『フィスト・ダンス』 第136回 後輩たちよ、強くなれ


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<鍛練、鍛練、鍛練>

初夏にもならないというのに、菊山道場は熱気にあふれていた。
2年生の丈次たちが1年生に稽古をつけている。その様子を3年生の翔太たちが見つめていた。

丈次は1年生の番長である笹谷ささや大作を相手に余裕の組み手を見せている。大作は170センチと大柄だが、丈次はまだ4センチも背が高い。
その風貌から最近は3年生か、高校生でもなんとか通るようになってきた。角刈りの大作が、額に玉のような汗を浮かべて、もともと、きかない顔をさらに険しくして手足を振り回しているが、丈次は涼しい顔でさばいていた。

隣では副番長の洋一が、1年生の副番長のうちの八木義信よしのぶを相手にして、こちらも余裕を見せている。その後ろでは、これも副番長にしてきたつとむが、1年生のもう一人の副番長の中辻宏なかつじひろしを相手にしていたが、これも力の差が大きかった。

「大作、どした。ちっともいてねえぜ、それじゃ」

丈次は息を荒くすることもなく、大作の攻撃をいなしては、軽く小突いている。大作は、ムカッとした表情で拳を振り回すのだが、ことごとくブロックされては、逆に小突かれていた。

「へへっ、丈次の奴、余裕かましてやがんな。去年の今頃は俺たちに遊ばれてたのによお」

マーボが悪童顔で言うと、清正たちも同意のかわりに笑みを浮かべている。

「なあ、丈次なら他の学校の3年どもも目じゃないだろ、支部長クラスならどうだ?」

翔太に問いかけたのはトミーだ。

「うん、いい勝負になるな。少し長くなれば丈次が勝つ。スタミナと根性は、ずっと上だからな、今じゃ」

翔太は、こともなげに言った。

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