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全米オープン女子決勝🎾アジア人ハーフの魅力的10代女子、エマとレイラが私達に教えてくれた事


今年のテニス全米オープンは2年ぶりの観客動員で、番狂わせも多く非常に盛り上がる大会となりました。この私も会場での観戦を2日間半も満喫してしまいました。男子も面白いんですが、今年は特に女子に注目しています。

大会中盤の3回戦でカナダ国籍の18歳(翌週19歳になった)レイラ・フェルナンデス(写真左)が大阪なおみ選手を終盤で大逆転して勝利し、何だこの子はーーー!!と世界に衝撃を与えましたね。なおみを破ったレイラは次の4回戦(ベスト16)で私の好きな、グランドスラム2回優勝した、粘り強い左利き33歳ケルバーと対戦。前回の勝利は偶然で、流石にケルバーの粘りに負けるだろうと思いきや、レイラは度々拳を上げ、両腕で歓声を煽るジャスチャーで観客をほぼ全員味方につけ、これもまた3セットでレイラが勝ってしまいました。この子強い!準々決勝では長年トップ10選手のスビトリーナに同じように3セットで勝ち抜き、準決勝では強烈なショットを持つ世界2位のサバレンカに3セットでまさかの勝利をおさめました。この子は本当に年齢を疑うほどのメンタルの強さとテニスIQでカウンターパンチャー的な左利きのテニスを展開します。最後まで諦めずに勝利を信じて立ち向かう彼女は人間的な魅力に溢れ、観客を味方につけながら決勝まで勝ち上がってしまいました。そんな情熱的なレイラは、インタビューの受け答えでナチュラルな優しさが溢れていますね。常に観客の事を思いやったコメントで人々の心を鷲掴みします。お父様はエクアドル人で元プロサッカー選手。お母様は美人のフィリピン人。レイラはジュニア最初の頃才能を認められずプロ育成プログラムにも入れず、お父様の指導の元かなり苦労してここまで強くなってきた背景があります。お母様も一時期レイラのツアー費用を賄うためにカリフォルニアへ出稼ぎしてたとか。

一方で、もう一人の18歳、イギリス国籍のエマ・ラドゥカヌ(写真右)は、1ヶ月前のウィンブルドンでのセンセーショナルな活躍から元々注目を集めていた中、予選(3回勝ち上がって初めて本戦1回戦に出場できる)から1セットも落とさず勝ち上がっていて流石という感じでした。エマは引き続き経験豊富なプロ相手に圧倒的な強さで勝ち続け、準々決勝では東京オリンピック金メダリストのスイス人、ベンチッチをあっという間にストレートで下し、準決勝では今絶好調のハードヒッターのトップ選手、ギリシャのサッカーリ(彼女はルックスもちょっとコワイ?)も寄せ付けず、圧勝。エマのスイングやコート上の動きは観ている人を惹きつける、アスリートとしての凄みを持っています。膝を曲げ姿勢を低く落とし安定した重心が全くぶれず、とても速いスイングスピードで速い速度のスピンショットを正確なコースに打ち分け、足や反応がとても早くどんな球にも追いついて攻撃的な体勢で打ち続けられるそのテニスは10代にしてとてもカリスマティック。そして彼女は美人さんでインタビューの受け答えのブリティッシュアクセントに品性を感じてしまいます。まさにスリリングなクールビューティ。バックグラウンドはお父様がルーマニア人、お母様が中国人。エマはウィンブルドンの時点でイギリスでは既に大スターになっていましたが、アメリカでも彼女の驚異的な強さは話題になっていました。

てな事で、メディアや我々が望んていた22年ぶりの10代対決の決勝シナリオがついに実現してしまったわけですから、世の中は大騒ぎ。普段それ程テニスを観ない人も録画してまで決勝を観たいと言い出したり、ドキドキワクワクの週末。

そして、我々の期待を裏切らない決勝戦になりました。ティーンの対戦とは思えないクオリティの高い打ち合い。二人ともベースラインの近くにポジションをとりボールがバウンドして落ちる前に早く打ち返すスタイル(taking balls early)でラリーのテンポは速く、ベテラン並みのコースや球種の選択。エマは素早い動きで早い段階で鋭いウィナーをとるオフェンシブ(攻撃的)な展開を好み、レイラは相手のボールのパワーやスピードを利用しコースの方向を変えながらじわじわと相手を追い込むディフェンシブ(守備的)な展開が多い。私も予想していましたが、レイラはそこまでの道のりでおそらく体力的に多くを消耗してしまい、その点でも有利だったエマが2セットで勝利しました。レイラも気持ちで最後粘りをみせました。エマを左右に振って、エマがスライディングでバック側のボールへ追いついつこうと足を伸ばした時に膝を擦り剥き、流血しました。そこで彼女がメディカルタイムアウトをとり、レイラに行きかけた流れがエマに戻り、最終的にエマが勝ちました。軽い傷なのにタイムアウトがありモメンタムを切られたレイラには気の毒ですが、内容的にも完全にエマの日でした。予選から数えて10試合、1試合もセットを落とさず圧勝して本当に凄い。元々エマちゃんのテニスが格好良くて好きで応援していましたが、レイラのびっくりするカウンターや粘り、諦めない熱い気持ちにも心を打たれた大会で、本当に二人に勝たせてあげたいと思った決勝でした。勝負の世界は残酷です。They both deserved to win the title... 

