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『天晴!な日本人』 第25回 始末に困る無私無欲の猛者 山岡鉄舟 (4)

海舟は鉄舟のことを「バカだ、バカのつく正直者だ」と評していますが、神官の家に生まれた、この母のように、子に対しても、どこまでも正直に接するということが、鉄舟の人生に多大な影響を及ぼしたことは否定できません。
西郷と鉄舟の逸話も数多あまたありますが、1873(明治6)年1月の雪の降る日、鉄舟の長男、14歳の直記なおきが玄関の前にいた時、右手に太い杖、左手に徳利を下げた大男が訪れました。
蓑笠みのがさをつけ、素足に草鞋わらじという風体ふうていでした。眉太く、目は大きく、耳の端は口の両側近くまで垂れているような男が、「おっとさんはおるか。西郷がおうかがいしたというてくれ」と言ったので、直記は驚愕しつつ家に入って、「お父さん。玄関に変な怪物みたいなものがいて、西郷が来たといえ、と言っています」と叫んだのです。

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