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インタビュー 「ゾフィー」(2017年2月12日)

結成した2014年から3年連続で「キングオブコント」準決勝進出を果たしながらも、事務所には所属せずフリーとして活躍するコント師、ゾフィー。2月19日には彼らの第2回単独ライブ「おとなだろ」がユーロライブにて開催される。今回Walive!では2人の知られざる過去や、「ブラック」と呼ばれる彼らのコントへの解釈を聞いた。(2017年2月12日 取材・文・撮影 / 岡本みっく)

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仲介かなと思って行ったら、「あ、俺なんだ」

──今日は謎多きゾフィーさんを少しでもひも解けたらと思います。

上田航平 謎めかすつもりはないんですけどね。

──ファンの方々が知りたがってますので。

サイトウナオキ でもこんなに出待ちのいない芸人いないと思いますよ(笑)。

上田 「ファンですー!」って言ってくれればねえ。

サイトウ たまに差し入れでお菓子持って来てくれる人には「酒のほうがいい」って言いますしね。

上田 そういうとこだよ(笑)。

一同 あははは(笑)。

──まずこれまでのことを伺いたいのですが。

上田 はい、なんでも答えます。

──ではゾフィー結成までの経緯を教えてください。

上田 ちょっとそれはNG……。

サイトウ なんでだよ(笑)。

上田 もともと別々でやってたんですよ。サイトウが「あずう」ってコンビで、僕が「チェルシー」っていうコンビ。それが同時期ぐらいに解散して。

サイトウ で、僕は1年間芸人をやめたんです。やめて普通に働いてて。その間上田はピンとか色々やってたらしく。

上田 でももうピンじゃ絶対できないと思ったんです。ただ養成所とか行ってないから、知り合いがいなくて。

サイトウ 僕も養成所行ってなくて、たまたま同じ劇場に立ってたみたいな。

──お互い解散する前から知り合いではあったんですね。

上田 別に社交性があるわけじゃないからどっか飲みに行って話聞くっていうのもそんなにできないし、もっと知名度があったら人に相談するとかもできたんでしょうけどそれもない。だからその劇場に出てるコンビに無理矢理入れてもらって、トリオでやったりとかしてました。その人たちが練習してるときに「もう1人入ったらいけそうじゃない?」みたいに言ったりして(笑)。

サイトウ シャシャッてる(笑)。

上田 とかやってみたものの、あんまりだったからどうしようって。そんなとき人づたいに「もう芸人やめてるけど、俺(上田)だったら組む」みたいなことをサイトウが言ってたって聞いたんです。

サイトウ 前の相方のときにけっこう頑張ってやってたんですけど、もう全部ダメで。どっちもネタ書けないからずっとエチュードでやってたんですよ。公園で設定だけ決めて何時間も即興でやって、おもしろいところだけとってみたいな。すげーしんどいんですよそのネタの作り方。それで(上田が)ネタ書いてるって知ってたから、芸人やめたあと誰かに「上ちゃんならいいなあ」みたいなこと言ってたら、あるとき上田に「だったら……」と言われ。「俺なんにもやらないよ」って言いましたけどね(笑)。

上田 もうごっつぁんゴールじゃないですかこっちからしたら。

──そうですね。

上田 好きって言ってくれてる人に告白しに行くみたいな。

──OKもらえるのわかってるから。

上田 ここにシュート決めに行かないわけにはいかないって。

サイトウ 俺の前の相方と組ませてくれっていうことだと思ったんですよ。「話あるんだけど」って最初に誘われたとき。

──ご自身はお笑いやめられてたんですもんね。

サイトウ 前の相方はキャラあるし、おもしろいなと俺も思ってたんで。人見知りだし仲介かなと思って行ったら、「あ、俺なんだ」って(笑)。

上田 そのとき酔っ払って何回も頭ひっぱたかれて。「これならいける!」って思ったんです(笑)。このツッコミなら……!こんなに叩くのなら……!って(笑)

──コントで頭ひっぱたくことあんまりないですけどね(笑)。

サイトウ なんならあんまりツッコまないよ(笑)。

──上田さんとしてもサイトウさんのことがいいなと思ってたんですか?

