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ありがとう、阿鼻叫喚バス

3歳息子の幼稚園初日のバスに乗るまで顛末記。

朝、息子の機嫌を損ねないよう細心の注意を払う。テレワーク初日のだんなが息子をからかいカッとさせる事件があったが、なんとかつつがなく朝の準備を終える。

バス停まで徒歩2分くらい。余裕を持って15分前に出発。桜は満開で花壇は色とりどりのチューリップ。カラッと青空で最高の春の日。

ああ、コロナのことさえなければ、と何度もざらっとした気持ちになる。

「やっぱかあちゃんとずっといたい、いっしょにこうえんいこー」
ぶつぶつ言う息子に 「あ!あっちにわたげがある!」と気を散らしてなんとかバス停まで到着。このバス停では息子しか乗る人がいないので、当然待ってる人も誰もいない。

「かあちゃん、だっこ!だっこ!だっこして!」閑静な住宅街であまり騒がれてもと思い、抱っこする。背中には10ヶ月次男を背負っているのでなかなかにきつい。二人合わせて24キロ。
しかもバスがなかなか来なくて10分以上経った。

「ずっとだっこしててね、ずうっとだよ。よるになって、あさになって、またよるになってもずうっとかあちゃんここでいてて。いっしょにいよ」

だっこされてたせいか息子は泣き叫ばなかった。それでも延々と自分の使える言葉でこちらを説得しようとしていた。
それを半分切なく、半分げんなりしながら聞いていた。
バスに乗ってくれるだろうか、ギャン泣きで抵抗して乗せられなかったらどうしよう、不安と緊張が募る。

突然にバスが来て、ドアが開く。高齢な園長先生ともうひとり若い女の先生がいた。

ギャン泣きし、抵抗しようとする息子。

が、その矢先にひょいっとバスの中に運び込まれ、ドアが閉められた。

あまりに一瞬で私も何が起きたか飲み込めなかった。

窓越しに怒り狂ってる息子が見える。他にも泣いてる子が何人も。かなりの阿鼻叫喚な光景だった。

よろしくお願いします!と挨拶をしてる間に阿鼻叫喚バスはさっさと行ってしまった。あまりに呆気なかった。帰り道は軽すぎて変な気がした。


そして少しして徒歩通園のママ友から目撃情報をもらう。
ちょうど園バスが止まったところを見たら、息子は窓辺の席でギャン泣きしてたらしい。ウケる〜と思って手を振ったが無視されたとのこと。

さらに園長先生がもうこりごりという感じで降りてきたそう。息子の耳に痛いつんざく声をずっと聞かせてしまったかと思うと申し訳ない…。

しかしバスに乗せる手際の良さには心底驚いた。プロの技だった。いつでもあの園バスと先生らは大量誘拐が可能。


そして二時間半後、またバスに乗って帰ってきた息子は泣いていなかった。にこにこまではいかないけど、幼稚園でのことを色々教えてくれた。

幼稚園にチューリップが咲いてたから、自分の庭でも四つチューリップを育ててる話を先生にしてあげたそう。それを聞いてこの子は大丈夫だろうとなんだか思えた。

明日はもう少し緊張せずにバス停で待っていられそう。そしてプロの技を今度はもっと集中して拝見するつもり。

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