『フィスト・ダンス』 第150回 『石油ショックの影響』
<1974年>
紅白歌合戦では百恵が『ひと夏の経験』、
以下、小柳ルミ子『冬の駅』、
南沙織『夏の感情』、
山本リンダ『闇夜にドッキリ』、
あべ静江『みずいろの手紙』、
八代亜紀『愛ひとすじ』、
郷ひろみ『花とみつばち』、
野口五郎『甘い生活』、
西城秀樹『傷だらけのローラ』、
渡哲也『くちなちの花』、
布施明『積木の部屋』、
沢田研二『追憶』など。
レトルトパウチが許可となり、レトルト食品が出たのも、この年。ボンカレー、なつかしかあ。
平均寿命は男70.49歳、女75.92歳。
原油価格が上がると、化学繊維を使った衣料品の価格も上がり、翔太たちが愛好するアイビーファッションも値上がりしている。
<商売繁盛!?>
そのおかげで、中古品の需要が以前より増えて、翔太の商売も忙しくなった。
通常なら服が貴重となって中古品も買い取りできなくなるところ、なんせ中学生は育ち盛りで、一年二年もしたら体が大きくなって着られなくなるので、それなら売ろう、となるので在庫に困ることはなかった。
需要が増えると、欲しい者は高く買うからと勝手に値段を上げてくれるのが勉強になった。
そうか、欲しい、手に入れたい気持ちが強くなると、勝手に値段を高くしてくれるのだ、と。
一点、考えねばならなかったのは、クリーニング代が上がったことで、翔太は今でいう顧客満足度、カスタマー・サティスファクション向上と、生来の潔癖症で買い取った服は必ずクリーニングに出してビニール袋に収納した物を商品としていた。
ためにコストアップになったので、ここはコストダウンを図って、より利潤を拡大したいところだった。
はっきり言って翔太は賢い。生き方については大バカヤローだが、本人がそれを望んでいるのだから致し方なし、ご愁傷様である。
が、ひとたびビジネスとなると、これはもう天性の才能で、習っていなくても即座に「規模の経済」の原理を援用して、クリーニング屋のおじさんと交渉に入った。
翔太のプレゼンテーションは、そのまま大人の世界で通用する。自分の事情3割、相手の利益5割にスマイル2割である。
「ってわけで、おじさんは洗濯物を集めたり、配達に行かなくても儲かるわけです。今、ガソリンも高くなりましたしね」
と語って、毎月、最低限、これだけは出しますから、と数字を示していた。
<1999年7月、地球は終わる!?>
要は翔太の側が集めるのと配達を引き受ける他、毎月、まとまった量を出すから安くしてくれ、ということだ。単に安くではなく、配達と集める手間とその時のガソリン代を考えたら、安くしたところで、数を出すので、おじさんは得です、ということである。
翔太には勝算があった。今後は自分たちの長ランはおろか、クリーニングに出す物は全て、このおじさんの店に出せと布告を出すつもりである。そんなわけで、交渉成立だ。
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無期懲役囚、美達大和のブックレビュー
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