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【生活】『紙の写真』のデジタル化で『空間と心の断捨離』をしたらスッキリした話


『Googleフォト』で写真管理

今でこそ写真を撮ると言ったら、スマホ(スマートフォン)を思い浮かべるのが当たり前の時代となったが、ちょっと前まではデジカメ(デジタル・スチールカメラ)での撮影が常識であった。

その頃の写真管理は、デジカメのSDカードに撮りためた画像をPC(パーソナル・コンピューター)のHDD(ハードディスク)にコピーして保存し、さらに消えてしまっては大変とばかりにバックアップ用の外付けHDDを購入して、二重に保存などしていた。

そこまで手間暇をかけてバックアップしていたのは、何しろ、市販のアプリケーション・ソフトなら、たとえHDDがクラッシュしてしまったとしても、またお金を出して購入すれば手にすることができるのに対して、家族旅行や子供の成長記録である想い出の写真は、一度失ってしまえば二度と手にすることができない類の物だからだ。

写真とは、最初に手に入れるのは簡単なれど、一度失ったら二度と取り戻せない不思議な存在なのだ。

現在の自分の写真管理法はといえば、完全にアンドロイド・スマホの標準アプリである『Googleフォト』頼みになっている。日々スマホで撮る写真は自動的にgoogleのクラウド・サーバーにバックアップされている。過去にデジカメで撮影してPCのHDDに保管していた写真も、今では『Googleフォト』にアップロードして一元管理している。

GoogleフォトHP, 2024.5

もっとも、『Googleフォト』に管理を移管した今でも、googleを全面的に信頼しているわけではない。

データが保管されているだろうHDDやその進化形であるSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)は電子部品である限り故障は付きものだ。googleでも分散されたサーバーでバックアップが成されていることだろうが、それでもデータ消失の可能性はゼロではない。

もしも消えてしまったら後悔するだろう類のデータは、自分の手でバックアップを保管しておくのが、現代の情報化社会を生きる者の嗜みとも言えるだろう。

何しろ、消えるのは一瞬の出来事なのだ。

自分の場合は、時々気づいたタイミングで、『Google データ エクスポート』を用いて、手動でPCのHDDに写真データのバックアップをおこなっている。

自分にとって『Googleフォト』の優れた点は、以下の2点だと認識している。

  1. 大量の写真を過去から現在まで時系列で閲覧できる機能

  2. 顔認識による写真のグルーピング機能

前者の時系列で並べる機能は、記憶から写真を探すときに大いに役立つ。

後者のグルーピング機能は、AIによる画像認識技術を応用した最先端の機能である。人物ごと(猫ちゃんも含めて!)にグルーピングしてくれるため大変重宝している。グルーピングされた集合に名前を付ければ、家族ごとのアルバムが完成する。

分類の精度であるが、たまに似た顔の違う人物の写真を混入させてしまうのは愛嬌のうちだ。その場合は手動での修正が必要となる。しかし、横顔でも認識できたり、年代の違う写真でも同一人物と判定してくれるなど、かなりの優れモノだと感じている。

AIは機械学習により進化するため、今後さらなる精度向上も期待できるかもしれない。

無料プランのままでは写真以外のデータと合わせて15GBの容量制限は存在するが、このような高度の機能が無料で提供されている時代に驚きを禁じ得ない。

むろん、googleの戦略の中で無料提供されているサービスである以上、将来的な有料化やサービス停止の可能性は残されてはいる。

それでも、『Googleフォト』を用いた写真管理が、現時点におけるベストソリューションであることに疑いの余地はない。


『紙の写真』どうするか問題

『Googleフォト』を用いることで写真管理は格段に楽になり、かつ、便利になったが、1つだけ悩ましい問題がある。

それは、過去撮りためた『紙の写真』どうするか問題だ。

『Googleフォト』を活用できるのは、デジタル・データだからこその話だ。当然のことながら『Googleフォト』では、『紙の写真』を取り扱うことはできない。

時代の要請として、『紙の写真』のデジタル化、すなわち『写真のDX(デジタル・トランスフォーメーション)』が求められているのだ。

デジカメが本格的に普及しだしたのは、21世紀に入ってからのことだ。自分の場合はどうかというと、残っている写真データを確認してみたら、2002年にそれまでのフィルムカメラからデジカメに切り替えていた。

