野心。 『フィスト・ダンス』 第128回 「丈次の大器晩成(たいきばんせい)?!」


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マーボとの対戦から一週間後、菊山道場において、トミーと藤田戦が行なわれた。
マーボの時と同じく、混戦模様となったが、僅差きんさで、やはり藤田が優勢だった。
前回の反省会で話した連打からのカウンターは、形としては決まったが、威力に欠け、致命的な一撃にはならずじまいであった。


「そうか、今回も、みきおが判定勝ちか。なるほどな、マーボ、トミーにとっては、まさにみきおが壁だな」

カウンターの向こうで天野が太い腕を胸の前で組んで笑みを浮かべた。
対戦後、翔太、マーボ、トミー、藤田、伊達の2年生に、ただ一人の1年生の丈次が加わって『テオジニス』にいた。
この頃の丈次にとっては、藤田も伊達も親しく話すことができる先輩になっている。

「でも、その壁、最近は高さが足りなくなってきました。まだまだ負けはしないですが、マーボもトミーも強くなってきたんで」

藤田は右側に並んで座っている翔太、マーボ、トミーの方に顔を向けた。その表情には、うっすらと笑みが含まれていた。

「おっ、みきお、なんだ今日は。随分、謙虚じゃないか。いつものように、どうってこたあないって態度じゃないな」

「こいつら、入学してから今までの間で、よくも、こんだけ強くなりやがってって、感心っていうか、うん、やるじゃんって感じです。もちろん、菊山君の一番弟子ってのがあるからですけど、やっぱ、やってるからだなって。油断できないですよ、これからは今まで以上に」

藤田は、そう言って、マーボとトミーに、「なっ」とニンマリした。二人共、無言で笑みを返している。

「で、翔太、どうなんだ、今後のこいつらの展望は?」

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