少し古い動画ですが、実際にその動きをしている部分を抜粋しました。筆者が知る限り、実戦で≪エイラビショップ≫が対戦している唯一の動画です(2022/11/10現在)。
≪エンジェルスナイプ≫
他のクイックスペルも解説していきます。エンジェルスナイプは取り回しの良い除去スペルで、痒い所に手が届くカードです。
≪ジャンヌダルク≫や≪カグヤ≫の除去ラインで届かない部分に使うことで盤面の優位を取り返すことができます。
他のクイックスペルの採用候補として、≪漆黒の法典≫や≪烈火の魔弾≫がありますが、≪エンジェルスナイプ≫を採用した理由は≪ダークオファリング≫と同じコストだからです。≪漆黒の法典≫や≪烈火の魔弾≫をクイックで撃とうとすると2PPを残さなければならないですが、≪エンジェルスナイプ≫であれば≪ダークオファリング≫と同時に構えることが可能です。相手の盤面が強くなければ≪ダークオファリング≫、次の盤面処理に不安がある場合は≪エンジェルスナイプ≫と柔軟に対応しましょう。
≪破邪の光≫
実はクイックスペルとしてはあまり強くありません。理由はコストの重さにあります。
このデッキにおいて何かアクションを起こしながら4PPを残すという行動は非常に難しく、できたとしても7ターン目以降になることがほとんどです。これらの時間帯は≪ジャンヌダルク≫や≪カグヤ≫で多面処理を行うターンであり、≪破邪の光≫の単体除去では力不足であることが多いです。
では、このカードをクイックとして強く構えられるシーンはいったいいつになるのでしょうか。それは≪ヘヴンリーイージス≫を設置した後です。
≪ヘヴンリーイージス≫の破壊耐性を利用し、≪テミスの審判≫で一方的に盤面を破壊した後、残ったコストで≪破邪の光≫を構える動きは非常に強力です。理由は単純、≪ヘヴンリーイージス≫サイズのフォロワーを倒すことのできるフォロワーで、≪破邪の光≫を避けることができるのは≪ヘヴンリーイージス≫のみだからです。
≪破邪の光≫はこの勝利の方程式でのみ、クイックスペルとして圧倒的信頼感を持ちます。それ以外のシーンでは基本的に自分のターン中に使用して構いません。通常のカードとして強いことは間違いありません。
クイックまとめ
クイックは効果的に使えるタイミングで使う
大きいクイックを構える行動はそこまで強くない
この2点を意識することで、クイックを構える方がよいのか、あるいはコストを使い切って盤面を強化したほうがよいのかを効果的に判断できるようになります。このコストの使い分けの感覚は、≪ドラゴン≫や≪ウマ娘≫などのクイックが搭載されたデッキを使う際に応用できるでしょう。
コラム≪ベルエンジェル≫
ゲームプランおよびクイックでも書かなかったカードとして、≪ベルエンジェル≫があります。
このカードは余ったコストでくっつけましょう。クイックを構えるには効果的でない(≪ダークオファリング≫の撃ち先となるアミュレットがない等)タイミングではこのカードを置いてPPを使い切ってしまって構いません。
注意点として、安易な【守護】状態は避けましょう。基本は「【守護】がないと【疾走】で負けてしまう」、「【守護】を持たない大型フォロワーが横にいる」といった限定的なシーンで【守護】状態にしてください。≪エイラの祈祷≫で強化された≪ベルエンジェル≫は、思った以上に相手の処理に負荷をかけてくれます。
採用候補カード
≪エイラビショップ≫の基本的な使い方に慣れたら、これらのカードの採用を検討してみるといいでしょう。一部のカードは過去の記事で紹介しているため、省略します。
≪気高き教理≫・≪その背中を越えて≫
いずれも序盤の安定化に貢献します。このデッキはよくも悪くも≪プリズムプリースト≫に序盤の行動を依存しているため、その依存度を軽減できるカードは貴重です。「うまく≪エイラの祈祷≫を着地できない」、「マリガンに不安がある」という方は≪ベルエンジェル≫や≪エンジェルスナイプ≫と入れ換えてみましょう。
≪[共に同じ道を!] 桐生院葵≫
≪メジロドーベル≫が既に出走している場合はドローソース、出走していない場合はバフカードとして使用できるカードです。少し癖が強く、役割が複雑になりやすいため、採用候補ということにしてあります。守護であり、ドローソースなので、≪ベルエンジェル≫や≪冥府への道≫と1枚差し換えるくらいが妥当かと考えられます。
≪ヒーリングエンジェル≫
個人的な激推しカードです。このデッキの弱点として、回復の起動には進化が必要であるという点があります。そして、2-1枚採用しているEフォロワーは一度使うと進化後が種切れになるため、回復カードとして機能しなくなってしまいます。≪ヒーリングエンジェル≫はファンファーレ能力で回復するため、進化を使い切った場合でもエイラ起動のカードとして扱うことができます。また、エイラのバフを受けた後は進化前でも3/5という絶妙に取りずらいスタッツとなります。入れ換え候補は同じく2-1枚採用の≪レディアンスエンジェル≫です。
≪ゴールドシップ≫
使うと気持ちよくなれるカード代表です。ネタカードとされがちなこのカードですが、このデッキだと意外にも悪くないフィニッシャーです。デッキリストで張ったマナカーブをもう一度見てみましょう。
このデッキはマナカーブが中央付近にまとまっており、約7割程度の確率で3点以上の回復が見込まれます。また、低コストのカードは序盤で使うカードでもあるため、マリガンを含めて引いている確率がそれなりに高いです。したがって、「飛び道具を飛ばしながら」、「エイラ効果を起動して」、「大型フォロワーを設置する」というこのデッキでやりたいことを1枚で完結してくれます。