上田 いいなっていうか、とにかくツッコミをすごい欲してたんですよ。いろんなコンビに加わったりしてみても、やっぱりツッコミっていうのはできないんですよ。だからツッコミに徹してくれる、俺がやりたいことを全部やらせてくれるっていう、その寛容さは絶対あるだろうなと思ったから。

サイトウ 書いてきたものを「やりたくねえ」ってあんまり言えないですよね。

上田 そう、そこがいい性格だよね(笑)。自我が強い人だったらぶつかるじゃないですか。

サイトウ 基本俺はスベらなきゃいいと思ってるんで。

上田 まあスベっちゃうこともあるけどね(笑)。

サイトウ あははは(笑)。

上田 (サイトウは)書いたものをやってくれるから、まあそれはありがたいですね。

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「お前どこでスター気分やってんだ?」

──当時おふたりが立っていた劇場というのは浅草リトルシアターですよね。

サイトウ そうですね。リトルシアターはエントリーフィーがタダだし、1日に何回も舞台に立てるんです。

上田 その代わり呼び込みはやるんですよ。

──寄席ってやつですね。

上田 それで1日3、4回出て。

サイトウ 多いときは6回とか。

──お客さんの層は新宿のあたりと違いますか?

上田・サイトウ 全然違います!

サイトウ たまに若い子も来ますけど、基本は観光客のお金に余裕のあるおじさまおばさまなので。

上田 中には酔っ払いのおじさまもいて。ホッピー通りがあるので昼間から飲んでるんですよね。だからネタに入ってくるというか。

サイトウ 俺がツッコむ前にツッコまれたり。

上田 学校のコントで「出席をとります」って言ったらもう「はーい」「はーい」って客席のあちこちから。

サイトウ 世界観が……(笑)。

上田 全然ありましたね。

──何がきっかけでほかのライブにも出るようになったんですか?

上田 三四郎の相田(周二)さんと飲んでたときに、「もう浅草だけ出てても意味ないでしょ」って言われて。今までは練習も兼ねて出てるって言ってたけど、いろいろと結果が出てきた今、「さらにもっと上を目指すには」という話になったんです。

──3年連続でキングオブコントの準決勝に進んでますもんね。

上田 そうですね(笑)。

──結成からパーフェクトで行けてるのはどうしてだと思います?

サイトウ それは俺もわからないからなあ。

上田 才能……あっ。(質問とかぶる)

──「才能」は拾っておきます(笑)。

上田 拾わないでください(笑)。

──でも本当にすごいことです。

上田 いや一番びっくりしてますから俺が(笑)。浅草の小さな劇場のスターでしたもんね!

サイトウ 気分はよかったです(笑)。

上田 それで怒られたんですよね、いろんな人に。「お前どこでスター気分やってんだ?」って(笑)。

そこに20人ぐらいいたんですけど、全員帰ったんです

──そもそもお笑いを始めたきっかけは何だったんですか?

上田 劇団やってたんですよ。

──自分でですか?

上田 自分で。大学のとき演劇サークルの中でけっこうおもしろいって言われてたので、このままいったろうかなと思ってその人たちを引き連れてやるんですけど、井の中の蛙というか、めちゃくちゃ天狗で。しかもめちゃくちゃ尖ってて。たぶん「こうしろああしろ」とかすげーうるさかったと思うんですよね。しかも言い方も相当ヤバかったっぽくて。やりたいことを全部やりたかったから。

サイトウ で、この流れの先に、上田が取材を受けた話というのがありまして。単独の企画で話すんですけども。

上田 尖りすぎて取材を受けたんですよ。

──どういうことですか(笑)。さわりだけ教えてください。

上田 一回居酒屋でミーティングしたときになんかみんな言いたそうな雰囲気だったんですよ。文句あるんだったら言えよみたいな。

サイトウ その段階でもう尖ってんだけど。

上田 そしたらちょっとこれもうついていけないと。

──おお(笑)。

上田 「しんどい」って言われて。「わかった、じゃあもう本当にやりたいやつだけやればいいし、やりたくないやつは帰れよ」って言ったら、そこに20人ぐらいいたんですけど、全員帰ったんです。

──えー!

