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地位確認等請求事件(平成27年7月28日福岡地裁)

概要

原告が、私立学校法上の学校法人である被告に対し、被告による雇止めは無効であると主張して、労働契約に基づき、労働契約上の地位の確認を求めるとともに、未払賃金等、未払賞与等の支払を求めた。

結論

一部認容、一部棄却

判旨

学園において,「常勤講師(A)」は,就業規則所定の「講師」であり,専任教員になることを前提とし,1年以内の契約期間とされ,「常勤講師(B)」は,就業規則に規定はなく,学園内部の常勤講師規定(B)に就業と待遇に関する事項が定められ,1年以内の契約期間とされるのが例であったところ,学園における雇用形態の全体像の説明内容,平成24年8月ないし9月における「常勤講師(A)」契約の打診内容に照らすと,平成25年7月の時点において,元講師が次年度以降数年間バドミントン部ないし運動部の顧問となることに積極的な姿勢を示せば,平成26年度以降も「常勤講師(A)」か少なくとも従前と同じ「常勤講師(B)」としての契約が更新されるであろうと期待することには合理的な理由があると認められる。

非常勤講師や「常勤講師(B)」の割合を減らしていくには,例えば,非常勤講師を常勤講師(B)に,「常勤講師(B)」を「常勤講師(A)」にと進めていけばよいのであるから,元講師について更新拒絶をする理由には直ちにはならず,また,超難関大学向けの入試対策ができる数学専門教師の必要性についても,そもそも本件雇止めの理由に元講師の数学科の教員としての資質・能力如何は理由とされていないこと,校長は,元講師を評価して平成24年には「常勤講師(A)」契約を打診していることに照らし,元講師について更新拒絶をする理由にはならないこと等から,本件雇止めによる更新拒絶には,合理的な理由はなく,社会通念上も相当とはいえないから,学園は,従前の有期労働契約である第3次労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で,元講師の雇用継続の申込みを承諾したものとみなされる

元講師は,学園に対し,平成26年4月分に関しては27万9754円,同年5月分以降平成27年3月分までは16万7853円,同年4月分は19万0629円,同年5月分以降は27万9754円の支払を請求しうるが,他方,元講師が平成26年度以降も雇用が継続された場合に,それ以降の賞与が具体的な確定金額の請求権として発生したであろうということを認めるに足りる証拠はないから,賞与の支払請求を認めることはできない。

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