次は俺たちだ!マーボ、トミー、休んでいてくれ 『フィスト・ダンス』 第119回 「狸の皮算用」
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<本文>
「うわっ、なんですか、その色はっ!」
藤田が大仰にのけ反ると、隣の伊達や、甲南中の男たちも、げえっ、という顔で固まった。
翔太、トミー、マーボの3人が、トレーニングウエアの裾をまくって脛を露わにしたからだ。
3人の脛には、黒、青、緑、茶、黄、赤と、色とりどりの痣がついている。
どれも、ビール瓶で脛を叩いて鍛えた痕だ。
毎日、やっているので、痣が治る過程で、色が違うのだった。
それは痛さに負けず、ガンガンぶっ叩いている、己と闘う精神の勲章でもあった。
マーボが、タイの少年のテレビを見てからのことを話すと、藤田たちは、「へえええっ」と感心している。
「それでよ、俺たち全員がやってるってわけだ。な、みんな。ちょっと、見せてやれよ」
トミーの掛け声で清正たち8人も、ほらな、と裾をまくって、痣だらけの脛を誇らしげに見せている。
「これ、効果ありますか?」
「ああ。みきお、これを鉄のように強化したら、相手のガードした腕もへし折れるだろ。あのタイの少年がやってるってことは効果があるってことだし、俺たちが、それを証明してやる」
翔太には一片の疑念もなかった。
「そいじゃ、俺もやろう。マーボとトミーに負けてらんねえかんな」
藤田は、マーボとトミーを睨んでからニンマリとした。
「おお、やれやれ。こっちだって、いつまでも、みきおの風下に立ってらんねえからよお」
トミーが笑みで返すと、マーボも、「待ってる」と言葉を重ねた。
甲南中の一行が菊山道場に来た時は、練習以外でも大いに盛り上がる。
喧嘩は圧倒的に大中が強いが、見下すことはなく、仲間意識に包まれていた。
甲南中にしても、他校が相手となれば、一等抜けて強くなっているのだ。
光和との一戦もあったので、藤田も有名人の一人だった。
「ああ、俺も、その番組見たかったなあ。やっぱ、違いますか、タイの奴は?」
「ああ。小さい頃からやっているから、脚は上がるし、しなるし、速いし、うまい。それに生活というか、貧乏から這いあがろうというハングリー精神があるからな。10歳くらいの子でもレベルが高い」
「びしっ、と決まるし、軽やかなんだぜ。余計な力が入ってねえっていうか、きっちり型にはまってやがる」
翔太にトミーが続いた。
「ハングリー精神かあ。今の俺は、前より恵まれてっからなあ」
藤田が珍しく遠くを見るような目をした。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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