サイトウ まさに劇団ひとり。

上田 本当に(笑)。「全員かい!」と思って。

──相当ですね(笑)。

上田 俺もう目の前の白子ポン酢の形状をはっきり覚えてますよ。

一同 あははは(笑)。

上田 2、30分見てたもん(笑)。あれー、と思って。

──そこまで自分を突き通せるのはすごいですね。

上田 それでもう開き直りというか逆ギレみたいな感じで、1人でやってやろうと思って。脚本書いて、舞台も自分で設営して、音響も照明も宣伝も制作も全部自分でやるって言って。そのときはもうイカれてたから、「俺はこんなにおもしろいのになぜ世間は俺を認めないんだ」という感じで。

──すごい(笑)。

上田 そうして尖りすぎた挙句、取材を受けることになるんです。

──この続きは単独にてということで。これは楽しみです。

上田 で、借金もまあまああったし、もうダメだっていうときに、前の相方に誘ってもらったんです。

──そのコンビでは何年ほどやられてたんですか?

上田 チェルシーは3年かな。

──チェルシー初単独ライブは「即日完売の人気ぶり」だったとお笑いナタリーに書かれていました。

上田 え、そんなの載ってました? 狭い所でやったからかな?(笑)

サイトウ 俺も観に行ったけどパンパンだったよ。

上田 「お笑いって楽しいな」と思いましたね。お笑い始めたらちょっと謙虚になりましたけどね。

──お笑いで、ですか?

上田 人に毒づいたりとか悪口を面と向かって言ったりとかすると嫌われるんだっていうことを25歳ぐらいで気づき……(笑)。

サイトウ だいぶ遅いよね(笑)。

──演劇はなぜ好きだったんですか?

上田 僕、高校のとき剣道部だったんですけど、めちゃくちゃ弱かったんですよ。

──「弱い人たち」ですね。(「弱い人たち」……玉田企画・玉田真也、ラブレターズ・塚本直毅、ポテンシャル聡、ゾフィー・上田航平からなるコントユニット)

上田 まさに(笑)。目も当てられないぐらいの弱さで、プライベートでもゴリゴリにやられて。なんかで逆襲してやろうと思うじゃないですか。それで中学のときお笑い研究会みたいなのをやってたことを思い出して。

サイトウ あったんだ。

上田 それもね、作ったの。

サイトウ あー、尖ってるねー(笑)。

──すごいですね。いろんなものを作ってますね。

上田 そう、作っちゃうんです。校長先生に言って。

──校長先生に!?

サイトウ 首根っこ捕まえに行くんだ。

上田 そう、一番上に会いに行くっていう(笑)。

──もうそれ強い人じゃないですか(笑)。

上田 いやでも切羽詰まったらです。このままだと中学生活が終わる、なんとかしなきゃと思って。そこで漫才とかコントみたいなものをやってました。

──中学生の時点でやってたんですね。

上田 とは言ってもそういうのやる人自体いないから、単純にウケるじゃないですか。

サイトウ やってる時点でね。

上田 男子校だったんで、これすげーモテるんじゃないかなと思って文化祭で中国語漫才をやって。もう尖ってるでしょ。

サイトウ 尖ってる。

上田 全部中国語でやるみたいな感じだったんですけど、それがけっこうウケたんですよ。

サイトウ おおー。

上田 俺、中国人っぽいし。本当に留学生がやってんのかな、みたいな(笑)。でもそれは趣味っていうか遊びでやってて、演技けっこううまいねみたいなことを言われてたから、じゃあ大学は演劇のサークル入ろうみたいな感じで入りましたね。

