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目指すは花の都 宝塚記念2021

あなたの夢はなんですか? わたしの夢は……。

そんな名文句がありましたね。
上半期の総決算、グランプリレース宝塚記念。
今年は13頭と寂しい頭数となってしまいましたが、出走する強豪馬の対決はやはり楽しみです。

雨が降ろうが、ピーカンだろうが、大本命に出来る馬ってそうそういないですよね?
タフな馬場もこなし、時計勝負も上がり勝負も戦えるなら、心配いらないでしょう。今年はクロノジェネシスの一本かぶりになるのでしょうか。


しかし、それでも私はキセキを本命に推します。
7歳でも、逃げなくても、スタートだめでも、こうなったら最後まで付き合いましょう。奇跡信じて。


強い牝馬がリードする中距離戦線

クロノジェネシス
3歳の頃はグランアレグリア、カレンブーケドール、ラヴズオンリーユーとクラシックを争いました。古馬になってからもやはり一線級で戦い、昨年の宝塚記念を制して、迫力が増しました。今回は宝塚記念、有馬記念と制して、グランプリ3連覇を狙います。春はドバイで2着と惜しい競馬をしました。ここを挨拶代わりに制して凱旋門に向かいたいところです。

レイパパレ
条件戦からG3チャレンジカップを負けなしの連勝で制して挑んだ雨の重馬場の大阪杯。コントレイル、グランアレグリア、サリオスといった強豪を退け、6連勝の無敗のG1馬となりました。
今回は同じ阪神コースですが、大阪杯に負けず劣らずの強豪揃い。底を見せていないだけにどんなレースをするか楽しみです。


カレンブーケドール
G1だろうが、三冠馬相手だろうが、どんな相手でも安定の走りをしますが、そろそろ勝ち星が欲しいところです。クロノジェネシスとレイパパレと並び、人気・実績ともに他をリードする牝馬の一頭です。牝馬には珍しく天皇賞春の長丁場に挑戦しました。


アリストテレス
コントレイルのマークマンとしての菊花賞が未だ印象に残りますが、古馬になってからAJCCは勝ったものの、阪神大賞典7着、天皇賞4着と馬券に絡めていません。今回は鞍上に武豊騎手を迎え、新しい視点でレースを迎えられるでしょうか。


キセキ
もう7歳になりました。
しかし、宝塚記念は昨年2着。3着に差をつけていましたから、得意コースなのでしょう。今年はどんな走りを見せるのでしょうか、スタートで出れば逃げるのか、はたまた控えるのか。引退前に奇跡が見たいものです。

ユニコーンライオン
鳴尾記念を逃げ勝ち重賞初勝利。一時期迷走していましたが、三走前のストークステークス18番人気3着を皮切りに弥彦ステークスを5番人気で勝ち、そして鳴尾記念は8番人気で制しました。
面白いのは人気薄で激走していることです。
先行力ある馬なので、明らかな逃げ馬がいない、内回りコースの今レースでも穴人気馬として注目されます。

強い牝馬の三頭に実績馬が並びかけるといった構図ですが、クロノジェネシスの実力が飛びぬけているイメージが拭えません。
海外帰りの初戦は負ける印象があるとケチをつけるぐらいしかないのでしょうか。

完璧な騎乗で完璧なレース運び

スタートは順調でした。
しかし、大外⑬キセキがスタート直後に膨らんでしまいます。
内では①ユニコーンライオンに②レイパパレがスタート直後にぶつかってしまいます。それでもこの二頭がハナを主張し、ユニコーンライオンが先頭、少し距離をとって二番手にレイパパレで最初の直線を進んでいきます。

レイパパレから三馬身ほど離れて大本命⑦クロノジェネシスが馬群を引き連れます。外から脚をつかってキセキが先団にとりつきます。先頭まではいかないものの、三番手集団にポジション取りをします。

1コーナーをカーブしていく頃、キセキがレースを掻きまわします。
ユニコーンライオンはどこ吹く風とばかりに先頭を駆け抜けますが、二番手レイパパレ、外から迫るキセキ、後ろからクロノジェネシスと各馬の出方を伺うようです。クロノジェネシスより後ろは④ワイプティアーズ、すぐ横にいて、外からカレンブーケドール。クロノジェネシスを後ろから狙う格好です。⑥シロニイと⑨アリストテレスが並んでいって、モズベッロが外から上がっていく構えです。

そこから5馬身近く差が開いて小柄な③メロディーレーン、⑤アドマイヤアルバ、⑫ミスマンマミーア、そして最後方は⑧カデナです。

1000m通過が60秒ジャスト。

それほど湿り気の無い今日の馬場を考えればゆったりとした前半のように感じられます。馬群は3コーナーに向かうにつれて詰まっていきます。

阪神の内回りコースに入ります。
先頭はユニコーンライオン。手ごたえはまだまだ十分。
引きつけた逃げです。二番手は単独レイパパレ。

3コーナーから4コーナー。外からまくっていこうというのか、キセキが動き出そうとしますが、イマイチ反応がよくありません。
内ではクロノジェネシスがGoサインを待っているかのように、不気味に淡々と追走します。その外からカレンブーケドールとモズベッロ。

役者がそろい、4コーナーから直線に。

ユニコーンライオンはぐいぐい押されて、粘ります。単独の先頭にいましたが、静かにレイパパレが迫ります。三番手にもったままのクロノジェネシス。そして、じわじわ伸びるキセキ。

ユニコーンライオンが粘ってレイパパレと叩きあいます。激しい併せ馬。

残り200m。

前の二頭が競り合っているところで、クロノジェネシスに鞭が入ります。

あっという間に加速し、競り合っている二頭を捕捉。

のこり50mというところで、クロノジェネシスがあっさりと交わしていきます。
ユニコーンライオンが二枚腰でもう一段階伸びてきますが、比ではありません。

クロノジェネシスが堂々のゴールイン。
三馬身差で二着に入ったのはユニコーンライオン。三着レイパパレ。

余裕すら感じられる圧勝劇

鞭をつかったのは残り200mでの2回連続だけ。
余裕すら感じられる勝利で宝塚記念2連覇、グランプリレース3連覇を達成しました。
道中3,4番手から、最後は完璧の仕掛けどころ。貫禄ある勝ち方です。
レース後のインタビューではルメール騎手は「フランスで活躍できる」と明言しました。凱旋門賞への登録がありますので、それを意識してかのことですが、父バゴは凱旋門賞馬です。日本の馬場で結果を出し、なおかつフランスの馬場にもきっと合うはずと確信めいたインタビューでした。
ルメール騎手の確信は割と当たると思っています。

いや、今回こそ、信じてみたい言葉でもあります。

名実ともに中距離の女王となったクロノジェネシス。
花の都パリで偉大な父に並べるのでしょうか。
きっとフランスのファンも彼女の活躍を楽しみにしているでしょう。

あなたの夢はなんですか? と問われる夢のグランプリレース宝塚記念。
クロノジェネシスの勝利はこれからの夢をみたくなるレースとなりました。


春の総決算、宝塚記念で上半期の競馬はしばらく夏のローカル開催がはじまります。それにあわせて、当コラムもしばらくお休みして、大きなレースだけとりあげるつもりです。

また、お会いしましょう! ここまでお付き合いありがとうございました!



追伸

奇跡は起きませんでした。

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