けもの
6月2日
子どもの頃から毛深いことにはずっと悩んできた。
「わぁ、すっげぇ腕!」
小学校の運動会。
見ず知らずの男子から半袖の腕をジロジロ見られ、からかわれたことがあった。
「こんなにすごいヒトは初めてだ」
初めて部屋に泊まりにきた最初の彼の言葉はいまだに忘れられないトラウマになっている。
からかってきた男子は泣いて謝るまで追いかけ回し、件の彼とは一線を越えることなく破局した。
母に相談すると
「遺伝だから仕方ないのよ。大人になったら綺麗になるよ」
との返答だった。
あれからだいぶ年月が経った。
今や私の体毛は、皮膚を埋め尽くすぐらい濃く、深く、生い茂っている。
もうしばらくしたら、故郷の山に籠もって暮らそう。
半ば本気で考えている。
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