試合直後に悔し涙を見せていたレイラは、優勝セレモニーで最初に準優勝のプレートを受け取る前に言いました。

「一ついいですか。まさに今日のこの日はNYをはじめ、アメリカの皆さんが特に辛い日です、私もこの20年の皆さんと同じくらい強く立ち直る力を持てるようになりたいです。」

当方はあまりにもエキサイティングな試合でこの事(9.11)をすっかり忘れていました。ああ、そうだった。。レイラちゃんありがとう😢 タイムアウトの事で気の毒な事もあったのに、気持ちを切り替えて、観客の気持ちにに寄り添う心のこもった言葉は多くの方の心を癒してくれた事でしょう。彼女の今までの苦労や努力が思いやりの心、優しさ、強さになり、これからも多くの人々に愛と感動を与える存在になっていくでしょう。しかし、彼女の観客を引き込むジェスチャーやコメントには「え、ロックスター? 」と心の底での個人的な小さなツッコミもありました(笑)。

優勝トロフィーを受け取ったエマ・ラドゥカヌは淡々とした口調でブリティッシュアクセントでレイラを讃えたりコーチや大会や観客への感謝の言葉を述べました。しっかりした口調の彼女はティーンに思えない落ち着きぶりですが(それまでも時々、話している内容に対して気持ちがdetatchingだと小さな個人的ツッコミあり笑)プレッシャーから解放された後の笑顔はティーンの可愛らしさがありました。彼女は学校にも最近まで普通に通っていて、金融業界で働くご両親譲りで数字にめっぽう強く、数学と経済学の大学入試資格試験を受けたばかりだそう。中国人のお母様からは規律や他人へのリスペクトを教えられたようです。優等生タイプでしょうか。プロ入りしたばかりでランキングが低くウィンブルドンではワイルドカードで出場し4回戦まで進みセンセーショナルなデビューを果たしましたが、4回戦ではイギリスのメディアからの期待やプレッシャーによるストレスで試合中に過呼吸になり棄権を強いられました。彼女にも苦難があったんですね。でもそこから多くを学び成長し、たった1ヶ月ちょっとでグランドスラムで優勝ーなんて凄すぎますよね!

レイラは HOT派   エマはCOOL派 

(ビバップじゃないんですが!)

さて、あなたはどちらがお好きですか?二人ともとても魅力的ですよね。

二人の大きな共通点はhalf asian(アジア人のハーフ)、というバックグラウンドです。なおみちゃんもそうですし、アジア強し!で誇らしいですね。 そして二人ともカナダ生まれ。(エマは2歳でイギリスに移住。)これからの世の中は多様なバックグラウンドを持ち、国境を超えて、それぞれのエスニシティやコミュニティの優れたものを活用し大きなエネルギーに変え、世界をリードしていく人が心強い。

まだジュニアと区別がつかないようなティーンがレベルの極めて高いグランドスラムの大会で高い精神力でベテランやトッププレーヤーを次々と薙ぎ倒していく勇姿、そしてそれを成し遂げた二人が最高の舞台である決勝で戦う。この一連のサプライズに多くの人が引き込まれました。彼らは私たちが忘れてしまったものを持っています。それは、Belief。思考をクリエイトして、自分に出来ると信じ続ける事。人が無理だと言おうが、もしくは自分自身で諦める心をブロックし、信じ続ける事。成し遂げたい大きな目標に恐れずに向かっていける勇気を持つ事。純粋に自分はこうなりたい、こうありたいというものに素直であり続ける事。もちろん肉体的精神的な若さには勢いがありますが、彼女達には本当に脱帽です。普通の人々は大人になると経験ばかり積まれ心がどんどん曇っていきがちですが、この可愛らしい二人は、雲ひとつない澄み切ったブルースカイそのもの。私達もそのキラキラした光を浴びて心をリセットし、前を向いて生きていくエネルギーをもらいながら、夢の大きさや形は人それぞれですが、日々それぞれに頑張れるのではと思います。

本当に素敵な二人。伸びしろも沢山あって、プレーヤーとしても人間としても、大いに成長してくれる事でしょう。Great rivaryでお互いを高め合いながらテニス界を盛り上げるだけでなく、なかなか終息の見えないパンデミック時代に明るいエネルギーと愛を届けてくれそうです。これからが楽しみ!

なおみちゃんも自分を信じられる力が戻れば、またグランドスラムを優勝できる日がすぐに来ると思います。ゾーンに入った彼女の強さは誰にも手がつけられないですから。それまで、一緒に彼女を信じ続けましょう😉










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