白昼夢(温ティッシュ編)
今日はティッシュを温めたいと思います。
えっティッシュを温めるんですか?
そうですよ。
一体なぜ…。
あなた、買い物の帰りにこう思ったことはありませんか?
今日はアイスを買ったから早く帰ろう、ああ、でも道が混んでいる、こんなときに限って外は暑いし、この時間でアイスの寿命が縮まっている気がする…。
と。
まあ、アイスに限らずありますよ。
寒い日にマックをテイクアウトする時もそうじゃないですか?せっかくポテト揚げたてで注文したのに、吹き荒ぶ風でポテトが冷めていっている…と感じませんか?
それはテイクアウトせずにお店で食べれば良いのでは…?
私はお店でご飯を食べるのは苦手です。できればやりたくありません。
はあ…。
そこで、です。ティッシュを温めましょう。
どうしてそこでティッシュなんですか。
不服ですか?実は温めるのではなく、冷ましてもいいのですが。
どっちでもいいですよ。どうして温めたり冷たくしたりする対象がティッシュなんですか?
…ティッシュが温かいと…
?
ティッシュが温かいと、なんか、良さそうじゃないですか?
?
刷りたてのコピー用紙ありますよね?
?はい…。
あれが温かいと、なんか嬉しいでしょう。
まあ…嬉しくは…?どうかな、温かいなあとは思います。
それならティッシュを温めるべきですよ。
どうしてですか?
コピー用紙は温かくても、その温もりを活用することはできない。でもティッシュが温かいとどうなると思いますか?
ティッシュが温かいなあと思うと思います。
それって嬉しいですよね?
?うーん、まあ、百歩譲って、鼻をかむときとか、ティッシュが温かかったら快適そう?とは思うのですが、温める手間に対してティッシュを使う時間というのはいささか刹那的すぎやしませんか?
良い着眼点ですね…!でも、刹那的だから良いんですよ、一瞬でなくなるものにあえて重きを置く。奨学金でパチンコするほうが燃えるのと一緒です。
それはどうでしょう…。まあ、どうせ一回しか着ないような成人式の着物に高いお金を出す感じでしょうか?
それはちょっとわからないですね。
ええ…。
とにかくやってみましょう。鉄は熱いうちに打て。ティッシュは熱いうちに食えですよ。
食べるんですか?
…!!
えっ?
…そうですよ、食べることもできるじゃないですか!!良いことを言うなあ!
ティッシュを食べるのは一般的じゃないですよ。
しかし食べられるでしょう。色んなメーカーのティッシュを食べ比べてみた人は聞いたことがあるが、ティッシュの温度を変化させて食べた人は聞いたことがない、これは大発見に繋がるかもしれないですよ。
僕は食べないですよ…。
食べないんですか!勿体無い。まあ、君が帰ってからこっそり温ティッシュを食べても誰も咎めませんよ。
もう温(ぬく)ティッシュと呼んでるんですね。
語感が良いでしょう。ところでお蕎麦屋さんで温かい蕎麦を注文する時、あったかい方で、とか温かい蕎麦くださいって言いますけど、ホットで、とは言わないのはなんででしょうね?
もうさっさとティッシュ食べて終わりにしましょう。どうやって温めるんですか?
うん、色々考えたんだけどね。電気毛布、あれがいいね。
電気毛布?なぜわざわざ?
ティッシュだからね、水分を含んでしまうような温め方はできないだろう?電気毛布ならティッシュがびしょびしょにならないし、それなりに高温にもできる。知ってるかい?電気毛布には丸洗いできるものがある、衛生的だ。
うーん、最終的に食べることになっちゃいましたからね、鼻をかむくらいだったら抵抗はないですが、電気毛布で温めるのは少し埃っぽくなりそうなイメージがあります。
食べるのはティッシュだよ。四角い埃みたいなものじゃないか。
ティッシュのことそんなふうに思ってるんですか。
あっ早くしないと電気毛布が買いに行けなくなるぞ。意外と売ってないんだこれが。この時期だったら無印良品にもあるか、いや、ないかもしれない。このままだと冷ティッシュを食べる羽目になるぞ。
冷(ひや)ティッシュ…どちらかといえば常温では…。
こんなに寒いんだ、冷ティッシュだろう。アイスティッシュかもしれない。アイスティッシュってなんかメイク道具の名前みたいだな。
もう、電気毛布買いに行けばいいんでしょう!こんなしょうもないこと言ってないで早く行きましょう!!
(そして2人は無印良品にきた。が、電気毛布は時期的にもうなかった…。どうしても電気毛布で温めたティッシュが食べたい、というこだわりのため、もう今季温ティッシュを食べることはできないのだった。2人は無印良品の養生鍋の素を買って帰った…。一番温ティッシュを食べるのに近い食べ物な気がした。帰って、食べてみると、なんとも言えない味で、そう、ティッシュを食べた時のようなそんな気持ちになった…2人はもやしをポリポリ食べながら、この中にティッシュを入れるのもありかもしれないな…と思うのであった。)