『フィスト・ダンス』 第113回 「強くなりたい動機は、女子学生!?」

<香女の学校祭>

秋が一層深まった頃、翔太たち一行は、香陽こうよう女子学園、香女こうじょの学校祭の場にいた。
京子の招待、というより、「絶対おいでね!!」と念を押された招集だった。
翔太以外の面々は、言われなくても行きまーす!というていだったが、今年は藤田たち、甲南中の面々も一緒だった。藤田と伊達が、この日を首を長くして待っていたのだ。
香女は不良少女、ズベ公の巣窟そうくつだが、派手で、きれいな子が多いので、街のツッパリ高校生にとっては、学校祭は一大イベントだった。

京子は昨年と同じく喫茶店をやっていた。
教室に飾りつけをした店内には、この街の不良高校生のドンの純一と、今年は本堂昇ほんどうのぼるも来ている。
二大ドンの顔合わせで、不良女子高生たちは、他のクラスからも入れかわり立ちかわり、やって来ては、媚びを売っていた。
純一も本堂も、そんなことには慣れているので、うわついた態度ではなく落ち着いたものだった。
傍らには、暁星、泉南の二大高校の長ランたちもいた。

いつもと違って、顔がほころんでいるのは、翔太以外の大中、甲南の面々だ。
特に先日、光和と戦ったマーボらは、名前と顔も覚えてもらっていて嬉しさを隠さない。
最も声が掛かるのは、もちろん翔太だが、ズベ公はちょっと、というので最低限の返事のみで、あとはマーボ、トミーが対応している。

黒地に金の縁取りのあるシャレたエプロン姿の京子が、翔太、純一、本堂のいるテーブルに同席し、周りを香女の女たちが囲んでいた。
隣のテーブルにはマーボ、トミー、藤田、清正がいて、他のテーブルに大中と甲南の長ランたちが、すっかり仲良くなって同席している。
どのテーブルにも香女の女たちがいて、ホステスのように相手をしてくれていた。

「ちょっと、翔太君。まだまだ紹介してっていう子が、いっぱいいるんだから、ちゃんと、いなさいね」

京子は今日も、きっちりメイクをしていて美人だった。『ハクション大魔王』の、わがまま娘のアクビちゃんが成長したらこんな感じだろうという風情ふぜいだ。

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