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ミニシアターを巡る旅と称して。

ミニシアターを巡る旅。と称して最初に訪れたのは岡山県、シネマ・クレール。
『シャイニー・シュリンプス』という作品を観た。

岡山駅からおかでんを利用して、幹線道路をワンマン電車で移動するという行為は、映画館に向かう手段として新鮮だった。着いた外観は、どこか交番のようで、白い壁にミニシアターのポスターがずらっと横に並んでいる。

入り口を見つけ、ドアを開く。まるで地元の公民館のようで、懐かしさを感じる受付だった。周囲には、公民館で文化作品のイベントチラシが並ぶように、映画のフライヤーが置いてある。気になるフライヤーを手に取り、チケットを購入しようと受付に。受付の女性の方は、開口ひとこと目に、当館飲食は禁じていますので、お預かりします。と、僕のリュックの便利ポケットに差し込まれた伊右衛門を指す。それに応じながらも、今まで大型都市の映画館にしか行ったことのない僕は、少し戸惑った。そして、どれを観ますか?と言わんばかりの彼女の目線に圧を感じながら、販売商品一覧を見る。パンフレットに目をやり、「当館オリジナルグッズ!」に目をやり、それから観る映画のチケットを購入した。そのチケットと、お茶預かり札を手にロビーで待ち合う。しかしどうしても、オリジナルグッズが気になり、「シネマ・クレール物語」とポストカードを購入。「これぞ、ミニシアター巡りの醍醐味ではと」心を躍らせながら、それらをリュックにしまい再び待ち合う。開演10分前。受付の女性はピンマイクで、案内を始める。「館内、自由席となっており、チケットの番号順にお呼びします。一番の方、二番の方。」七番と書かれたチケットを持った僕は、まるでテーマパークのアトラクションにしばらく並んでいて、いよいよ自分の番が来るという時のワクワクに似ているなと思った。「六番の方、七番の方、、」。劇場内に入り、見渡す。人形劇でも始まりそうな、旧いけど、ちょっと高級な椅子と、カーテンの閉まった舞台。席番を見ずに席を探すことに新鮮味を感じながら、真ん中、右寄りの席に座る。そして背もたれがベコベコしていることに気づく。ふかふかの座面にベコベコの背もたれ。これが、良いんだよと思いながら、開幕を待つ。いよいよ。
カーテンの開き方に、いつしかの文化祭の時を偲ばせながら、少しずつ見えてくるスクリーンを覗き込む。投影。バチっと一瞬フラッシュがたかれ、予告が流れる。その予告のラインナップもミニシアターらしい作品ばかりで、高揚感に変わっていく。本編を鑑賞。カーテンが降りてきて、シネマ・クレールで観ていたことを思い出す。

席を立ち、受付にてお茶を引き換えてもらい、劇場を後にした。


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