入れるとしたら1枚採用くらいが無難かと思われます。何かの代替となるカードではないため、ある程度構築を歪める覚悟が必要でしょう。
対面相性
基本マリガン
基本はシンプルで、≪プリズムプリースト≫や≪エイラの祈祷≫を探しに行くマリガンです。これらのカードが見えたらキープでいいでしょう。
例外として、後攻で≪テミスの審判≫や≪ジャンヌダルク≫が複数ダブった場合はキープも検討しましょう。プレイングの項でも話した通り、どこかでリセットタイミングを設けないとジリ貧になってしまうため、これらのカードを引く確率が極端に低くなるマリガンは避けた方がいいでしょう。
≪ディスカードドラゴン≫
微有利
先攻推奨
リーサルライン・・・10点(+竜巫女の枚数×2)
2ターン目の≪プリズムプリーストE≫は攻撃してOKです。理由は相手の2ターン目の最適行動は誰が何と言っても≪竜の託宣≫だからです。ここで2点を詰めておくと、相手が≪竜巫女の儀式≫で回復する1点を2回まで誤差にすることができます(こちらのゲームプランが5の倍数で殴ることを基本としているため)。
ゲームプランは①を基本として、攻め切れない時は③に移行してじっくりと相手を弱らせましょう。通常、≪ダークドラグーン・フォルテE≫は強力な攻撃で常にケアを必要としますが、このデッキに置いてはそこまで脅威ではありません。≪ジャンヌダルク≫で隣に立っている(ことが多い)≪ドラゴンウォーリア≫と纏めて吹き飛ばしてしまいましょう。
≪ウマ娘(ミッドレンジ)≫
五分~微不利(先攻有利)
先攻推奨
リーサルライン・・・16点(ウオウオスカ迫る熱+α)
必ずリセットタイミングが生じる対面です。≪テミスの審判≫は大事に使いましょう。本当に≪テミスの審判≫を使うべきか、≪ジャンヌダルク≫+≪エンジェルスナイプ≫で処理することができるのかをよく考える必要があります。
思い切ってライフリソースを犠牲にして効率の良い≪テミスの審判≫を使うこともあります。「死なねば安い」を合言葉にすることがこの対面で重要なことです。
相手の回復が少ないため、ゲームプラン②を意識します。都合よく≪ヘヴンリーイージス≫引けるとは限りませんが、これ以上木偶の坊を増やす枠はないためしょうがないです。
≪ウマ娘(7 cmコントロール)≫
微不利~不利(先攻有利)
先攻推奨
リーサルライン・・・5点(ナリタブライアン)
≪シーキングザパール≫や≪ファインモーション≫が見えたら要注意です。相手がゲームプラン③と同じようなプラン(7cmプラン)を取っているため、こちらが攻撃側になるからです。積極的にリーダーを攻撃して、≪ヘヴンリーイージス≫降臨の隙を作っていきましょう。
最近になって、手札を捨てる特殊召喚を使わない進化前≪ヘヴンリーイージス≫で殴るプランがそれなりに強いことが分かってきました。ハンドリソースを大事に柔軟に戦いましょう。
余談ですが、対戦開始前にデッキ枚数を聞くことで判別できることがまれにあります。
≪白銀エルフ≫
微有利~五分
先攻推奨?あまり影響しない
リーサルライン・・・8点(白銀の矢単体)、以降1PP増えるごとに+2
名古屋GPで一気に注目度が上がったデッキです。クイックタイミングを介さないフィニッシャーである≪白銀の矢≫が非常に強力です。
その一方で、既存の≪薔薇エルフ≫よりも盤面展開の要求値が高く、一度更地にされると盤面を再形成できないという脆さもあります。
序盤の猛攻を耐えて一度リセットタイミングを設けることができれば、ライフリソースを確保し続けることで相手の除去リソース切れを迎えることができます。
基本ゲームプランは③です。相手があきらめるまで回復し続けましょう。最悪≪エイラの祈祷≫がなくても勝てます。
今環境で良く見られるデッキを中心に紹介しました。ご要望があれば、コメントやDMで教えてください。書ける限り書きたいと思います。
終わりに
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
≪エイラビショップ≫の基本的な扱い方はこの記事でまとめることができたと思います。
また、今回の冒頭でも書きましたが、このデッキの要素は他のクラスにも応用できます。具体的には以下の通りです。
サーチ→ロイヤル
守護のアクトアクション→ドラゴン・ウマ娘
クイックの構え方→ドラゴン・ウマ娘・ウィッチロイヤルの疾風怒濤
ダークオファリング→ナイトメア(ソウルコンバージョン)
ゲームプラン③→7 cmコントロールウマ娘
そして、コントロールデッキで最も重要なことは「相手を知る」ことです。相手のリーサルラインを知らなければ、対策を練ることは不可能です。したがって、≪エイラビショップ≫で勝てるように努力することは、他のクラスの使い方に精通することに繋がります。
もし、≪エイラビショップ≫に飽きたときは、遠慮せず別のデッキを使ってみてください。不思議なことに≪エイラビショップ≫を使う前よりも理解度が上がっているはずです。
筆者自身もまだまだ改良ができるのではないかと考えているデッキです。ぜひ皆さんの改良を聞かせてください。コメントやTwitterなどできるだけレスポンスしていきたいと思います。
それでは、新環境でお会いしましょう!
参考文献
≪ヘヴンリーイージス≫搭載型エイラビショップのひな型(いなしエイラビショップ)とその解説動画
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