経済対策に関する重点事項(経済産業部会)

Ⅰ.新型コロナウイルス感染症の拡大への対応
1.強力な資金繰り支援の継続、拡充

新型コロナウイルス感染症の拡大は、地域の経済・雇用を支える中小・小規模事業者等(フリーランスを含む)に甚大な影響を与え、足下の事業継続にも支障を来す、かつて経験したことのない国難と言える状況を引き起こしている。
こうした状況を直視した上で、資金繰りや当座の資金難などの様々な困難に直面している中小・小規模事業者等からの声に真摯に耳を傾け、自治体等の関係者とも緊密に連携しつつ、これまでにない大規模かつ大胆な措置を迅速に講じる。
日本政策金融公庫等による実質的な無利子・無担保貸付、信用保証協会によるセーフティネット保証および危機関連保証など、これまでに講じた資金繰り支援策等について、引き続き継続、充実させるとともに、迅速かつ柔軟に対応する。
また、資金繰りに苦しむ中小・小規模事業者に十分に対応できるよう、政策金融機関だけでなく、民間金融機関による対応もより一層促すべく、信用保証を活用した民間金融機関による融資について、事業者の負担を軽減する支援策を講じる。
加えて、過去の借入れの返済負担が重荷となる事業者も存在することを踏まえ、このような事業者の負担を軽減する支援策を講じる。さらに、資金繰り支援のため、税の納期限の延長や税負担の軽減等の様々な措置を講じる

2.非対面・遠隔サービスの普及・充実の加速

感染症に伴う休校時等においても学びを止めない環境を整備するため、1人1台端末の整備をはじめとするGIGAスクール構想を早期に実現するとともに、AI等を活用した新たな教育技法であるEdTechの導入を加速する。
また、感染への不安に対応するため、チャット等を活用した遠隔での医師等による健康医療相談の体制強化に向けて必要な環境整備等を進める。
加えて、感染が拡大する中でも事業活動を継続できるよう、越境EC、スマート保安、遠隔行政サービスなどの非対面・遠隔での事業活動支援環境を整備する。

3.感染症に対応する安全・安心の確保

マスクや消毒液等の衛生用品の供給を安定的に行うため、生産設備の増強、海外からの調達強化など、関係省庁が連携して取組みを強化する。
また、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応するため、簡易・迅速なウイルス検査、感染拡大防止システム等のウイルス感染症対策技術の開発を進める。
加えて、感染症や自然災害、停電等の非常事態に備え、事業継続力強化計画の策定など個別企業等による事前の取組みや設備導入を進めるとともに、非常事態でも利用可能なキャッシュレス決済の環境整備など基盤的サービスの強靭化を進める。

Ⅱ.感染拡大防止後の再起支援、顕在化した課題への対応
1.観光・消費喚起キャンペーン

日本全国のあらゆる地域において、交通、旅館・ホテル、飲食、小売、イベントなどの幅広い業種がこれまでにない大きな影響を受けていることを踏まえ、地域経済を強力に浮揚させるべく、地方への旅行・宿泊を促すような、これまでにない大きな規模で、関係省庁が一丸となって観光・消費喚起キャンペーンを行う。
その一環として、大規模災害からの復興対策として被災地への旅行の代金を割り引くふっこう割も参考にしつつ、更に、クーポンやポイントの発行等を通じて、旅館・ホテルだけでなく、旅行で利用する交通、その周辺に立地する飲食店や土産店等にも裨益するような支援を行う。また、商店街等のにぎわい回復を図るため、地域の実情を踏まえつつ、イベント開催やキャッシュレス導入等を支援する。

2.サプライチェーン改革の推進

感染拡大に伴って、マスク等の衛生用品も含めてわが国のサプライチェーンの脆弱性が顕在化したことから、一国依存度が高い製品等について、経済安全保障の観点も踏まえ国内への生産拠点の回帰を進める。同時に、わが国への裨益の観点を十分に考慮した上で、特定国以外のアジア諸国等への生産拠点の多元化を進める。
また、生産拠点の国内回帰やアジア諸国等への多元化を円滑に実現するため、一国依存度が高い製品等の使用量を削減する代替製品等の開発などサプライチェーン強靭化に資する技術開発、現地企業との協業支援、レアメタルをはじめとする希少資源の確保強化等を行う。

3.中小・小規模事業者等の再起支援

感染拡大防止後において、地域の経済・雇用を支える中小・小規模事業者等が確実に事業を継続し、更にはV字回復を実現できるよう、中小企業生産性革命推進事業(設備導入、ITツール導入、販路開拓等への支援)の支援措置を拡充する。
また、中小・小規模事業者等が落ち込んだ需要を補う新たな顧客を獲得できるよう、商品・サービスの開発やブランディング、クラウドファンディングの活用も含めた販路開拓等の支援を強化する。自粛によりイベントを中止・延期しプロモーションの機会を失ったコンテンツ関連事業者については、再開後のプロモーション等への支援を行う。
加えて、事業者の様々な経営課題について、よろず支援拠点や商工会・商工会議所、中小企業基盤整備機構、日本貿易振興機構等の支援機関および専門家等による支援を強化する。また、自治体と連携した支援を活用しつつ、地域の実情に応じたきめ細かな対応を行う。
以上の取組みを最大限に講じてもなお困窮する事業者については、中小企業再生支援協議会による事業再生支援や、事業引継ぎ支援センターによる第三者承継支援等を中小・小規模事業者に寄り添ってきめ細かに行う。

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