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『天晴!な日本人』 第76回 「忠義に殉じた聖将、|乃木希典(のぎまれすけ)のストイシズム」 (1)



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<本文>

<乃木大将無能説の真偽を解く>

近現代史だけにかかわらず、我が国の歴史において、不当におとしめられている人物は枚挙にいとまがありませんが、「聖将」乃木希典大将も、その筆頭格と言える人物です。

人口じんこう膾炙かいしゃする中で、最も有名な説では、司馬遼太郎の『坂の上の雲』や『殉死』という作品において、口を極めて乃木大将を無能と、批判を通り越して罵倒を繰り返すさまは、巷間では人格者・好人物と表面上にすぎない評価を得ている司馬の精神の未熟さ、資料に対する調査・研究の稚拙さを表していると共に、自ら史実を調査・研究しようとせず、権威的なものに即座に従う日本社会の短絡さを示すものでもあります。

対談相手や接した人々に博覧強記、温かい人柄と感じさせる司馬ですが、作家の古川薫ふるかわかおる氏に対し、明確に乃木大将の出身である「長州人(山口県人)は嫌い」(『斜陽に立つ』文春文庫25ページ)と言及し、そのために乃木大将の事績を歪曲、ことさらに軍人・指揮官として無能のレッテルを貼り付け、司馬作品が広く日本人に読まれているがゆえに、「乃木大将無能説」が瀰漫びまんしていることは、事実と異なるだけにもだし難いことです。

本章では、その誤りをただし、極力、正確な乃木大将像を描きます。
「乃木大将無能説」は、日露戦争時、第三軍司令官として、旅順りょじゅんの難攻不落の金城鉄壁の要塞を攻めた際、多数の死傷者を出し、陥落まで155日間もかかったことや、乃木大将ではらちが明かないと、満洲軍総参謀長の児玉源太郎こだまげんたろう大将が指揮を代わったことに由来します。
児玉大将は乃木大将と同じ長州出身の叩き上げの軍人で、智謀あふるる英傑でした。乃木大将とは若い頃から親しく交友している間柄でもあり、内務相・台湾総督兼任の立場から、降格になることも厭わず、陸軍の参謀次長の役を買って出た偉才です。

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