──中高時代ってモテようと思うと、わりとバンドとか音楽やる人が多いですが、そこでお笑いに行ったんですね。

上田 バンドもやってましたよ、バリバリ(笑)。中学入ってすぐギター買って。

──ですよね。

上田 ちょうど世代がゆずだったから、ゆずの曲めっちゃ練習して。朝早めに学校行ってギター弾くっていう。うわーかっこいいみたいな感じに一瞬なりかけたけど、そこでエレキのやつ来ちゃって。

サイトウ あら。

上田 ラルクとか始めちゃってさ。勝てないでしょラルク。

サイトウ 勝てないねえ。

上田 だからもうすぐやめましたね(笑)。

──上田さんいろんなエピソードが出てきますね。

サイトウ おもしろ人生ではあるよね。

上田 追い詰められると発動するんですよ(笑)。なんかしなきゃっていう。

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3、4年ぶりの電話で

──ではサイトウさんのお話を。

サイトウ 上田のあとに聞いたら弱いですよ。

一同 あははは(笑)。

サイトウ いやもうベタなやつですよ。バンドももちろんやりましたし。

上田 やったの?

サイトウ やったやった。ドラムとベースだけね。お笑いも、関根勤さんが好きだったんです。誰も傷つけないじゃないですか。すげーなと思って、お笑いやりたいなとは思ったんですけど、地元が青森で何していいかわかんなくて。あと本当はダメなんですけど、高校生のときからバーテンしててそれがめちゃめちゃ楽しかったんですよ。しかもそこで知り合った女の人がいい女で……。

──それが噂の……。

サイトウ そうです。

──ではこの詳細も単独でのお楽しみにしましょう。ちなみにそれが何歳のときですか?

サイトウ 19歳ぐらいにその子を追いかけて上京して、同棲し始めて、22歳でできちゃった結婚して、24歳で別れたんですよ。

──早い……。

サイトウ それでああどうしようと思ったときに、お笑いやりてえなと思って。でもその前に慰謝料とかけっこう払わなきゃいけなかったんで、3年ぐらいかけて返して、27歳から始めたんです。

──その間お笑い的な活動は?

サイトウ 本当に何もしてなかったです。働いてました。27歳までダラダラ過ごして、これはやばいって始めたんですけど、始めたもののどうしようという状態。養成所に行こうかと悩んでいたら、たまたま昔バイトで一緒だったやつが松竹の養成所に行ってて、俺がお笑いやりたいって言ったことを覚えてくれてて電話かけてきたんですよ。

──すごいタイミングですね。

サイトウ で、そいつと組んだんですけど、とにかく人前に立ちたくない人だったんですよ。

一同 え?(笑)

サイトウ だから月に1回しか舞台に立てなかったんです。出たくない出たくないって。それが2年ぐらい続いたんです。

──月1のペースで2年やってたんですか。

サイトウ そしたら「ごめん、解散しよう」って言われて。まあだろうなとは思ってましたよ俺も(笑)。

上田 遅いよ2年もやって(笑)。

サイトウ それで小さい事務所に所属させてもらってしばらくピンでやってたんです。そこでおもしろいなと思ってた人たちが解散したんで、じゃあちょっとやりませんかってやったんですけど、それがさっき話したネタ書けないコンビで。

上田 そのときもずっと慰謝料は返してた?

サイトウ 慰謝料は払い終わってた。養育費ね。

上田 あ、そういうことか(笑)。

サイトウ 慰謝料は嫁だから。養育費は子供だから。

上田 慰謝料終わったあとに、養育費なんだ……。そっかじゃあ女性を追いかけてきたわけね。

サイトウ 女追っかけてきたね、ほぼ。

──27歳までは女のために生きてるみたいなもんですよね。

サイトウ そうですよ、本当に。子供と女のために。

──でもお笑いを始めようと思ったときにタイミングよく電話がかかってきてよかったですよね。

サイトウ そうです、本当にいいタイミングで。その電話がそいつからの3、4年ぶりの電話で。

──そんなことあるんですね。

サイトウ ただまあそのせいで実のない2年間が……。

一同 あははは(笑)。

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いいラインで波長が合う人見知りたち

──おふたりとも養成所を出ていないとのことですが、今仲のいい芸人仲間の方々とはどのような出会いだったんでしょうか?

