見出し画像

だんなの語る「桃太郎」が面白すぎたので書き残しておく

だんなが息子を寝かせるために語った桃太郎が、面白かったので忘れないうちに書き残しておきます。(妻ばか)

むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。

おじいさんが山に芝刈りに行くと、桃の木がありました。
持って帰っておばあさんに食べさせてやろう、と桃の木を切ろうとすると、桃が落ちました。
それが108個の小さな桃に分かれ、ころころと山を下り、川に流れていきました。

川で洗濯をしていたおばあさんはそれを見つけ、持って帰っておじいさんと食べようと喜んだ。

が、桃を拾おうとした瞬間、桃はおばあさんの周りにまとわりつき、おばあさんを覆ってしまった。
そして一人の若者になった。
桃からできたので桃太郎と呼ぼう。

桃太郎はおじいさんの家に行き、ひとりでお茶を飲んでいた。
しばらくしておじいさんが帰ってきて、
「誰だおまえは!おばあさんはどこだ?」と驚き叫んだ。

桃太郎は動じず
「うるさい、さっさとメシをよこせ!」とドスの効いた声で命じた。
恐ろしくなったおじいさんは三日三晩、大量のメシを用意し続けたが、過労でとうとう死んでしまった。



桃太郎は「メシがないならこんなところにいても仕方ない」と鉢巻きをギュッと締め、旅に出た。

桃太郎が歩いているとキジを見つけた。
「キジ鍋にして喰ってやる」
桃太郎が崖下に追いつめると、
「命だけはご勘弁を。なんでもしますから」とキジは命乞いをした。

「それじゃあ今すぐメシを持ってこい」
桃太郎の命令で、キジは慌ててメシを探しに行った。

するとサルが柿を食べようとしていた。
キジはその柿を奪い、桃太郎に持ち帰った。
「遅いんだよ」と桃太郎は柿をむんずと掴むとあっという間に食べた。

そこに柿を奪われ怒ったサルがやってきたが、桃太郎はサルもむんずと掴んだ。
「今すぐメシを持ってこい」

サルは
「わかりました、柿をいっぱい持ってきます」
といった。
「柿はもう喰ったからいらん。キビ団子を持ってこい。さもなくばおまえらを喰う」

桃太郎の命令にキジとサルは恐れおののき、キビ団子を探しに出掛けた。

キビ団子は鬼ヶ島にあると聞きつけたサルとキジ。鬼ヶ島が見える浜辺までやってきた。

そこに鬼退治のため、犬かきで鬼ヶ島を目指そうとしているイヌを発見。
仲間のふりをしてイヌの背中にサルとキジは乗せてもらう。

イヌは必死に泳ぎ、どんぶらこっこどんぶらこと進んでいった。
やっとのことで鬼ヶ島に着いた時、イヌは疲れ果てていたが、サルとキジは平気だった。

イヌは体の水気を飛ばすため身震いをし、サルとキジは桃太郎の恐ろしさを思い出し身震いした。

岩の隙間から覗くと、鬼たちはちょうどキビ団子を作っているところだった。

サルとキジは考えなしにその場に突っ込み、両手いっぱいキビ団子を盗んだ。
鬼たちが怒りあとを追ってくる。

状況が理解できないイヌの背に乗り、またもや犬かきで浜辺まで泳がせた。

そのころ桃太郎は「あいつら遅すぎる」と苛立ち、周囲の物を破壊してまわっていた。

「キビ団子、持ってきました!」
サルとキジが命からがら戻ってくると、
「このノロマどもめ」
と桃太郎はキビ団子をむんずと奪いとり、あっという間に食べてしまった。

その時、
「サルとキジ退治だ!」
「キビ団子を返せ!」
と追ってきた鬼たちが集まってきた。


「キビ団子はオレが喰ったからもうない」
桃太郎が悪びれもせずそう言うと
「なんだと!桃退治だ!」
と怒った鬼が、桃太郎をめがけてこん棒を振り下ろした。

すると、桃太郎はパッカーンと真っ二つにわれた。
それからパラパラと崩れ、小さな桃が大量に地面に落ちた。
そして中からおばあさんが出てきた。
おばあさんからは後光が差していた。

鬼たちは
「桃退治ができた!」
とおばあさんを抱えて帰っていった。

めでたし、めでたし。

***

という話をだんなが即興で語ってくれました。
時々自分で笑い転げながら。

私は途中から夢中になり、おお!そこでどんぶらこを使うか!などワクワクしながら聴きました。
寝かしつけの話をしてもらうなんて、いつぶりだろう。
その場で話ができてくいくってすごくエキサイティングな体験。

だんなの声色や間のとりかた、そもそも語り口も違うので読むだけで面白いかは微妙だけど、それでも出来るだけ残しときたかった。

ちなみに長男はすぐに飽きて、次男と走り回って遊んでいました。
我々両親は子供二人をほったらかしで桃太郎に夢中になっていたという、おばかなお話。


サポートいただいたら、飛び上がって喜びます。 いただいたお金はサポート、本の購入、noteのネタになる体験に使います! ちょっぴり息子とのおやつに使っちゃうかも。