グリム童話本当に怖いのか(2)――白雪姫

 オリジナルの白雪姫では、王子様はキスしないから。従者が蹴っ飛ばしたら林檎を吐いたとかそんな感じよ。

 グリム童話の初版の白雪姫は、王子は死体が欲しいと言う屍体愛好者(ネクロフォビア)で、従者がいい加減にしろと死体(白雪姫)を蹴っ飛ばしたら生き返ったと言う猟奇話よ。継母はポリコレで殴られた結果で、本当は実母で食人趣味があるし、しかも王子と王女は、兄弟くさいのだけど。

 ちなみに初版より前のエーレンベルク稿では金髪で、王子ではなく父親が引き取り医者が蘇生する。王子は最後にいきなり現れて終わり(ただのモブ)

 エーレンベルク稿の方がまともで、初版が一番猟奇話になっているみたいだ。

 そう言えば類型を調べて居なかった。

 ATU709らしい。

ATU > 300-749: TALES OF MAGIC > 700-749: Other Tales of the Supernatural > 709: Snow White

 適当な分類だな。小人が出てくるけど北欧系の話でもない。よく考えたら、中世に大きな鏡が存在しないから「鏡よ鏡よ」が成立しないから近世に作られた話だ。ただし、ギリシャ神話のナルキッソスの話は水鏡だからこの辺りにモチーフがあるのかもしれない。

 ただ、嫉妬で酷い目に合う女子系だとギリシャ神話に腐るほど転がっているので、この辺りが原型の可能性がたかい。ギリシャ神話では誰もすくわれない話が多いのだが。黄泉がえり系の話と合成されたのだろうか?

 よく考えたら、殺されかけた王子・王女が匿われるのは貴種流離譚の典型的な導入で良くある導入すぎて思いつかない。魔法の鏡と小人がどこから来たか調べる必要がありそう。

 魔法の鏡はアラビアン・ナイトに出現するけど、処女か判別する鏡だった。まぁイスラム圏は、処女信仰拗らせているから。

 小人に関しては中世ドイツには、ほとんど記録がない。北欧神話に出てくるのがほぼ全て。ちなみにニーベルンゲンの歌にでてくるアルベリヒ(エルフの王と言う意味)が小人なのだが、これはフランス語ではオベロンで、イギリスにいくと妖精になっている(シェークスピアの「夏の夜の夢」に出てくる妖精王)

 むしろイギリスの妖精やブラウニーが近世ドイツに入って小人に訳された可能性の方が高そう。他の小人譚を調べても他国ではエルフだったりフェアリーだったりトロールだったりする訳で、ドイツではそれらを全部ひっくるめて小人にしてしまったと言う事だろう。

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