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前立腺がん治療の実況中継#07 自己導尿

自己導尿

1週間後。血液検査の結果、尿路感染症は問題なしということに。尿道カテーテルを抜くのですが、私の場合は最初にちゃんとおしっこが出ても、その後出なくなるという前科があるので、カテーテルから生理食塩水を入れて、実際に生理食塩水のおしっこをしてみて、膀胱の中にどのくらい残っているかを検査してみるという話。結果としては膀胱に100mlほど残っていたらしく、尿道カテーテルを抜いた後は自己導尿というものをすることに。

自己導尿とういのは、自分で尿道から管を入れて、その管が膀胱に達すると管から尿が出てくるというもの。自分で尿道に管を入れる! 私は世界で最も痛みに弱い男だ、そんなことができるのか? でも、あのおしっこをしているはずなのにおしっこが出ないという恐怖を味わうのも嫌だ。ということで、おとなしく自己導尿にトライすることになりました。俎板の上の鯉。言われるがまま。看護師さんに教えてもらいながらやってみると(この頃になると、看護師さんの目前でおしっこをすることに何の抵抗も感じなくなっていました)、思ったよりもあっさりとできてしまいました。違和感はありますが痛みはありません。ちょっと安心。

さて、私が使った器具について説明しておきましょう。まず、カテーテルを入れるケースがあって、その中に消毒液を入れます。その中にカテーテルを入れるのですが、沈んでしまわないようにカテーテルの上部にキャップをつけます。このケースは中央部が蛇腹になっており、二つ折りにすることができます。また、ケースにはフックがついていて、二つ折りにしたときに固定したり、伸ばした状態で引っかけたりすることができます(引っかけられないと使いにくいでしょうねぇ)。持ち運ぶ時には、二つ折りの状態で外ケースに入れてコンパクトに持ち運ぶことができます。

心配なことがいくつか。ひとつは用具に触れる前に石鹸で手を洗わなければならないこと。自宅のトイレにも、職場のトイレにも、石鹸で手を洗えるような場所はありません。ということは、手を洗った後にドアのノブなどに何度か触れなければならないということです。これはアルコール除菌ウェットティッシュを持ち歩くことでクリアしました。ふたつめは導尿した後の用具の洗浄。水道水で洗うことになっているのですが、まさかトイレで導尿した後の管をぶら下げて水道のところに持って行くわけにも行きません。これは水道水を入れた500mlのペットボトルを持ち歩くことで解決。

自力で出たおしっこと導尿したおしっこを計量して記録しておかなければならないのですが、そのために計量カップを用意しました。入院していた時にも2度ほど計量したことがあって、その時に使っていたものと似たものを購入しました。記録用の用紙ももらったのですが、Excelに入力することにしました。その日の排尿量やおしっこをしたインターバルが何時間だったかなども勝手に計算してくれるように作ってクラウドに保存。入力はiPhoneで。もっとも、職場ではなかなか入力できませんでしたが。

1日に4回自己導尿をするように指示されました。朝・昼・晩・寝る前の4回です。でも、私の生活パターンでは、朝は5時前、昼は13時から16時の間のどこか、夜は20時から21時くらい、寝る前は22時くらいと、とても偏った時間帯になってしまいます。でも、仕方ないですよね。

実際に自己導尿を始めてみると、自己導尿では20~30ml程度でした。ほとんど自力で排尿していてることになります。計量カップは50mlから目盛りがついているのですが、目盛りのところまで到達することはありませんでした。50ml以下なら自己導尿をやめてもいいという情報もあったので、ちょっとずつ手を抜くようになりました。何だかんだと15分くらいはかかるので、面倒なんですよね。自力排尿量と導尿量を記録して、管を洗浄して、計量カップを洗浄して、寝る前にはケースの消毒液を捨ててケースを洗浄して(逆に朝はケースに消毒液を入れる作業になるわけです)、ペットボトルに水を補充して……ってやってたら15分くらいかかってしまうんですよね。最初の2週間は真面目にやっていましたが、後半の2週間は朝と夜だけにしてしまいました。案の定、主治医のM先生はそんなことは気にも掛けず、記録した用紙をろくに見ることもなく、「大丈夫ですね」ということで自己導尿の日々は終わったのでした。

最初の頃は血も混じっていましたが、やがて血が混じることもなくなりました。

自己導尿になって気が付いたのですが=それまでは尿道カテーテルを使用していたいので気が付かなかっただけなのでしょうが、突然強い尿意を感じて、それを完全に我慢することができないという状況が1日に何度か起こるようになりました。これには参りましたね。手術の傷口からの出血が止まっていなかったので引き続き紙パンツ着用だったのですが、この尿意切迫のおかげで出血がほぼ止まっても紙パンツを手放すことができなくなってしまいました。さっき「神パンツ」と誤変換されたのですが、それが誤変換とは思えないほど紙パンツは「神」です。

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