上田 ポテし(ポテンシャル聡)くんは、前のコンビのときにたまたまライブで一緒になって。そのときに仲良くなったんです。10分ネタをやる「ロンボケ」っていうK-PROさんのライブなんですけど、本当にその1回。うしろシティさんとかアルコ&ピースさんとかが出る中に、俺らトップバッターとしてぶち込まれて。

──大舞台ですね。

上田 「うわ、なんだこれ」ってモソモソしてたら、当時はピテカントロプスというコンビだったポテしくんとか、ラブレターズ塚本くんとかと仲良くなって。

──それがいつの話ですか?

上田 2012年あたりですかね。たまに一緒にご飯食べたりとかぐらいの感じでしたね。

サイトウ この前バスツアー行ってたよね。

──楽しそうでしたね(笑)。

上田 すっごくいい人たちなんですよ。それこそ芸人が集まったらなんかノリでやるみたいなのとかあるじゃないですか、それが基本ないですもんね。普通にバス乗って……だからなんのエピソードもない(笑)。

──日本エレキテル連合さんとも先日お買い物されてましたね。

上田 エレキテルの橋本さんも全然友達いないって「弱い人たち」に出てくれたときに言ってて(笑)。俺がポテしくんに「服買いに行きたいんだよねー」って話してたら、「橋本さんも行きたいって言ってたからじゃあ一緒に行こうか」ということになったんですよ。そしたら「中野さんも連れてきていいですか?」って言われて。エレキテル連合が、連合で来るの!?って(笑)。

一同 あははは(笑)。

サイトウ 仲良いからね。

上田 全員人見知りだからどうしようと思ったけど、いいラインで波長が合って最終的にはご飯も食べましょうかみたいになり(笑)。でまた飲まないんですよね、弱い人たちって。俺が多分一番飲む。

サイトウ そうなの!?

──上田さんは普段飲まれないほうなんですか?

上田 はい、ここ(サイトウ)がダントツで。お酒飲もうって話に全然ならないし、飲んでもちょっとだけ。

──平和なんですね。

上田 平和なんです。それこそ三四郎の相田さんがよく飲みに誘ってくれるから、芸人さんと飲むって言ったら相田さんか、あとはあの人たちと喫茶店に行くぐらい。

──サイトウさんは芸人仲間と飲みに行くことはないんですか?

サイトウ 俺は本当にいないんですよ芸人の友達。

──ライブが終わって飲みに行ったりは。

サイトウ 飲みに行ったりはしますけど、結局同期が誰かもわからないし、踏み込んだ話をしないんで。基本1人でずっと飲んでます(笑)。

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自分の中で筋が通ってないとキレられない

──ネタはどのように作ってらっしゃるんですか?

上田 もう作りまくるって感じですけどね。

──じゃあ本数はかなり多いですか?

上田 ネタ持ってって、やってくれるけどこれは微妙だなみたいなときってわかるじゃないですか。「まあやってみたらいいじゃん?」みたいな。

──サイトウさんの反応でわかると。

上田 そうですね。「やってみたらいいじゃん」か、と(笑)。

サイトウ それは確かにあります(笑)。ノーとは言わないですけど、出しますよ。違うんじゃねえかなあみたいな。

上田 それで「ちょっとじゃあ……どうしようかな、俺も微妙だからこれはやめとこうか!」みたいな(笑)。

──じゃあかける前から落ちるものもあるんですね。

上田 相当落ちてんじゃないですか?

サイトウ すげーいいネタというか、俺でもいいなと思うやつって、2回ぐらい読むともう全部入るんですよ、スッと。それで何回か練習を繰り返して、気持ち悪いところは気持ち悪いって言ったりするんですけど、その微調整でなんとかならなかったらあんまりよくないよね、基本的に。

──じゃあわりとサイトウさんの反応を見ながら。

上田 見ながら。でもいいやつって確信を得てるから、もうやろやろ!みたいな。

サイトウ ただ、俺がめちゃめちゃ好きでも、こっち(上田)があんまりっていうことはありますね。多分ボケっていうよりも”そういう人”なんで。……伝わるかな。変なことを言ってるんですけど、それはこの人の思想でやってるんです。ボケてるつもりないんですよ。俺の中ですげーおもしろいボケだなっていうものも、その思想に外れてたら外したりするから。あんまりボケと考えてなくない?

