スタジオ●●●●事件(平成25年7月2日東京地裁)
概要
従業員が会社に対し、正体不明の加害組織が原告を毎日ストーカーのようにつけ回し、盗聴、盗撮、尾行、ごみあさり、家宅侵入等の諜報活動を行い、従業員の個人情報を収集していたことを前提に、会社の従業員が、これら収集された従業員の個人情報を従業員が知り得る状況のもとでほぼ毎日勤務時間中、周囲に吹聴し、会社の従業員や近隣の加害者等が、社内外の不法行為と嫌がらせをエスカレートさせて従業員に甚大な精神的損害を与え、従業員を退職に追い込んだなどと主張して不法行為に基づく損害賠償、会社代表者又は会社の従業員の行為が違法であることを前提にそれらの状況を改善しなかったととして職場環境配慮義務違反を理由とする債務不履行に基づく損害賠償の支払を求めた。
結論
棄却
判旨
元従業員の主張する加害組織なるもの及び本件嫌がらせの事実を認めるに足りず(元従業員が証拠として提出する動画や映像で映されている人物らは,いずれも元従業員の個人情報を取得しようとしているものとは認められない。),本件嫌がらせへの会社代表者や会社従業員の関与も認められない。
元従業員が会社代表者に会社従業員から嫌がらせを受けている旨相談した際,会社代表者が,元従業員の人格に問題があるという趣旨で,「自己愛主義者」,「友達がいないでしょう」,「傲慢」と言って元従業員を罵り,宗教論を用いて嫌がらせを無抵抗に受け入れるように強要し,「落とし前をとれ」,「俺に言い返せば危険人物と見なされてクビにされるかもしれないのに,学歴とか,勉強ができるとか,関係なく,頭が悪い」などと言ったという事実は認められない
元従業員が会社代表者に退職を申し入れた際,会社代表者が,元従業員の人格に関して「普通じゃない」,「心療内科や精神科に行った方がよい」,「類まれなる非常識」「社会ではとてもやっていけない」,「とっとと辞めればいい」,「58年間生きてきてこんな酷い人初めて見た」などと発言したことはいささか不穏当な表現であったが,同場面での会社代表者の発言全体の趣旨は,当日に突然退職を申し出た元従業員を社会人として非常識である旨説諭するものであり,社会通念上許容される範囲を超えた違法なものとは認められない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?