見出し画像

ワンパンパスタ(パスタ・リゾッタータ)

 ワンパンパスタはイタリアではパスタ・リゾッタータと呼ばれるものであり、アメリカではリゾットスタイルと呼んでいるようである。スパゲッティを折ったり、ケチャップを使うのとは違いイタリアでも使われて居る技法である。

 パスタ・リゾッタータはネット検索では2010年頃に現れるが、ミラノの美食家Allan Bayの"Cuochi si diventa"と言う本に既に存在したようで、出版日を調べると2003年だった。ちなみにアメリカ人はこの頃にはこの技法を使っていたらしい(単に横着なだけだと思うが)

 もっともこの本に出てくるのはショートパスタを使うレシピでロングパスタ(スパゲッティ)を使う様になるのが2010年頃らしい。これ以後、ワンパンスタイルが普及していったようだ。要するにリゾットスタイルはスパゲッティが入る大きなフライパンが必要なロングパスタより小さな鍋一つで作れるペンネやマカロニの方が先行していた。恐らくスパゲッティを折るのが邪道だからなのもあろうが、そもそもショートパスタには米の様に使うパスタ、risoni(orzoともいう)が存在していていた。このパスタは1950年頃に発明されたらしい。

 フライパンで焦がしてからリゾットの様に煮るプリーアの郷土料理、暗殺者のパスタ(Spaghetti all'assassina)は1960年代に初出が見られ、カンパーニュにはレモン水を使うワンパンパスタ、spaghettini all’acqua di limoneが存在していたようなのでスパゲッティをワンパンで作る技法もそれ以前から存在していたと考えられる。ただ家で作るにはロングパスタは無理やり押し込むか折らないといけない。そこが譲れない点なのであろう。ちなみに検証した結果、パスタが入るぐらいの大きなフライパンを使うと必要な水の量が倍になってしまい火力が足りない。スパゲッティの長さは25cmぐらいなので26cmのフライパンだとギリギリで、曲げずに入れようとするとそれ以上の大きさのフライパンを使わないといけないが、26cmと20cmだと面積が1.7倍あるので水も1.7倍必要になり、28cmだと20cmの場合の2倍必要になる。20cmのフライパンで水350ccを想定したレシピの場合、26cmのフライパンでは600cc、28cmでは700ccが必要になる可能性がある。これは大きなフライパンの場合、今度は水を多めに入れないとパスタが水に浸かりきらないと言う問題がおきるためである。しかし家庭用コンロでは水分が飛ばしきれない問題が生じるのである。

 ワンパンパスタはフライパンの大きさも仕上がりに影響するので小さめのフライパンを使った方が調整しやすい。しかし、あまり小さすぎるとパスタを折らないと入らなくなる。フライパンの大きさや材質によって適切な水の量が大きく変化する、そのためワンパンパスタはレシピによって水の量がまるでバラバラになっている(確認した限り300-700ccまで幅があった)。水の量だけは参考にしては行けないフライパンと相談する必要があるため。パスタが水に浸かるぐらいの水に入れて火加減を見ながら適宜調節した方が良い気がする。四人前ともなれば別茹でした方が楽。リゾッタータが主流になっていない理由はこの辺かも知れない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?