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あそびに没頭し、まなびに至る 〜ミテモのプレイフルストリート 2018 Summer〜

こんにちは。ミテモの高橋昌紀です。

2018年8月26日。めらめらと太陽の照りつける、8月最後の日曜日。
場所は、東京都千代田区神田錦町。大都市のど真ん中、ビルの立ち並ぶオフィスエリアにて。

新しい学びを「遊ぶ=プレイフルな体験」を通して発信する、というイベント「プレイフルストリート 2018 Summer」が開催されました。

主な参加者は小学生までの子どもと、その保護者です。
独身で子どものいない私は、ひょっとして場違いかなと思いながら足を運んでみました。しかし、結果的にはとても学びと遊びに満ちた一日を過ごすことができました!

今日は、私の感じたプレイフルストリートの魅力をお伝えします。

なお、プレイフルストリートは神田錦町地域につながりのある企業や学校が主な開催メンバーとなっており、ここで紹介する以外にも、面白い企画が盛りだくさんでした。
ただし、このミテモ HOMEROOMの記事では、ミテモ株式会社が提供した2つの企画が中心になります。
ほかの企業や学校、団体の方々が提供された企画一覧につきましては、プレイフルストリート公式サイト からご覧ください。

では、レポートです。

はみだす・あそびば

1つめに紹介する企画は「はみだす・あそびば」です。

一言でいうと、様々な素材を使って「あそび場を作りながらあそぶ」、というものになります。
ぜひ、現場の写真をご覧ください。

このエリアでは、敷地内の路面に大きな白い布が引かれています。子どもたちはペンを使ってそこに自由に絵を描いていきます。

屋外で、床いっぱいに広がる布の上に、誰かに何かを言われることなく、絵を描く。普段なかなかできることではありません。
子どもたちは思い思いに、真剣に楽しみながら、手を動かしていました。

また、別のエリアには、木材を使って、自分たちで自由に遊び場を作り出す場所がありました。

この木製の円盤は、飛び石遊びをやってください、と言って主催者が並べたわけではありません。
円盤を並べて、飛び石のように遊んでいく体験それ自体を、子どもが自分で考えて、つくっていきます。

こちらに置かれているのは、金属がぶつかりあって涼しげな音を奏でるウインドベル。

また別のコーナーには、水を使ったあそびの場がありました。

穴を開けた三角コーンを使った手作りの噴水からは、シャワーのように水が降ってきます。またその周りにホース状の噴水が置かれ、下から上に水が吹き出してきます。
びしょびしょになりながら、本当に気持ちよさそうに、裸足で駆け回る子どもの姿がありました。

ほかには、空っぽのペンキ缶がひっくり返しになったものを、木製のバチで叩くことができる、というモノが置いてありました。
色とりどりの食紅が溶かされた水を、裏返されたペンキ缶の上にうっすらと注いであります。
大人は、その遊びの意味がわかるので、リズミカルにドラマーの気分で叩き、水を跳ね上げます。

でも、ドラムという概念を知らない子どもには、そんなやりかたは関係なし!
興味深げに水を覗いていたと思った次の瞬間には、手でバシバシと水を飛ばしはじめます(笑)。

もしここが、音楽教室だったらば、正しいドラムの叩き方を教えるのでしょう。
しかし、ここは「はみだす・あそびば」。正解はありません。参加するひとが自由にあそびを作り出していくところです。「このように遊ばなくてはいけない」とはスタッフも誰も言いません。
遊び方も、遊びの作り方も、みんな違っている。それが、あたりまえの場所でした。

平日はビジネスパーソンで埋まっているであろうビル前の広場に、突如として現れたワンダーランド。
子どもたちのみならず大人も、というか私も、服を濡らしながら、気ままに時を過ごしました。

実はこの「はみだす・あそびば」のように「あそびばを創る遊び」は、プレイフルストリートとして3回目の企画になるそうです。1回目から企画に携わるミテモの澤田哲也さんに、「なぜこれをやろうと思ったの?」と聞いてみました。
すると、以下のような答えをもらいました。

 今は、モノとコトに溢れている時代ですよね。僕らはすっかり何かを消費することに慣れてしまっている。けれど、本当はもっと自分たちが欲するものや豊かさを自分たちの手で創れるんじゃないか?と思います。
 大人も子供も一緒になって遊び場を創り出しながら遊んでいる。そのうちに、想像力や創造力を取り戻すことを、目指しています。

 建物の中という「私的な場」から、建物の外という「公の場」へとはみだしていく。そして、時には水を撒き散らす遊び場を一緒に創るという「共犯」行為を生み出す。
 こういった行為を通して、「私たち自身が知らず知らずのうちに自分たちの創造性を抑えこんでいるルールやモラルを改めて考え直してみよう」という想いを込めました。

なるほど!
普段、あそびから縁遠くなりがちな大人こそ、実はプレイフルストリートの主人公だったのですね。
私が水遊びをしたのも、狙い通りだったのかと気付きました(笑)。

常識からはみだしまくっている遊び場を作るために色々準備された皆様、ありがとうございました。

レゴ®を使ってお仕事マップをつくろう

2つめには、会場ビルの屋内で実施した企画をご紹介します。
題して「レゴ®を使ってお仕事マップをつくろう」です。

ミテモでは、レゴを使った組織開発手法「レゴ®シリアスプレイ®」を活用した研修を法人向けに提供しています。
このレゴを子どもが「経済の仕組み」を学びことに使えないだろうか?

