中世ヨーロッパで卵は手に入らないのか?

 ある13世紀の資料によると卵100個を4ペンスで購入しており、熟練職人の日給が4.5ペンスなので、手に入らないぐらい高いとは言いがたい代物なのである。しかし使用人の年収は2シリングでかなり安い(恐らく食べ物付きなのだろう……)

 それよりこの時代の1ペニーは幾らで物価が変わるのである。諸説あるのが3000円と仮定すると100個1万2000円、10個は1200円(ぐらいになる。別の資料(14世紀)では2ダースは1ペンス(ペニー)とある。やはり同じぐらいの価格になるようだ。

 ここで中世のイギリスの通貨体系を簡単に説明すると、1シリング=12ペンス、1ポンド=20シリング。ちなみに1970年あたりまで使われており、1ポンド=100ペンスになったのは1971年以降の話。これ以外にノーブルと言う単位が存在し、1ノーブル金貨=6シリング8ペンス=80ペンスである(それ以外にも中途半端な単位の金貨が存在する)。ちなみに、この通貨体系はフランク王国由来で、シャルルマーニュが一ポンドの銀を240分割したものをペニー(1ペンス) と定義したのが大元である。当時の1ポンドが408gなので、ペニー銀貨は2g切っておりかなり小さい通貨で、時代を降ると1g切るものも出回っていたようである。

 そのため一番少額の貨幣がペンスになるわけだが、この1ペンス大元は古代ローマのディナリウス銀貨なのである。そのため中世に於いても1ペンスは銀貨だったのである。補助貨幣として1/2ペンスや1/4ペンスと言う硬貨もあったらしいが、これらも銀貨だったようである。そうするとイギリスには少額貨幣が存在しないわけである。そこで探索範囲を広げてみることにした。どうやらドイツに於いては領主がまちまちの通貨を流通させており、混ぜ物をしすぎてついには銀が皆無で銅にスズや鉛を添加したpfennig(ドイツ語でペンスに相当)硬貨が流通していたようである。この通貨は黒いペニーと呼ばれており、これが銅貨の正体らしい。偽銀貨じゃねぇか。ちなみに金貨はイギリスでは1344年以降に流通するらしい。

 銅貨の方がファンタジーだったよ。

 それはともかく卵は買えない値段でもなさそう。1950年の日本の卵が2500円相当なので、それよりも安い。要するに卵が高くなったのは人口が増えすぎて卵の供給が追いつかなくなったからという身も蓋もない答えが出てくるような。

 まぁ、農民は豆食べてたわけだけど。

#なろう系考察 #歴史 #エッセイ


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