上田 確かに。「だってそうじゃん」みたいな。

サイトウ だから俺もツッコめないときがある。一理あるなっていうのがけっこうあったりしますね。

──ちょっと普通じゃないことを言ってるけども、一理ある。

サイトウ 「そういう人もいるか〜」っていうような。

上田 だから自分の中で筋が通ってないと、キレられないというか。間違ってるものをボケとして言うとなるとなんか気持ち悪いというか。

──役としては正しいと思って言ってるから。

上田 全然正しいし、ツッコませないし、みたいな(笑)。

サイトウ 何が悪いし、みたいな(笑)。

──具体的にはどういう感じでネタを作っていくんですか?

上田 ドラマチックなシチュエーション、それこそマルチ商法のやつで言ったら野球の試合に負けたみたいな、ああいうのが好きだから、それをどう茶化すかっていうか。最初のところを考えて、どうやってイジろうかみたいな感じですかね。

──家で1人で考えるんですか?

上田 最近は「弱い人たち」でいろんなつながりができたからそれこそ塚本くんとかポテしくんとか、玉田企画・玉田くんとかも、会ったらこういうの考えてるんだけどどうかなみたいに聞いたりもします。けっこう忌憚なく言ってくれるから。この人たちがおもしろいって言ってるんだったらおもしろいだろって自信持ってかけたり。でも基本は1人でずっと書いてることが多いですね。

──台本はびっしり細かく書くんですか?

サイトウ 書くほうじゃない?

上田 そうですね、一言一句。

──ネタ合わせはどんな雰囲気ですか?

サイトウ 台本もらって、まあ普通に……普通っていうかまともに組んでるのここが初めてなんですけど(笑)。

一同 あははは(笑)。

上田 「台本がある!」って(笑)。

サイトウ コンビは3組目なんですけど台本もらうのが初だから、「あ、台本ってこうやって書くんだ」って(笑)。それを読み合わせる感じですね。絶対カラオケボックスだよな。

上田 うん。僕がすごい叫ぶやつが多いから。外でできないですね(笑)。

──確かに(笑)。

上田 そのカラオケボックスのお金は全部出してくれてます。

サイトウ ボケと出資なんで。

──ツッコミではなく(笑)。

上田 これはでも本当にいいシステムだと思うんですよね。ネタ書いてる側と書いてない側っていうので、どこかで「いやネタ書いてねえじゃん」って思っちゃいそうな瞬間って前のコンビでもあったんですけど。今は全部出資していただいてるんで、私は何も不満がございません、サイトウ様に関して。

一同 あははは(笑)。

──ネタ合わせ以外にも出資してたりするんですか?

上田 たまに飯とか。飲みとかもちょっと払ってくれたりとかはあります。

──そこでちゃんとバランスは保たれてるんですね。

上田 そうですね、これはもう本当に何も言うことはありません(笑)。

──上田さん的には好きなネタ書けてお金ももらえて。

上田 そうですね、だから金もらって書いてるみたいなことですもんね言ったら。

サイトウ 現ナマ払うのちょっとイヤらしいじゃないですか。

上田 それでもいいんですけどね僕は。

サイトウ そうなってスベったときにはもう憎しみしかないよ(笑)。

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本気出したら会場が壊れちゃうから

──ではコンビ名の由来を教えてください。

サイトウ ウルトラマンのゾフィーです。

──なぜそこから来たんですか?

上田 なんか好きなんですよね。ちょいちょい出るんですよゾフィーって。ウルトラマンとか、ウルトラマンセブンとか、タロウとか、全部にちょっとずついいところで出るけど、でもフリなんですよ結局。「長男まで出てきたのに負けてしまう超強いやつ」っていうフリとして毎回出てくるから、すげー好きなんですよね。

──ゾフィーが長男ですか?

