人生いろいろ、涙の悲願達成　2021オークス

白毛馬ソダシの活躍やライバルサトノレイナスのダービー挑戦で、3歳牝馬路線はにわかにざわつきました。

牝馬クラシックの頂上決戦ともいえる優駿牝馬オークス。
様々な想いを胸に秘め、激戦を制したのは名物オーナーの遺した忘れ形見でした。

ソダシ一強？混戦模様の二番手以下

人気、実力とも兼ね備えた白毛馬ソダシに試練が襲いかかります。

ソダシ
桜花賞を無敗で勝ったのはよいものの、クロフネ産駒の鬼門、距離の壁という最大の試練が待ち受けています。サトノレイナス回避によって、オッズは爆上がりの1倍台。ソダシは吉田隼人騎手のエスコートで今日もレースを沸かせます。

二番手以下は接戦。

有力視されたのは、アカイトリノムスメ。
人気絶好調白毛馬による無敗の三冠を阻むのが、牝馬三冠馬アパパネの娘という構図がまた面白いです。アパパネはハワイの言葉でアカイトリ。まさにそのムスメは母譲りの能力を見せられるのでしょうか。ちなみに父はキングカメハメハで、とってもハワイ。
鞍上はルメール騎手で血統も騎手も隙がなく、ソダシに次ぐ2番人気も納得です。

ユーバーレーベン。
フラワーカップ3着なれど、桜花賞をパスし、フローラステークスでオークスの権利を取りに行くも3着と勝ちきれない。上がり最速を何度もマークしているが、後ろからいく馬だけに展開に左右されやすい。馬体重も連続して減っています。ネガティブな材料が揃いますが、実力は確か。今度こそ差し切れるか。

ファインルージュ。
桜花賞3着に飛び込む大健闘。春のG1戦線を連続でキズナ産駒が2着していますから、思わず期待してしまいます。

クールキャット
フローラステークスを快勝し、名乗りをあげてきました。父スクリーンヒーロー母父ダンスインザダークと一癖ありそうな血統背景も魅力的です。

レース回顧

スタートは綺麗にそろって１週目の直線を駆けます。
白い馬体が映えるソダシも馬なりで先頭集団へつけていきます。

先頭争いは大外から⑱クールキャットが詰めてきます。ソダシと並びながらインに切り込んでいきます。１コーナーをまわるころにはクールキャットが先頭に立ちます。２番手に⑱ステラリア、①ククナ、⑪ソダシと続きます。

ソダシのすぐ後ろに⑥ウインアグライア、⑦アカイトリノムスメ、⑭ストライプが３頭並んでいましたが、アカイトリノムスメの外を⑰ニーナドレス、⑦エンスージアズムが追い越していきます。

１０００ｍ通過が５９秒９。

馬群はそれほど長くない隊列で、アカイトリノムスメがちょうど真ん中あたり。それより後ろは控えているといってもいいでしょう。アカイトリノムスメの後ろには②スルーセブンシーズ、⑬ファインルージュがいます。2馬身離れて⑮アールドヴィーヴル、⑨ユーバーレーベン、③パープルレディー、④タガノパッション、⑫ミヤビハイディ、⑧ハギノピリナが最後方。

3コーナーに入って、先頭は変わらずクールキャットです。
馬群はやはり伸びずに固まっていきます。

3コーナーから4コーナーへ。
ここで大外をまわって伸びてくる馬が現れます。
スライリー、ユーバーレーベンあたりの後ろにいた馬たちが手応えよくあがってきます。

直線に入ってクールキャットのリードは1馬身ほど、すぐ後ろククナ。
白い馬体が目立つソダシは馬場の真ん中あたりで伸びはどうでしょうか。

坂を駆けあがるときにソダシが伸びてきます。
見計らったように外から襲い掛かるのはユーバーレーベン。
内からアカイトリノムスメが伸びてきます。
先頭はククナですが、これは時間の問題です。ソダシが交わしたかと思いきや、そこでソダシが力尽きます。インコースからアカイトリノムスメ、外からユーバーレーベン、さらには人気薄のハギノピリナも差を詰めてきます。

ゴール前の大激戦。

抜け出したのはユーバーレーベン。
そのままゴールイン！

2着には1馬身差でアカイトリノムスメ、3着には大外から追い込できたハギノピリナです。

忘れ形見が念願のクラシックタイトル制覇

勝ったのはユーバーレーベンでした。
ユーバーレーベンはいわゆるマイネルの勝負服。ビッグレッドファーム生産でサラブレッドクラブ・ラフィアンの馬です。つまりは、先日亡くなった岡田総帥の馬だったわけです。念願のクラシック制覇に間に合わず旅立たれたオーナーをミルコ・デムーロ騎手は友人とインタビューで答えました。

競馬界はソダシの人気で盛り上がっていましたが、ソダシは危惧された通り距離の壁に敗れました。最後、一瞬良い脚をみせたのはさすがだと思います。

しかし、やはり競馬のドラマはアイドルホースだけではありません。

関わったすべての人が様々な思いを胸に、レースに挑みます。
あなたはどんな想いで馬券を買いますか？

交錯する想いとレースにおけるさまざまな要因が重なり、勝敗が決まります。

次回はダービーです。

しっかりと目に焼き付けましょう。