現役東大生の「わからない」を具体化する勉強法③数学編
こんにちは。東京大学 文学部三年の布施川天馬(@Temma_Fusegawa)です。
今日の「現役東大生の『わからない』を具体化する勉強法」では、数学についてお話をしていきたいと思います!
お恥ずかしい話ですが、理科と数学は僕の最も不得意な科目で、特に数学では東大模試で3点を叩き出したことがあります……でも本番ではどうにか50点代に乗せることができました。
今回はその勉強法についてお話しします。
数学で大事なことは?
ここまでの2回を読んできて下さった方は、何となく各教科で大事なことがあるということにお気づきかと思います。
全教科、特に現代文に関しては「自分は何がわからないのか」を具体化できるように、分析しながら文章を読んでいくということが大事でした。
英語や古文などの「外国語」については、まず、単語や文法などの、基本的な道具類を揃えた上で、ルールを深く理解することが大事でしたね。
では、数学はどうなのでしょうか?
僕の考える数学の学習ステップは以下の通りです。
①【公式を覚える】
三平方の定理とか、余弦定理とか、そういう公式の丸暗記です。
②【その式を用いた基本的な計算問題を解く】
教科書の、公式が書いてある下に載っているような、公式に数を代入すれば解けてしまうような問題です。
③【その式を用いた基本的な文章題を解く】
教科書の章末に載っているような、文章を読解して公式をうまく使わないと解かなければならない問題です。
④【その式を用いた発展的な問題を解く】
入試の過去問のような、公式を複数組み合わせて解く問題です。
僕は、特に①から③までを重視していました。
というのも、僕は暗記が得意だったので、式の形自体はすぐに覚えられることが多かったのですが、それを実際に使う場面で単純な計算ミスをしたり、使うべき場面なのに、その公式を使うという発想が出てこなかったりした、ということが往々にしてあったからなのです。
計算ミスについては、単純に計算力不足です。
突き詰めれば小学校クラスの四則演算にまで行き着くので、僕も気晴らしを兼ねて簡単な100マス計算をやったりもしました。ドラゴン桜2の2人と一緒ですね。
さて、数学においては、公式を暗記するところまでだと、まだ「インプットしただけ」という状態です。
しかし、そこで「公式が使える」と思ってしまう人がとても多いのです。
例えば、皆さんも新しい靴を買った後は慣れるまである程度履き慣らしてから使いますよね?まさか、さっき買ったばかりの新しい靴で富士登山をする人はいないでしょう。
公式もそれと同じで、ある程度自分に馴染むまで演習を積んで使い込まないと全く使えないんです。
では、「公式を使うべき場面で公式を使えない」というのは、一体どのような原因があるのでしょうか?
対策としては「公式の意味を理解すればいい」と良く言われますが、それは具体的にはどうすれば「理解した」ことになるのでしょうか?
これを「わかる」ようになるためのヒントは、実際に問題を解いた時に、正確にいうと、「解こうと思ったが、難しくて解けなかった時」に現れます。
問題の取り組み方
皆さんは、問題を解けなかった時に、どのように対処なさっているでしょうか?
多分多くの人は、とりあえず答えを見るとは思うのですが、その時に何を考えて見ていますか?
この問いへの答えを見る前に、一度考えて見ましょう。
そもそも、なぜその問題を間違えたのかといえば、自分の思考と、解答の方向性が異なったからです。
つまり、進むべき道を間違えていたり、そこに道があるとわからなかったからこそ間違えてしまったわけですね。
なので、問題を間違えた時に考えるべきことは一つです。
「なぜ自分はこのように考えることができなかったのか?」となります。
しかし、これでも少しフワフワしますね。
これは現代文でも使える考え方なのですが、何かわからないものを具体的に明かしたければ、「今知っている情報を、逆から考える」ということも有効な手段となります。
「なぜ自分はこのように考えることができなかったのか?」は逆にいえば、「そのように考えれば自分はこの問題を解くことができた」となります。
「解答文の文中には現れている、ある発想が足りなかったから、自分はこの問題が解けなかったのだ」と言い換えることができます。
例えば、三角関数においては、
sinθ^2+cosθ^2=1―①
という公式があります。これは、これだけだったら1つの公式ですが、変形させたりすることで他の式を導くこともできます。
例えば、tanθ=sinθ/cosθ―②という式と組み合わせてみましょう。
②はSinθ=tanθ×cosθとなるので、①に代入すると、
(tanθcosθ)^2+cosθ^2=1
Cosθ^2(tanθ^2+1)=1
tanθ^2=1/ (Cosθ^2+1)―③
と、新しい式が出てきましたね。
こうやって、①から③の式を導くことができます。
でももし、この式変形ができなかったとき、一体何が足りていないのでしょうか?
やらなければいけないことは、この回答と、自分の答えとをみくらべることで、足りなかったポイントを探すという行為です。自分の回答がどこで正解と違ってしまっているのか、どの点で自分の回答が書けていないのかを確認して見ましょう。
もしかしたら②の式を忘れているかもしれません。または、②の式は覚えていても、②の式を代入するというのができなかったのかもしれません。または、代入できても③までの計算の過程で計算ミスをしてしまっているかもしれません。
きちんと原因を調べていきましょう。
一通り見比べたら、それぞれの回答の各文章の意味を説明してみてください。
「意味」というと難しく思えますが、「この式の変形は、〇〇したいからやっている」みたいなことが言えれば結構です。
例えば、②の式を①に代入しているのは、①の式からsinθを消去しているということがわかるはずですが、もしその発想がなかったら、その意味の説明はできないはず。
ここにこそ、自分の「わからない」が潜んでいます。
おそらく、どこかに説明のできない文章が潜んでいるはずです。
自分の「わからない」部分を探すためには、自分の言葉で説明できるようにすることがおすすめです。そして、「わからない」問題についてはそれを繰り返し、解答のどの行についても完全に説明できるようにしてください。
そうなって初めて「わかる」&「できる」を兼ね備えた状態になれます。
そして、この方法が公式の理解に非常に使えます。
例えば、椅子は普通に考えれば椅子としか使えませんが、床に座れば(かなりお行儀は悪いですが)机としても使えますし、上に立てば、台としても使えるでしょう。
それと同じで、公式にも色々な見方からみて見るとまた違った性格が見えて来る場合があります。
これが「公式の理解」に繋がるわけです。
一つのモノを色々な方向から見てみましょう、ということですね。
まとめ
数学は膨大な範囲のそれぞれについて、暗記→演習→理解の3ステップを踏まなければ各分野の発展的な内容にいけないので、大変時間のかかる科目です。
しかし、だからこそ、効率重視で一つ一つのステップを早々に過ぎて行くことができるかどうかが受験の合否を分けるのではないかと考えています。
しかし、これは同時に粘り強く時間をかけて適切なアプローチをしていけば必ず成績が伸びる科目でもあります。
僕も7月頃から学習を始めて2月の本番までに東大数学のテストにおいて50点以上点数を上げることができました。
各ステップを辛抱強く積み、いつか得意科目と言えるようになれるよう、頑張ってみてくださいね。
ライター:布施川天馬(東龍門)
▼①現代文編
▼②英語&古文編
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