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日本全国千態万城

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まえがき

この作品は、単行本『日本全国波瀾万城』(新人物往来社 2012年)のために描き下ろした、日本各地のお城を題材にした4コマと、お城入門マンガやコラムマンガを集めたものです。

もともと、コミック大河(PHP出版 2010年)で連載されたお城擬人化マンガ『どっから見ても波瀾万城』という作品がありました。

その後、縁あって『コミック日本の城』(実業之日本社 2011年)に『どっから見ても波瀾万城』から3本、再録されるということになったのですが、そのとき
「お城初心者のための入門マンガを描いてほしい」
と依頼を受け、描いたのが本書に収録した『お城用語の基礎知識』です。

今思えば、当時の私だって初心者に毛が生えたレベルで、とても他人にレクチャーできる実力じゃありませんでした。が、半可通というものは怖いもので、二つ返事で引き受けてしまったのでした。

そして2012年、『日本全国波瀾万城』の単行本化というありがたい申し出がありました。このとき担当氏は
「47都道府県のお城をカバーしている、という点を売りにしたい」
と望んだのです。擬人化マンガ本編では1都1府8県しかカバーできていなかったので、残り37本を描き下ろすことになりました。

37体、擬人化して説明してオチを付けるのは、37本の4コマじゃ無理だと思いました。さいわい『お城用語の基礎知識』も同時収録だったので、そのまま「おねえさん」「たかとらくん」「きよまさくん」の3キャラを使って、ご当地のお城をお題にした、ゆるいかけあい4コマという形をとったのです。

それから数年が過ぎ、『どっから見ても波瀾万城』は『どっから見ても波瀾万城』として、セルフ電子出版したのですが、そのとき、この37本の4コマは収録しませんでした。

というのも、お城擬人化マンガとご当地お城4コマは本来、コンセプトのちがうマンガだと作者として考えていたので。

それからまたしばらくして、ようやくこうして、この3人のマンガはこの3人のマンガとして、電子書籍化することができました。新作も描き下ろしてます。37本じゃ47都道府県が埋まりませんから。そこはやっぱり補完してナンボでしょう。

なんかいろいろ駄文もくっついてますが、にぎやかし程度のものですので、めんどくさかったら読み飛ばしてくださいませ。

2020-02-08 桝田道也

(※note.com 用註:この作品は Kindle 等で販売している電子書籍の note 版です)

お城用語の基礎知識

お城用語の基礎知識増補版_0001

お城用語の基礎知識増補版_0002

お城用語の基礎知識増補版_0003

お城用語の基礎知識増補版_0004

お城の分類いろいろ

お城用語の基礎知識増補版_0005

お城のいきもの

お城用語の基礎知識増補版_0006

石垣の面白いところ

お城用語の基礎知識増補版_0007

堀切はいいぞ

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お城用語の基礎知識増補版_0009

多重櫓と天守

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お城用語の基礎知識増補版_0011

舟入と砂浜を見逃すな

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お城用語の基礎知識増補版_0013

切岸ってなんぞ?

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お城用語の基礎知識増補版_0015

あんな土塁こんな土塁

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日本全国千態万城

日本全国波瀾万城_扉

五稜郭(北海道)

001_北海道_五稜郭

どんな城?
* 幕末に蝦夷地の防衛のため、西洋式築城術で作られた星形稜堡式城郭
* 蘭学を学んだ武田斐三郎が設計した。完成後、幕府が開国に方針転換したため、函館防衛の必要は低くなった
* 戊辰戦争では蝦夷共和国を構想した榎本武揚ら旧幕臣に占領され、旧幕府軍最後の拠点となった。この戦いで土方歳三が戦死


作者コメント at 2020-01-9
 北海道から選ぶにあたって、『どっから見ても波瀾万城』と同じく五稜郭にするのも芸がないかな?と思いましたが、根室チャシ群も松前城も、私、行ってないので。

せっかくなら、やっぱり北海道で唯一行ってるという理由で五稜郭を選びました。 松前城、遠いよ……木古内からバスで 90 分でしたっけ?バス代、いくらかかるんだろう…… 根室チャシ群はもっと遠いわけですが。

五稜郭も冬に行ったため埋もれて見えず。美しかったですけどね。雪のない季節に再訪したいです。初訪問時は五稜郭の役所もまだ建設中でしたし、四稜郭もパスしたので、その辺もちゃんと見たいですね。

今となっては、江差線(えさしせん)が存在してたころに開陽丸を訪問した自分が偉いぞ、ほめてやる……という感じです。

北海道にはほかにもこんな城があります
松前城
  松前藩の藩庁。藩庁としては、最後の和式城郭
四稜郭
  五稜郭の支城。大鳥圭介の設計といわれています
シベチャリチャシ跡
  アイヌを率いて反乱を起こしたシャクシャインの最後の砦

弘前城(青森県)

002_青森県_弘前城

どんな城?
* 津軽氏の居城。江戸時代初期には五層六階の大天守があったが落雷で焼失した
* 現在の天守は1810年に幕府へ願い出て許可された御三階櫓。正確には天守代用
* 箱根より東では唯一の現存天守。桜の名所としても有名

作者コメント at 2019-11-26
あらためて読み返して、まず思ったのは
「まてよ?津軽氏と九戸氏って戦ってたっけ?」
という点でした。

これを描いたのが2012年だったと思いますが、7年もたてば知識量も変わります。

そもそもコミック乱で仕事するようになるまで、中学生レベルの日本史知識しかなかった私ですから。

いま、調べて見ると、案の定ですよ。南部利直が津軽為信を倒そうとして協力を要請したとき、九戸南部氏は動かなかったんですって。あああ。

でもまあ、九戸の乱では九戸氏討伐軍に津軽氏が参加しているので、戦ったというのが完全に間違いってわけじゃないのでした。

おk。セーフ。セフセフ(セーフとか言ってる時点で歴史モノとしてアレじゃんか……)

青森県にはほかにもこんな城があります
根城
  南北朝時代から続く城。八戸氏の拠点で史跡整備も進んでいる
浪岡城
  南北朝時代から続く城。中世城として遺構の残りが良い
八戸城
  盛岡藩の支藩、八戸藩の藩庁

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