子どもの写真も、2002年を境に見事にアナログからデジタルに切り替わっている。それ以前の子どもが小さかった頃の写真は、全て『紙の写真』として保存されているのだ。

最初の子どもが生まれたときには嬉しくて写真を撮りまくったせいか、かなりの写真が残っていた。それ以前でも、学生時代や結婚式でのスナップ写真が大量にあった。

そして、もっともやっかいなのが、自分の幼少期に父親が撮ってくれた家族写真の存在である。

父は仕事柄カメラを扱っていたため、あの時代にしては多くの家族写真を残してくれた。家を出るときに、自分用として手渡されたアルバムは10冊を超えていた。親の愛情とは何ともありがたいものである。

しかし、昔のアルバムは、現在と違って厚紙に糊で直接貼り付けるタイプであった。経年劣化による黄ばみや虫食い、カビの臭いが無視できない状態になってきていて、長年なんとかしなければと悩んでいた。

とはいえ、一度手掛けてしまえば、かなりの労力と時間を取られることが目に見えていたため、モヤモヤを抱えながらも、なかなか一歩を踏み出せないでいた。

それが昨年、会社員をリタイアしたことで、やっとまとまった時間を取ることができるようになり、『終活』の一環として『紙の写真』のデジタル化に取り組むことができた。

この記事では、”『紙の写真』のデジタル化でスッキリした話”を紹介する。


『紙の写真』のデジタル化の方法

過去の遺産とも呼べる『紙の写真』のデジタル化の方法はネットでググるといろいろ出てくる。

  1. プリンター複合機でスキャン

  2. スマホアプリで撮影

  3. 代行業者に依頼

  4. 専用スキャナーでスキャン


プリンター複合機でスキャン

これは、既に家庭にスキャナー機能付きのプリンター複合機があった場合の方法だ。

ただし、この方法では、読み込む写真毎に逐一、スキャナーの蓋を開けて写真をセットして読み込む必要があり、大変まだるっこしい。

読み込む『紙の写真』の数が100枚以下であれば、根気よく取り組めば何とか完遂できるかもしれないが、その数が数千枚になれば、どれだけ時間がかかるか検討もつかない作業量となるだろう。

寿命が尽きる前に作業を終わらせたい人には全くお勧めできない方法だ(笑)。


スマホアプリで撮影

これは、スマホにアプリを入れてカメラで『紙の写真』を撮影して取り込む方法だ。台形補正を自動で実行してくれるため思ったよりもきれいに取り込めるようだ。

家庭にスキャナー機能付きのプリンター複合機が無くても手軽に取り組める方法ではあるが、こちらも作業時間が果てしなくかかり大量のデータ処理には向かない。

タイム・パフォーマンスが悪すぎるため、却下である。


代行業者に依頼

これは、データ化の作業自体をアウトソーシングしてしまう方法だ。

「Time is money(時は金なり)」の格言があるように時間は貴重である。お金で時間を買ってしまうのも1つの選択肢ではあるだろう。

しかし、自分の場合アルバムの劣化度合が激しい為、この方法はあきらめた。

また、取り込んだデータに撮影年月日を紐づける時に、透明ポケットに差し込むタイプのアルバムでは、順番のみがその手がかりとなる。外注することで、この手がかりが失われてしまう危険性があったのもあきらめた理由の1つだ。


専用スキャナーでスキャン

スキャナー機能付きのプリンター複合機の弱点を補うのが、高速での読み取りが可能な専用スキャナーだ。

自分が新たに導入した新兵器が『RICOH Scan Snap iX1600』だ。

Scan Snap, RICOH HP, 2024.5


ちなみに、自分はリコーの回し者ではない(笑)。単に使ってよかった物を勝手に紹介しているだけだの人間だ。

『RICOH Scan Snap iX1600』の最大の特徴は、読み取る原稿(この場合写真)を自動送りするフィーダーが付属しており、写真を逐一セットする手間が要らない点だ。そのため、1分間に40枚のスピードで、一気に50枚の写真を取り込むことが可能となっている。

