勝手に『 #曲からストーリー 』カクテル
ちょっちだけ日記Vol.75 by モグりのバラエティ班
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曲は2曲です。仮想旅日記の続きです。
(それも六角精児さんにつづき「相棒」ネタで。)
なので今回もストーリーと言えるほどのものではありませんが
一応3話目です。
#ときどきドラマ班
#いつも相棒マニア
🎵 家に帰ろう (マイ・スイート・ホーム)
作詞 作曲 竹内まりや
🎵 ホーム・スイート・ホーム(邦題「埴生の宿」)
イングランド民謡
あたしの大好きなブルーグラスバージョンで
(この曲のバンジョーとドブロは弾けたよ)
※おかげでブルーグラス界オールスターメンバーのサイトを見つけられて感激しています。
今夜はこの駅で朝まで過ごす予定だった。
待合所を通りかかった方が近所に民泊があって
知り合いだというので電話してくれた。
土日は営業しておらず風呂場とキッチンは使えないが
泊まるだけならいいということでそこで2日ほどお世話になることにした。駅のカフェのnoteももう少し読みたい。
それに他の宿泊客がいないというのも気が楽だ。
宿屋の主人は夜は1階でバーをやっているらしい。
平日は宿泊客限定で土日のみのオープン営業だそうだ。
部屋に入ってみた。外階段から直接入れる。
4畳半の畳部屋。以前は明らかに子供部屋だったようだ。
布団とテレビとエアコンがあるだけの部屋だが私にとっては快適すぎるぐらいだ。
テレビマニアの私だが旅に出てからというもの殆どテレビは見ていない。
見るとなんだか帰りたくなってしまいそうで不安なのだ。
この旅の楽しさも感じてきてる。
荷物を置いて銭湯へ行って帰ってきたら
夜の9時ごろに内線電話が鳴った。ここの主人からだ。
「1杯目はサービスするからバーにおいでよ。」
「今なら他の客もいないし。」
早速その外階段を降りてバーに行ってみた。
大したことないだろう。居酒屋に毛の生えたぐらいかと思っていたら
かなり本格的なバーの作りだ。
当然バーテンダーの資格も持っているという。
「趣味っちゃあ、趣味の世界ですがね。何にします?」
「キール、お願いしてもいいですか?」
「了解しました。」
「それと何でもいいですから軽食できますか?」
「サンドイッチでいいかい。」
「あんた、名探偵コナンのフリークだね?それとエヴァンゲリオン。」
「2杯目はシェリーパッションにでもしやすか?」
何たる洞察力、まるで出身県を当てるケンミンショーの志水正義さんじゃないか。
と言っても判りにくい。
長年「相棒」で角田課長の部下をやってきた小さい方のあの渋い大木さんだ。
しばらくして老練のご夫婦が店に来た。
旦那さんはイングランド出身とのこと。
民泊の主人が以前に別の場所でバーをやっていた頃からの知り合いらしい。
40年ロンドンで暮らしていたが旦那さんの仕事引退を機に最近日本に移り住んで土曜日には二人でこの店に来るのが習慣のようだ。
ご夫人が一言。
「いつものをお願いします。」
「かしこまりました。」
「本当のバーテンダーだったんですね。趣味どころじゃないじゃないですか?」
「いや、私も店を失敗したりいろいろありましてね。」
「妻にも子供に逃げられ今は一人でのんきにやってまさー。」
「このご夫婦に店に来てもらうのが何よりうれしくてね。」
「でも今から思うと人生、ブランクの時期も必要かな?って思いますよ。」
「私の場合はあんたと違って少し長かったかもだけど。ブランク長い、なんてね。」
(ダジャレかーい!それも昭和の人間しか判らんやろ!)
「でもおかげでこうやって気楽な商売しながら生きながらえさせてもらってます。」
「負ける。とか逃げる。って言葉は人生には無い。」
「その時期はちょっと弱ってるってことでいいんじゃないでしょうか。」
ご夫婦のカクテルが出来た。
「いつものベストパートナーです。」
聞けばこのご夫婦が結婚前に店に通っていたときに出したものらしい。
英国産のジンをベースに日本の梅干しを加えてあるようだ。
ミントの緑が透き通って美しい。
ご夫婦はこの1杯で帰るようだ。
「そろそろお開きにしましょうか?あなたにはこちらを。」
「慌てなくていい。急がなくていい。いつか自分の家に帰れますように。」
「ホーム・スウィート・ホームです。ごゆっくり。」
※「ベストパートナー」」と「ホームスウィートホーム」の話は「相棒」の初期の作品、蟹江敬三さんの回から引用しています。
(でもオールドファンには懐かしい話だと思い「企画参加」で投稿させていただきました。)
ではまた。
みなさんにいいことがありますように。
まだまだ旅は続く。
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