ピアノは結局触ってない

小学生のときからピアノを習ってた。でもなんか、中学年くらいでピアノ教室をサボりたいって思うようになって。その辺りで一回やめて、高学年くらいの時にまたやりたい!って思って、だけど中学上がって部活も始まったから、一年のうちに辞めちゃった、気がする。それきり全く触ってない。引っ越しても愛着があって捨てるに至れなかった電子ピアノ、しっかり今も部屋にある。また触りたくなるかもって、そんな気が起こるのを信じてたけど、真っ黒な蓋を眺めても、鍵盤に指を置いても何の気持ちも湧き上がってこなくなってしまった。ピアノが嫌になったのはなんでだったんだろう。あたしの臆病さからか、発表会が怖かったとかはその一部であるんだろうけど、それが理由の全てでは無いと思ってる。今ではうちのピアノはうっすら埃被って、椅子も楽譜置くところも、荷物置き場と化している。練習してた楽譜も全部捨てちゃったし、感覚も忘れてるから、きっと今じゃ何も弾けない。できるのは片手でメロディーだけをなぞるくらい。だけど最後に通ってた教室の匂いも、優しい先生も好きだった。もちろん音楽も、ピアノも好き。音楽はずっとあたしの生活の中にあったし、好きな曲のピアノカバーとか、よく検索して探してた。感情が揺さぶられて涙を零すときもあるし、眠れなくて苦しい夜はただぼーっと聴き流すだけで少し気分が落ち着く。ギターやベースにも憧れがあったけど、結局踏ん切りつかなくて触らなかった。アコギは買ったけど、今では押し入れ行き。折角お金出してもらったのに、もったいない。でも気持ちが動かないから、なんだかな。自分で作曲するのも興味あったけど、スマホですぐ作れるアプリを入れても、一瞬で飽きて放り出しちゃった。今言い訳を付けるならば、あたしが表現したいことを出力する、その形が音楽ではなかった、というだけなのかもしれない。絵を描くことも音楽と同時に好きだったから、絵を描く方が好きだった。ただ単に好みや相性の話だったのかもしれない。聴く方が性に合ってていいのかなあ、なんて思うけど、実際は分かんない。幼いあたしが何を考えていたのか全く思い出せないし。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?