自己投資志向

消費者の購買意識や購買行動は多岐にわたる。代表的な消費者の志向には価格志向(価格の安さを重視する)、本物志向(品質や高機能にこだわる)、健康志向(体に良いことを基準とする)、ブランド志向(有名な企業や商品のブランドを重視する)などがある。そして、消費者が何を意識し、何を求めているのかは時代や文化、個人の属性や志向など様々な要因に影響される。

さて近年、自分を高めるため美や健康、知性、教養などに支出をする自己投資志向が新たな潮流としてある。しかし、博報堂生活総研による生活定点では、何らかの学習を続けたいという人はむしろ年々減っているようだ。例えば1998年と比べて「いくつになっても学んでいきたいものがある」と答えた人は18.2ポイント減少、「社会人が気軽に学べる場がもっと増えるべきだと思う」と答えた人は15.0ポイント減少している。

なぜ、学びたい人は減少しているのに自己投資志向の消費者が増えているのだろうか。この背景には、様々な場面で選ばれる事が多くなった現代社会があると感じた。受験、就活など、現代ではライフイベントの度に努力をし、より良い場所に選ばれなければならない。また逆に、結婚や出産といった機会では自由が増えた分、能動的で意識的な選択をする状況がとても多いと感じる。

現代人は選択する側の個人としてシビアな心理を知ったために、様々な場面で自分が選択される側であることに不安を感じているのではないだろうか。そして、学びの場は選ばれるための手段となっているのではないだろうか。

誰もがネットを通じて様々な機会に出会える今、美や学びが手段として役に立つかどうかで選択されてしまうのだとしたら、とても悲しい。

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