次は俺たちだ!マーボ、トミー、休んでいてくれ 『フィスト・ダンス』 第119回 「狸の皮算用」


<緊急「大」ニュース!?>

来たる2024年2月16日、いよいよ『天晴!な日本人』がワニ・プラス社より満をして刊行されます。大久保、小村の他、乃木希典まれすけ、桂太郎の愛妾の、凜とした美人のおこい、高橋是清これきよ、小野寺まこと、東條英機、樋口季一郎ひぐちきいちろうの、日本人の魂を伝えます。安倍さんの偉業とメディアについても詳述しているので、今後の参考にして下さい。超人気のおそれあり?あっという間に品切れとなる前に、アマゾンでの予約をしといた方がいいです!よろしく!

<本文>

「うわっ、なんですか、その色はっ!」

藤田が大仰にのけ反ると、隣の伊達や、甲南中の男たちも、げえっ、という顔で固まった。
翔太、トミー、マーボの3人が、トレーニングウエアの裾をまくってすねあらわにしたからだ。
3人の脛には、黒、青、緑、茶、黄、赤と、色とりどりのあざがついている。
どれも、ビール瓶で脛を叩いて鍛えた痕だ。
毎日、やっているので、痣が治る過程で、色が違うのだった。
それは痛さに負けず、ガンガンぶっ叩いている、己と闘う精神の勲章でもあった。
マーボが、タイの少年のテレビを見てからのことを話すと、藤田たちは、「へえええっ」と感心している。

「それでよ、俺たち全員がやってるってわけだ。な、みんな。ちょっと、見せてやれよ」

トミーの掛け声で清正たち8人も、ほらな、と裾をまくって、痣だらけの脛を誇らしげに見せている。

「これ、効果ありますか?」

「ああ。みきお、これを鉄のように強化したら、相手のガードした腕もへし折れるだろ。あのタイの少年がやってるってことは効果があるってことだし、俺たちが、それを証明してやる」

翔太には一片の疑念もなかった。

「そいじゃ、俺もやろう。マーボとトミーに負けてらんねえかんな」

藤田は、マーボとトミーを睨んでからニンマリとした。

「おお、やれやれ。こっちだって、いつまでも、みきおの風下かざしたに立ってらんねえからよお」

トミーが笑みで返すと、マーボも、「待ってる」と言葉を重ねた。

甲南中の一行が菊山道場に来た時は、練習以外でも大いに盛り上がる。
喧嘩は圧倒的に大中が強いが、見くだすことはなく、仲間意識に包まれていた。
甲南中にしても、他校が相手となれば、一等抜けて強くなっているのだ。
光和こうわとの一戦もあったので、藤田も有名人の一人だった。

「ああ、俺も、その番組見たかったなあ。やっぱ、違いますか、タイの奴は?」

「ああ。小さい頃からやっているから、脚は上がるし、しなるし、速いし、うまい。それに生活というか、貧乏からいあがろうというハングリー精神があるからな。10歳くらいの子でもレベルが高い」

「びしっ、と決まるし、軽やかなんだぜ。余計な力が入ってねえっていうか、きっちり型にはまってやがる」

翔太にトミーが続いた。

「ハングリー精神かあ。今の俺は、前より恵まれてっからなあ」

藤田が珍しく遠くを見るような目をした。

ここから先は

2,044字
書評、偉人伝、小説、時事解説、コメント返信などを週に6本投稿します。面白く、タメになるものをお届けすべく、張り切って書いています。

書評や、その時々のトピックス、政治、国際情勢、歴史、経済などの記事を他ブログ(http://blog.livedoor.jp/mitats…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?