七十二候 鶏始乳(にわとりはじめてとやにつく)
1/30~5日間
二十四節気「大寒」の末候にして
旧暦では最後の冬の五日間で
これが終わると立春になります
さて、鶏は卵生なのに
乳とはこれいかに、という話ですが
“とやにつく”とは鳥屋の事を言っています
それが“乳”と表現されていますから
抱卵のことを述べているわけですね
鶏は本来
季節に関わりなく繁殖しますが
羽の交換がある秋~冬と
太陽の出る時間が短い間は
産卵率が下がっていきます
逆に言うと
鶏が卵を産み始めるということは
日照時間が伸びてきたという事であり
これを見て立春が近いと
昔の人は知ったわけですね
もともと野鶏は
6~10個の卵がたまると
巣で抱卵をはじめるという性質があり
その数に達する前に卵を取り上げてしまうと
卵の数が揃うまで何度も産み足すのだそうな
こういう補卵性を利用して
徐々にたくさんの卵を産むように
改良していったのが現代の鶏舎にいる鶏達
「光線管理」をして鶏舎の照明を朝夕点灯し
秋が訪れない事にすれば
一年中産卵するわけです
ちなみに現代の鶏の
最高産卵記録は年間365個
産卵は1日1個が限界なので
1年間休まず産卵したことに...
年間平均でも280個から300個を
一羽が一年間に産み落とすそうですが
ピークは一年半ほどしかないので
2~3年の間に出産量が減っていき
最後は食用に回されます
鶏は昔から「時を告げる鳥」であり
冬の終りを告げるだけでなく
夜(神と精霊のとき)と昼(人の活動)の境目を
告げる霊鳥でもあったそうで
“時間”という概念と密接に絡められた鶏は
「三歩歩けば忘れる」のように愚かさの例え話に
なっていることが信じられないくらい
本来は神聖な鳥です
それが現代では
一年中卵を産む機械みたいになっているので
人間って恐ろしい生き物ですよね
マインクラフトでも
自動で鶏を増殖させて
勝手に焼いていく
焼き鳥自動生産機があったりしますが...
人類が文明を起こした初期から
貴重なタンパク源であり続けた鶏卵
自給自足しなければならない程
貧困に陥ったらとりあえず鶏を買え、と
ビルゲイツも推奨するくらい
安価で優秀な鶏君達ですが
是非食用としてだけでなく
生き物としても愛でていきましょう
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