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七十二候 熊蟄穴(くまあなにこもる)



#今日はなんの日 🍊
#暦の話

七十二候 熊蟄穴
(くまあなにこもる)
12/12~5日間

ということで
哺乳類冬眠の時期です
今年はブナの実(団栗)が不作らしいですよ

福島でも数件市街に熊出没のニュースが
ありましたが、東北だけでなくわりと
あちこちに出没してるみたいです

食べ物が減ってくる冬に備えて
秋に暴食をしておくのが
自然界の本能なわけですが

ここで栄養を蓄えないと
飢餓感に襲われた熊は
食物を求め山を降りてくるので
団栗の豊凶は
熊と隣接して暮らす人里人家にとって
他人事じゃないですよね

熊の冬眠ですが
一般的な哺乳類と比較して
特殊であるとされます

まずひとつ
体温はほぼ平常とさほど変わらないこと

ここが決定的に違うため
熊の場合冬眠ではなく
冬籠りとも言われます

しかし、この時期の熊の
呼吸は平時の⅕になるんですよね

これはふたつめの特徴にも関連します
すなわち、一切の食事排泄をしない

食事排泄は尿も含みます
ここで重要なのは
水分も取らないということ
つまり身体の水分は呼気を通してしか
失われません

普通、生物は食事と排泄活動の中で
代謝を行いますが

通常このときクエン酸回路
つまり糖代謝が行われるので
主に摂取した炭水化物を
エネルギーに変えるとき
水と二酸化炭素が発生します

また肉類などタンパク質を摂取すれば
必ず腸内細菌によりアンモニアが
生成され、これらは尿素として
水分と一緒に排泄されますが

冬季の熊はこの通常の代謝ではなく
脂肪燃焼回路による代謝を行います

こうすると通常発生する
尿素や二酸化炭素の発生を抑制できる他
反応の過程で発生する水分で
身体の必要分を賄うことができます

さらに血中サイクルの中に
アンモニアを再利用する仕組みがあり
これを脂肪分解の際に生じる
グリセリンと合成する事で
アミノ酸を作り出し血中に放出します

こうする事で
体内の脂肪を消費する際に
体組織のタンパク質まで分解しないよう
保護する事ができるのです

人間なら寝たきりなると
どんどん筋肉まで奪われて
痩せこけていくわけですが
冬眠中の熊が
筋力を維持したまま
出産や子育てまで
行うことが出来るのは
冬季限定のこうした代謝回路と
それを支える腸内細菌を持っているから

期間限定とはいえまさに永久機関!
💩も|ア⌒♨もしないなんて
まるでアイドルみたい!

そんなアイドルの中の一人
2024年3月に
東山動物園入りしたばかりの
ホッキョクグマ
フブキくんを
見ることが出来るのは愛知県!!

今日はそんな名古屋の宣伝をして
終わりにしたいと思います



※豆知識①
ちなみに
18世紀頃まで人類も文化として
冬眠の習慣があったらしいことが
1900年代の医学雑誌によって
分かっています

ヨーロッパの田園地帯でも
「秋の終わりから春が来るまでの間
戸外に人の気配がなかった」という
記録もあるそうで

例えばロシアなどでも
貧農層は冬の6ヶ月間1日の大半を
家族全員で暖炉の近くで
寝て過ごしていたそうです

※豆知識②
団栗を作るブナの樹ですが
豊作になった次の年は
必ず不作になるんだそうな

というのも
樹木が結実するときに
消費する窒素は
花弁形成にも使われるわけですが
豊作になると大量に窒素を消費するので
翌年、花弁形成できなくなるんだそうで
そして
花弁が作れないと当然結実しないので...

豊凶を繰り返しているのは
こういうメカニズムなんですね~

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