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誰もに「意思決定権」がある、しなやかな組織のあり方~『ティール組織』より

こんにちは、ミテモの松浦です。

「自分にとって理想の働き方とは何か?」 このような問いを考えるうえで、今回の記事は参考になるかもしれません。 私たちは無自覚に現在の働き方を受け入れていて、上記のような「そもそも」の問いを考える機会をあまり作れずにいるのではないでしょうか。実際には、自分の働き方は自分で選択する自由があります。今回の記事が、改めてそういったことを考えるきっかけになれば幸いです。

「個人に意思決定権がある」組織

現在、新しいパラダイムの組織のあり方について解説する『ティール組織』(著:フレデリック・ラルー、2018年、英治出版)という書籍がベストセラーになっています。その「ティール組織」の特徴の一つに、「チームや個人のレベルで、取り組むことや予算の使い方などの意思決定を下すことができる」ということがあります。

ティール組織では、意思決定の内容について上司や上長にあたる人に助言を求めることはありますが、最終的な意思決定をどう下すかは、個別の判断に任されています(なお、ティール組織では「上司」や「上長」という役職の定義はありません)。例えば、100万円のオフィス用品を買いたいとして、関係者に「どう思う?」と助言は求めますが、最後は自分で「買う」と意思決定していいのです。つまり、このティール組織では、目の前で起こった事象や出来事に対して、チームや個人の単位で決定を下し、対処していくことになります。

対照的な「ヒエラルキー組織」の意思決定スタイル

その一方で、ヒエラルキー組織での意思伝達のフローは基本的に「上意下達」です。トップ(役員層)が決めたことを、その下へと伝えていき、全体で行動することになります。ですので、ティール組織とはうってかわって、個人の裁量や権限は少ない組織形態だといえます。

このヒエラルキー組織の特徴は、ヒエラルキーのトップに「正解」といわれるやり方や、道筋が見えている場合には、より早く成果が得られることです。ヒエラルキーの下位にいるメンバーは、その「正解」に向けて、それぞれが自分の役割に徹するわけです。(トップが優秀な人間であることを願うばかり・・・)

そんなヒエラルキー組織ですが、例えるなら「軍隊」がわかりやすいと思います。軍隊は、基本的にはトップの指示する戦略に依存し、全員がその戦略のとおりに対応して動かなければ、大変な犠牲を出すことにもなりかねません。企業・組織の成り立ちも「軍隊」の組織スタイルを由来としていることもあり、現在の企業の多くが、このヒエラルキー組織の影響を受けた組織運営がなされていることでしょう。そのため、多くの会社でも、トップの考える戦略が上意下達で指示命令されてから、全体で動くやり方をとっているのだと思います。

ティール組織のメリット~個人の「思考力・行動力」を伸ばす

ヒエラルキー組織は、「達成」「成果」をスピーディーに追い求めるのには向いています。しかし、その一方で、チームや個人に与えられる権限と裁量が少ない分、「個人が自ら頭を使って考える機会」は少なくなってしまいます。したがって、もし「個人の成長」を重視したいと考えるなら、チーム・個人単位での意思決定の機会が多いティール組織のほうが向いていることになります。

そんなティール組織の強みは、もうひとつあります。

それは、個別の事象に個別に対応していく柔軟さがあるために、「環境の変化に強い」ということです。何らかの想定外のことが起こったときに、戦略と組織の方向転換がうまくいかず、致命的なことになりやすいのが、ヒエラルキー組織です。しかしティール組織の場合は、そういった想定外の事態にも、チーム・個人が現場の状況を判断できますので、しなやかに対応できる強い組織形態だといえそうです。

ただし、そんなティール組織の運営には時間がかかります。とはいえ、変化が激しく先の見えない時代だからこそ、組織運営に時間をかけることには十分に価値があると言えるでしょう。

今回は、意思決定という側面から「ティール組織」と「ヒエラルキー組織」という、あえて大きく二つの組織形態に分けて対比してみました。ですが、実際の組織形態ではこの2種類しかないわけではありません。さまざまなグラデーションがある中で、その都度の選択をしているのだと思います。今回の記事が、組織運営の方針を決めるにあたっての、選択の一つの判断材料になれば嬉しいです。


松浦貴昌がティール組織の第一人者にインタビューした
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