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コミュニケーション

社会人としての基本的な能力の1つにコミュニケーションという分野があります。
私も社会人になってからコミュニケーション能力(以下、コミュ力と略します)が大事だと刷り込まれてきました。
研修やセミナーでもコミュ力向上という分野で1つのカテゴリができていて、マナー的なものから傾聴や人の注意を引く方法など様々な内容が含まれています。
勤務先でもハラスメント対策を目的としてアサーティブコミュニケーション(お互いを尊重しながら意見を交わすコミュニケーション)の研修が定期的に実施されています。
  
私は自身をコミュ症(コミュニケーションが苦手という意味のスラング)だと表現することがあります。言葉巧みに面白い話で場を取り持つコミュ力が高い方々への憧れとの対比で使用しています。ただし、敬語、雑談、小話、忖度が出来ないといったことをコミュ症という単語で端的に表現したいだけで、必要な時には意思疎通を図る努力をします。
 
コミュニケーション能力と表現する場合、纏めてしまっていることが多いですが、他者と意思疎通を図れる能力そのものを指す場合と、意思疎通を円滑にするための補助的なスキルやテクニックを指している場合があるように思います。
そして、コミュ力が高いと評価されている方や言葉巧みでコミュ力が高そうに見える方の意思疎通が上手く出来ているかというと、必ずしもそうではないので気を付けなければならないと感じます。
最近、
打合せで話が弾んでいるものの決めなければならないことが決まっていなかったり、
会議後に仲間内だけになると「カドが立つから指摘しなかったけど……」という話がはじまったり、
という場面を見かけることが多くなりました。
 
このような場面で根掘り葉掘り質問すると、空気の読めない(コミュ力がない)奴だという評価を受けるのかもしれません。コミュ症の私には高度過ぎて理解できませんでしたが、もしかすると仲間意識を高めるためにワザとこのように振舞っているのかもしれません。
 
 会社によって違いがあると思いますが、私の勤務先では技術職であっても評価項目としてコミュ力が重視されています。また、人事部門が推奨する研修も技術的なものよりコミュ力向上などヒューマニズム的なものが多くなっています。

人事部門ではeラーニングに使用するシステムの開発をベンダに外注しています。その開発の打合せに参加した際に聞いた「ベンダの担当者は技術職だから癖がある。営業職のような会話は期待しない方が良い」という説明が印象に残っています。
人事部門には、技術者はコミュ力が低いという潜在意識があるのかもしれません。
実際に打合せに参加してみたところ、担当者の説明や質問への受け答えが端的でした。たしかに説明不足に感じることもありましたが、もっと癖のある方々と仕事をしていた私が聞くと、まっとうなコミュ力に感じました。
人事部門は普段から研修やシステムの営業を受ける立場にあり、アサーティブなコミュニケーションを推進している立場からも、オブラートに包んだ会話を望んでいたようです。
普段の何気ない会話によって自身の言葉遣いや普段と異なる言葉を聞いた時の印象が違ってくるのかもしれません。話が逸れますが、私が社外常駐後に自社へ戻った際に、自社での会話を乱暴に感じたことを思い出しました。文化系から体育会系の部活に迷い込んでしまったような違和感とでも表現しましょうか。。。
 
 eラーニングのシステム開発に話を戻します。人事部門では「毎回、要望するシステムとは違うものが作られる」とも嘆いていました。
そこで、要望とベンダに伝えている依頼内容を比べてみたところ、ベンダには具体的な内容が伝えられていませんでした。理由は「システムでどこまでできるか分からないので概要のみを伝えてベンダからの提案を待つことにしている」とのことでした。

一方のベンダは受けた依頼内容のみで判断し、成果物イメージを人事部門と詰めることなく作業を進めていて、結果、要望と完成品が異なっていたようです。
ベンダに話を聞くと、初めから要件を詰める相談を行っていなかったわけではなく、人事部門に相談しても「システムのことはわからないから任せる」と消極的だったので相談しなくなったそうです。
話を聞いていると意思疎通が上手くいかずに段々と信頼関係が損なわれ、信頼が無いからコミュニケーションも停滞するという悪循環に陥っていたことがわかりました。

とはいえ工夫する余地はあったと思います。
人事部門がシステムの内部構造にはあまり興味がなく、システムの見た目や操作性に興味を示すことがわかっていれば、画面ハードコピーやプロトタイプを提示することで相談に乗ってこさせることができたと思います。
人事部門も横文字が出てきただけでアレルギー反応を起こさないようにしないと、主業がシステム開発を行っている会社の間接部門としてはお粗末です。
お互い遠慮して上手くいかないシステム開発は意外に多いものです。こういう時は空気を読まずに相手を巻き込んでしまう方が良いのかもしれません。
 
コミュ症の私ですが、技術畑出身のためか横文字に嫌悪感がありません。また、言葉の端々から実現したいことを読み解き言語化(要件化)できます。
中小企業支援を行う際の役に立つ日がくるかもしれないと考えながら、ベンダとの橋渡しを行い、コミュニケーション能力を研鑽していきたいと思います。

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