ミテモの飯田一弘さんのこのアイデアから始まったワークショップ。今回のプレイフルストリートの中で開催しました。

子どもたちと保護者、さらにはボランティアで今回プレイフルストリートの運営に関わってくれた高校生たち、合計約25名がワークショップに参加しました。

最初に、参加者は3つのテーブルに分かれます。1つめのテーブルは、小学校中学年から中学生まで。2つめのテーブルは、高校生のみ。3つめのテーブルは小学校低学年以下の子どもたちと、その保護者たち、それと私でした。

さていよいよ開始時間になりました。

ワークショップの進行を務めるのは、上述の飯田さん。レゴシリアスプレイの公式認定ファシリテーター資格を持っています。

飯田さんから、今日のミッションが発表されました。

「みんなでちからをあわせて、おしごとマップをつくる」

…おしごとマップって何?と思われた方もいるかもしれません。手短に、ご説明。

レゴというのは、パーツを組み合わせて、家や乗り物を作ることができるツールですが、世の中に存在する具体的な物体以外にも自由につくることができます。
たとえば「機関」や「システム」のような概念的なものも表現できます。あるいは個々人が考える「自分の理想のイメージ」のようなものも形にできます。

今回のワークショップでは、自分たちが住む街をイメージして、「街の中に存在する仕事」というテーマ設定で各人が作品をつくっていきます。
それを同じテーブルの他のメンバーの作品と、実際にヒモで「つなぐ」ことで、仕事どうしのつながりを見える化していきました。
この仕事どうしが有機的につながって街を構成している状態を「おしごとマップ」と呼ぶわけです。

といっても、文字ではわかりにくいですね!
参加者の皆さんが手を動かしながら、対話しながら、作品を作りつなげて、仕事と仕事が結ばれた街を描いていくプロセスをご覧ください。

まずは好きなようにパーツを選び出し、仕事をつくっていきます。作品には、何の仕事かというラベルをつけます。

そしてほかの人と対話して、仕事どうしのつながりを考えて、納得したところをヒモでつないでいきます。

途中で、住商ビルマネージメント株式会社の福川聡さんから、まちづくりに関わる事業者の視点から手短なプレゼンがありました。福川さんの話を参考にしつつ、参加者たちはさらに、手を動かしていきます。

そして、ついに3つのテーブルそれぞれの街が出来上がりました。テーブルごとに、自分たちの街に名前をつけます。

最後には、各テーブルごとの街の説明のプレゼンの時間です。全員がテーブルの周りに集まって、発表に耳を傾けます。

かわりばんこに、街の特長、仕事のつながりを説明していきます。終わったら、拍手。

最後には、参加した全員で記念撮影をしました。手に持っているのは、自分のつくったお気に入りの仕事の作品です。

私自身がこのワークショップに参加して思ったこと。
それは、ほかの人との対話の中から得られる情報が、自分の想定の外にある視点から来ているので、非常に面白いということです。まさに発見の連続。

たとえば街の仕事をつくるプロセスでは、ほかの人が作ったものと同じものを作ってもつまらないと思うので、なるべくユニークなものを作ろうと意気込みました。けれど、すぐアイデアが尽きて何も作れなくなってしまいました(笑)。

しかし、そのときにほかの人が作ったものを見せてもらい、説明してもらうと「たしかに、そういう仕事がある!」という学びが得られます。面白いことに、その学びの感覚がトリガーになって「じゃあ、その仕事に繋がる、別のこんな仕事がある!」というアイデアがひらめいてくるのです。そしてまた、手を動かすことができました。
この繰り返しが、とても新鮮な体験でした。

このワークショップの中では、正解はありません。正しい街を作るのは目的ではない。では何が目的かというと、ほかの人と学び合い、遊びながら手を動かして、作品をつくってつなげていくプロセス、それ自体に没頭することだったのだろう、と思います。

実はこの街づくりには、各テーブルで共通のスタート地点がありました。それは、カレー屋さん。神田がカレーの街なので、それにあやかって、カレー屋さんが各テーブルの真ん中に置いてありました。そこにつなげるように仕事を考えて手を動かします。
スタート地点は同じだったのに、最後でき上がった街はバラバラでした。それがまた、他のテーブルの発表を聞くことで学びが深まることに繋がったように感じました。

カレー屋さんに繋がる事業者やあるいは行政機関や学校の連鎖の中で、お金が流れ、街が動いている。レゴでできた街と、そこに始まる対話は、見えないものを具体的に見せる力を持っていました。

「金融・経済を学ぶ」と聞くと、特に大人は、お固いものに感じたり、あるいは眠たい話になりそうだと思いがちです。
その理由は、「経済という難解な体系について、正しい知識をインプットしなくてはならない、という予想をする。それが私達のテンションを下げてしまうから」ではないかなと思います。

でもこの日、この場に集まった子どもから大人までの参加者たちは、正解をインプットしなくてはならないという制約が全くありませんでした。それがワークショップへの没頭を生み、結果的に手と頭に残る、素敵な学びが得られたように感じています。

*****

以上、ミテモが運営した企画の体験レポートでした。

さて、プレイフルストリートですが、次回は2019年の年明けに、冬あそびバージョンとして開催が検討されています。

次回以降の開催情報を知りたい方は、 プレイフルストリートのFacebookページに、いいね! して、引き続きチェックしてみてください。

レゴを使って経済をまなぶワークショップに関心がある方は、ミテモのFacebookページ からお問い合わせください。



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