『フィスト・ダンス』 第107回 「決戦!」
<管理人よりお知らせ>
祝日の関係で、来週の投稿は(月)天晴!な日本人 (火)フィスト・ダンス (水)美達さんからの返信 になります。皆さま、よろしくお願い致します。
<いざ、高良川へ!>
ドスン、という鈍い音と共に、「いてっ」という声がした。
「ほらな、受け身は、きっちりやれよ」
翔太の声が飛ぶ。菊山道場では、対柔道を想定して、最後の特訓が追い込みに入っている。
トミーが腰をさすりながら起き上がり、「もう一回だ」と晃一に向かっていった。
「晃一、思いっきり投げてやれ。相手は手加減なんかしないんだからな」
翔太が言う傍らで伊達がマーボと藤田を交互に投げ、受け身を繰り返させている。
「次は清正。いいか、すぐに立てよ。でないと、マウントになって、のしかかられたら苦しくなるからな」
「うん」
翔太は、最悪のケースを想定して練習していた。
そうしておけば、当日、どうしていいかわからないというパニックになることはないし、体が反応してくれるはずである。
単純な攻撃系、つまり殴る蹴るだけの戦いとなれば、ディフェンス術をマスターしつつあるマーボたちは、勝てなくても、まず、負けることはないはずだ、と読んでいた。
万一、彼らの方がパワーがあったとしても、ディフェンスで凌いで疲れさせればいい。
日頃のトレーニングで、スタミナは自分たちの方がはるかに上だという思いもあった。
光和の連中が格闘技経験者であろうと、現役ではない。
ならばハードなトレーニングはしていないはずで、スタミナに関しては有利なはずだ。
柔道で組まれたら、まず、そこで対処、それが失敗して投げられた際は、体にダメージを残さないように、きっちりと受け身をとり、即座に立ち上がって応戦せねばならない。
翔太自身の対レスリング対策は考えてある。
暁星でのスパーリング見学と、猪口とのスパーリングで、大体の予測はついていた。
打撃系になれば、現在の自分のパワー、スピード、テクニックの方が上だ、という自信もあった。
伊達に椿町のヤクザ、チンピラ相手に「修行」してきたわけではないのだ。
練習後、
「大丈夫だ。当日は冷静に見て、普段通りにやればいい。今のおまえらなら負けるはずがない。俺たちの強さを見せてやろう!」
という翔太の檄に男たちの歓声が上がった。
決戦は、土曜日だ。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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