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懲戒処分取消等請求控訴事件②(平成28年3月24日東京高裁)

概要

東京都公立学校の教員として勤務していた原告(被控訴人)が、女子生徒に対して不適切な内容の電子メールを送信したことなどを理由として、東京都教育委員会から東京都公立学校教員を免ずるとの処分を受けたため、本件免職処分には懲戒免職事由が存在せず、裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があり、手続上も違法があるなどと主張して、被告(控訴人)東京都に対し、本件免職処分の取消しを求め、原審は、原告の請求を全部認容したため、これを不服とする被告が控訴した。

結論

棄却

判旨

元教員が生徒Aに送信したメールは,一部に不適切なものを含むとはいうものの,多くは,他愛のない会話や単なる挨拶,返事にとどまり,本件処分量定が想定する「わいせつなメールの送信」とは異質ともいえるほど悪質なものであるとまではいえないことに加え,生徒が家庭環境に恵まれず,元教員はその窮状を見かねて支援の気持ちから生徒を熱心に指導をするようになり,本件非違行為に至ったという本件非違行為の原因や動機,生徒はそのような東京都の熱心な対応に感謝し,元教員が懲戒処分を受けることを望まず,苦情を申し立てた生徒の父親も元教員を免職にすることまでは望んでいない状況にあること,元教員に過去の処分歴はなく,日常の勤務態度についても特に問題はなく,熱心に生徒を指導し,校長や他の同僚教員からも評価されていること,都教委が,復職を前提とするはずのその研修が終了する前に本件免職処分を行ったこと等から,元教員に対して本件処分量定に定められた停職よりも加重して懲戒免職を選択することは,社会観念上著しく妥当性を欠くものといわざるを得ず,本件免職処分は,懲戒権者たる都教委が有する広範な裁量の範囲を逸脱し,又はこれを濫用したものであり,違法である。

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