標準で300dpi(最高で600dpi)の解像度での読み取りが可能で、スナップ写真としては十分な画質レベルだ。

表面/裏面の同時読み取りも可能なので、紙の両面に印刷された原稿の読み取り時にも威力を発揮する。また、原稿の文字を認識して、自動でファイルネームを付けてくれる機能も意外と重宝する。

このスキャナーを用いて、「数千枚にも及ぶ『紙の写真』を一気にデジタル化してみた」と言いたいところだが、実際のところはかなり大変な作業であった。

作業的には、読み取り時間よりも、電子ファイルの撮影年月日を修正する方に時間がかかった。

何もしないと、スキャナーで読み取った日にちが撮影年月日とされてしまう。それでは写真を時系列に並べて観ることができなくなるため、手間暇はかかるが実際の撮影年月日に修正しておくことが後々のためになる。

昔の写真では、写真の表か裏に撮影年月日が刻印されている例がかなりある。この場合は自動で日付を認識して、ほぼ100%の正確さで撮影年月日に反映してくれるため、たいへん助かる。

しかし、それ以外の写真は当然のことながら読み取る日付が無いので、前後の情報から類推した撮影年月日を手入力することになる。これが思いのほか時間がかかるのだ。

もう1点たいへんだったのが、アルバムから写真を剥がす作業だ。台紙がかなり劣化していたため慎重に作業したが、ダメにしてしまった写真も少なからずある。しかし、その辺は割り切って作業した。

2週間くらい『紙の写真』と格闘し、全てをデジタルデータに変換し終わったときは、宿便を出し切った時のような爽快な気分であった。

『紙の写真』とアルバムは一部を除いて廃棄し、家の中がスキりした。同時に、心の中もスッキリした。

『紙の写真』のデジタル化は、『空間と心の断捨離』にも繋がるのだ。


デジタル化した写真データの活用

このように『紙の写真』をデジタル化した後の活用法で自分がやったのは以下2点だ。

  1. 子供の写真の共有化

  2. 親族の集まりで鑑賞


子供の写真の共有化

子どもが生まれたときから、旅行やちょっとしたイベントなどの折に、成長記録として、或いは家族の想い出として写真を残してきた。撮影者は自分で被写体は家族である。

2人の子供たちは無事成人したが、いつまでもこの写真を自分が管理しているのもどうかと思っていた。この家族の記録は自分の想い出であると同時に子供たち自身の想い出でもあるはずだから、子供たちの手に渡す必要がある。

『Googleフォト』はそんな時にも便利な機能がある。顔認識でグルーピングされたデータを基にアルバムを作成し、子供たちと共有すればいいのだ。

2人の子供それぞれの名前がついたアルバムを計2つ作成し、『その子供、自分、妻』とで共有した。こうすることで、それぞれの子供に生まれた時から最近の姿までのアルバムを手渡せたことになる。

父親から自分へ、そして自分から子供たちへ、『命のバトン』を渡せたような気持ちになれた。

この一生だけでは辿り着けないとしても
命のバトン掴んで 願いを引き継いでゆけ

『命のリレー』, 中島みゆき


親族の集まりで鑑賞

『紙の写真』をデジタル化した中には、自分の親の結婚式から若かりし頃の写真も含まれている。

自分の親(祖父母世代)の写真を中心に、自分や兄弟(親世代)、自分の甥や姪(孫世代)の写真を年代順に並べて、盆や正月に親族が集まった場で、鑑賞会を開いてみた。

スマホを実家のTVに繋いで大画面で映してみたが、両親にとって懐かしく感じられたのは勿論のこと、孫世代にとっても物珍しかったのではないだろうか?

両親も喜んでくれて、ささやかな親孝行ができたのかもしれない。

『紙の写真』をデジタル化して本当によかったと実感している。


※この記事は、個人の見解を述べたものであり、法律的なアドバイスではありません。関連する制度等は変わる可能性があります。法的な解釈や制度の詳細に関しては、必ずご自身で所管官庁、役所、関係機関もしくは弁護士、税理士などをはじめとする専門職にご確認ください。
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