中世ヨーロッパ風貴族の家臣団

 伯爵クラスを想定(男爵は精々地頭だから)近世に入ると中央集権化と共に法服貴族が増え年金生活しているニートみたいなのがゴロゴロする様になるが、中世の伯爵は領土経営者である。経営には金がかかり、それを取り仕切る必要があった。それを取り仕切るのが家令の仕事である。

 それから礼拝堂付き司祭の代わりに書記を置いてみた。中世ヨーロッパにおける礼拝堂付き司祭と言うのは書記なのだ。読み書きをするのがお仕事なのである。日本では右筆に相当するだろう。そういうわけで書記に置き換えてみた。

 イギリスの伯爵を参考にしたのだが、市場にアクセスできるか否かでもう少し人が要りそうな気がする。(自給自足の比率が上がるほど、人が必要になる) 後、あくまで風なので割と適当。

家令 ー 執事 ー 食肉処理係
        ー パン焼き係
        ― 料理係
        ー 菓子係
        ー 蝋燭作り
        ー 醸造係
        ー 配膳係
        ー ソース係
        ー テーブルクロス係
        ー 倉庫係
        ー 厩舎長 ー 馬丁
              ー 厩舎係
        ー 鍛冶屋
        ー 事務係 ー 配送係
              ー 調達係
        ー 小間使い
        ー 理髪師(兼外科医)
        ー 門番
   ー メイド長 ー 掃除係
          ー 衣装部屋係
          ー 洗濯係
   ー 書記 ー 書記助手(文書係)
        ー 金庫係
        ー 慈善係
        ー 家庭教師
   ー 伝令
   ー 荘園管理人(代官) (ー 村役人)
ー お抱え魔法使い
ー 侍従
ー 侍女
ー 騎士 ー 従者
ー 兵士
ー 吟遊詩人、道化師、楽士、曲芸師
ー 猟師 ー 猟犬係
ー 鷹匠

 ――こんな感じだろうか。もう少しメイド長(中世にはいない気もするが強引に突っ込んでみた)の下にメイドを沢山置きたいなぁ(個人的欲求)でも中世って料理が丸焼きとスープとパンぐらいしか無いので体力仕事。書いて居ないが各係の下に助手がいる。そういえば庭師がいないな。近世に入ってからできたのだろう。しかし、エンゲル係数が高そうだな。

 家令は召使いを統括する立場にある。その立場から領主の目を盗んで着服していた様である。

 荘園管理人は代官である。家令が直制出張るケースもあったらしいが。複数の荘園を持つ場合はそれぞれの荘園に代官を置く必要がある。代官の仕事は徴税と小作人がサボっていないか監視する仕事やその他雑用である。その下にいる村役人であるがこれは荘園の小作人を使って居たようである。

 侍従、侍女は、家令の配下にないようである。どうも自由人に近い立ち位置にいたようである。

 理髪師と外科医は兼任していなかったと言う説もあるが、理髪師をおかずに洗濯係に髪を切らせていたケースがあるようなので兼任していたのではなかろうか。石鹸は洗濯係が自作してそう。

 魔法使いの立ち位置は魔法の希少性で変わるので取りあえず騎士と同じ扱いにしてみた。

 狩りは軍事修練を兼ねるので貴族の嗜みであり、猟師や鷹匠は厚遇で雇われていた様である。

 中世イギリスには森林権なるものが存在して、無断で狩猟すると密漁になる。これはイングランドの森林率が10%と異常に少ないので、森林の伐採自体を規制しなければならなかったからでもあるが、実際は狩猟地の確保が理由。ただし、領主が狩るのは鹿とイノシシだけなので、それ以外の動物は狩猟権を取得すれば狩っても構わないのだが、弓、猟犬持ち込み不可など条件が厳しい。ドイツあたりだと森林が30%あるので、やや緩い。

 旅行に出るときは50人ほどが群れをなして動くから宿の奪い合いが起きるとか。中世ヨーロッパは封建時代なので伯爵は領土経営に専念し、王城に行くことは滅多に無い(叙任と戦争の時ぐらいでは)、そもそも王命より領土経営の優先度が高いので、王の言う事を全く聞かないのであった(領主にとって王命で戦争に兵を出すことは、金の無駄遣いなので兵を途中で引き返して帰ってしまうこともしばしば。こうなると軍の中心が傭兵になっていくのである)

 中世の社会制度はややこしく、そのためファンタジーでは概ね中世風近世が舞台になるのである。その、ただでさえややこしい封建制度をさらにややこしくしているのが西洋の相続制度で、女性の相続権は認められていたが結婚すると夫に権利が移る。そうすると何が起きるかと言うと主君が複数存在する現象……。実際イングランド王はフランスの家臣でもあり、他にもフランス王とイングランド王の両方に属していた貴族が結構いたとか。さらに国によって制度が異なる(ノルマン朝以後、イングランド貴族はイングランド王に直属していたが他の国はそうなっていない)

 中世盛期は、分割相続から長子相続に移行した時代であり貴族の次男、三男は領地を与えられず自活を促されており、騎乗と読み書きが必須技能になっていた様である。その理由は傭兵騎士になるか、聖職者ぐらいしか選択肢が無かったからである。

#エッセイ #なろう系考察 #ファンタジー


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