上田 長男です。本当はめちゃくちゃ強いんです。でも本気出したら地球がぶっ壊れちゃうっていう。だからそのバランスがわかんなくて、結果いつもやられちゃう。

──不器用な感じですか?

上田 いや、シュッとした感じでやってるんですよいつも。本気出したら超強いけど、本気出してないぞみたいな。

サイトウ スベっても、俺ら本気出してねーしっていう(笑)。

上田 本気出したら会場が壊れちゃうから。

一同 あははは(笑)。

上田 って言えるように(笑)。

──上田さんが元々好きで、上田さん発信で?

サイトウ そうです、そうです。

──それはすぐに決まったんですか?

上田 ほかに候補なかったな。

サイトウ ないです、ゾフィーだけ持ってきたんです。その心はを聞いて今みたいなこと言ってたんで、ああいいねって。哀愁もあるし、いろんな回でも出てくるしみたいな。

──その心の通り、ゾフィーさんってシュッとしたイメージがあります。

上田 いやシュッとしてないですよ全然。

サイトウ 坊主とおじさんのコンビですよ。

上田 本当に(笑)。

──ちなみになぜ坊主にされているんですか?

上田 これは天パだからなんですよ。イカつい天パというか。ブロッコリーみたいになっちゃうんです(笑)。

サイトウ くせ毛が本当にすごい。

上田 前髪がまず垂れないんですよ。全部後方に伸びて。ブロッコリーをグッてやった感じ(笑)。

──学生時代からですか?

上田 高校ぐらいまでは生やしてましたけど、大学入ったらもう。坊主もパンチはあるんですけど、この地毛だと髪の毛の病気なのかなみたいな感じになるから。

サイトウ そんなになの(笑)。

上田 それに頭の形いいんですよ俺。

──確かにきれいですよね。

上田 だからそうしようと思って。

──コント師の方はカツラをかぶりやすいからとかっていう……。

上田 ああ、そんなプロ意識とかじゃないですね(笑)。

──あははは(笑)。

上田 それにしようかなー理由。

サイトウ そんなヅラかぶるネタないから(笑)。

1ネタで30秒だけ俺を見て

──今回の単独ライブの見どころを教えてください。

上田 今回はノンフィクションみたいな感じで、俺らの過去を追う企画をやろうと思ってます。

サイトウ 映像でね。

上田 だからどこまで掘れるかっていうところですね。笑えないところまで行っちゃうのかどうかっていう。次のコントが入ってこないみたいな(笑)。

サイトウ みんなザワついちゃって(笑)。

上田 「え?」ってなる可能性あるから。でもまあさすがに単独でしかやらないし、もうちょっと俺らの素性を明かそうという感じでやろうと思ってます。

──全て新ネタとのことですが、コンセプトなどはありますか?

上田 結局「だってそうじゃん」ってことですよね。俺の中では。

サイトウ 俺らのはたまたま当たり屋に当たっちゃったっていうコント(笑)。

上田 だからまあ単独は怒るでしょうね、たくさん。

サイトウ 俺に対してね。

上田 フライヤーの写真みたいな感じで。でもその怒りも半分は共感してもらいというか。「何バカなこと言ってんの」と思いながらも、「でも確かにそうかも?」みたいな……。説明って難しいなー!(笑)

──ただの当たり屋のようだけど、よくよく聞いてみると一理あるという部分をわかってほしいということですよね(笑)。では最後にこの単独を観に来る方々へメッセージをお願いします。

サイトウ うちの相方が主役なんで、「たまには俺も見て」じゃないですか。1ネタで30秒だけ俺を見てっていう(笑)。

一同 あははは(笑)。

──上田さんは。

上田 「お笑いじゃない人も観て」ですね。内容的にはちょっとブラックですけども、普段お笑いを観てない人も楽しめるように全力を尽くしてるつもりなんで。そこを観てください。

サイトウ まとめてくるねえ(笑)。さすがだねえ。

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《直筆アンケート》
サイトウさん

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上田さん

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(2017年2月12日)

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