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雨馬場に輝く、新ヒロイン 2021大阪杯

雨に泣き、道悪に笑う。
勝ったのは三冠馬ではなく、短距離女王でもなく、まだ5戦目のキャリアの牝馬でしたーー。

しばらく更新をサボっていましたけど、再開しようと思います。こんにちは。元気にしています。
さて、最近はウマ娘というゲームが流行っているようで今まで競馬に触れていなかった方が今回の大阪杯を機にレースに注目する、馬券を買うといったことが見受けられるようですね。
たくさんの方に魅力あるレースが伝わるといいなと改めて思うところです。

春の中距離G1「大阪杯」

大阪杯は春の中距離G1決定戦です。かつては産経大阪杯と呼ばれ、天皇賞へ向かうためのステップレースでした。
距離がちょうどよく、有力馬が集まりやすいことからスーパーG2と呼ばれるくらいの格のあるレースです。
G1になったのは5年前。初代王者はあのキタサンブラックです。
阪神競馬場2000mを舞台に今年初のG1ファンファーレが軽快に響きます。

三冠馬と短距離女王の対決

今レースの見所はなんといっても三冠馬コントレイルの春緒戦、対決するのは短距離女王グランアレグリア。まずはこの2頭の対決が大きなヤマで、次にコントレイルのライバルと称され皐月賞、ダービーでコントレイルの2着だったサリオスの逆襲なるかというところです。
自己条件を無敗でここまで勝ち進んだレイパパレには強い上記3頭にどこまで迫れるかの試金石、といった具合です。

有力馬紹介

コントレイル
2020年のクラシックを大いに盛り上げた無敗の三冠馬です。当時無敗同士だったサリオスに土をつけた皐月賞、さらに差を広げたダービー。アリストテレスとの死闘を繰り広げた菊花賞。父ディープインパクト以来の無敗の三冠を達成しました。古馬との対決はジャパンカップ最強牝馬アーモンドアイに挑み、惜敗。
2021年以降の活躍を期待され、今年のレースは全部勝ちたいと鞍上福永騎手もインタビューに応えていました。その2021年、緒戦。

グランアレグリア
快速牝馬、2020年の最優秀短距離馬です。アーモンドアイをぶっちぎった安田記念、秋のスプリンターズステークスも難なく勝ち進み、マイルチャンピオンシップも勝ちました。相手が牡馬だろうが最強牝馬だろうが強い競馬をしました。今回は初の2000m、相手は三冠馬。どんな競馬をするのか楽しみです。

サリオス
2歳で朝日杯を制し、3歳時は皐月賞まで無敗でコントレイルの最大のライバルと称されていましたが、皐月賞2着、ダービー2着と三冠馬の引き立て役になってしまいました。しかし、菊花賞は距離が長いとして毎日王冠を選び、古馬との対決を圧勝。実力は本物かと思われましたが、マイルチャンピオンシップでは5着と惜敗。年明け緒戦、同世代のチャンピオン・コントレイルとの再戦で成長力をみせたいところです。

レイパパレ
もしかしたら、デアリングタクトの三冠を阻止していたかもといわれていました。3歳1月にデビューし、1勝クラス、2勝クラスを楽勝し、運命の秋を迎えます。3勝クラスの賞金で秋華賞の出走登録をしますが、あえなく落選。秋華賞の同日にまるでここは私の居場所ではないとばかりに3勝クラスを圧勝します。その後、年末に朝日チャレンジカップを勝ち、実力の片りんをみせつけます。秋華賞での対決は幻となりましたが、4歳春初戦はいきなりのビッグネームとの戦いです。

ワグネリアン
福永騎手にダービーをプレゼントしたのちに2019年の明け4歳馬として大阪杯に出走し、3着。天皇賞秋5着、ジャパンカップ3着と惜しいレースが続きます。2020年、もう一度大阪杯に挑戦し、5着。
今年も強敵揃いですが、ダービー馬の意地をみせたいところです。

雨が降りしきる、泥んこ馬場で

勝負の行方を左右する要素の一つ、それは天気です。
雨が降り、馬場が重くなると、下馬評が一変することになります。
そして、この日はいつからか必ず雨が降る、という天気予報の下、午前中は降らず、ソワソワしながら見守っていると午後から本降りの雨。時間が経つにつれて雨の勢いは強くなり、気づけば馬場は重馬場に。波乱の予感がじわりと歩み寄ります。

レースはテレビカメラも水滴がかかるほど激しい雨。スタートはサリオスが内枠からハナを主張しようとするところにワグネリアンとレイパパレ、ハッピーグリンが先行争いに加わります。水しぶきと泥が舞う中、レイパパレが先頭に立ち、1コーナーをまわっていきます。注目のグランアレグリアは5番手、コントレイルは後方よりの9番手といったところでしょうか。

2コーナーをまわるくらいには隊列が決まります。先頭はレイパパレ、2番手ハッピーグリン。後ろにサリオスとワグネリアンが並びます。2馬身切れて、単独で走るのはグランアレグリア。それから3馬身以上離れて、クレッシェンドラヴとアドマイヤビルゴ。直後にアーデントリー。アーデントリーを外からかわしていこうというのがコントレイルです。その後ろにモズベッロ、カデナ、ブラヴァスと続いて最後方がペルシアンナイトです。

1000m通過が59秒8。
馬場を考えるとけっして遅くはないタイムです。

内回りコースに入って、レース後半に入ります。
ラップが加速していくのか、馬群がぎゅっと詰まりはじめます。
3コーナーの入り口でコントレイルが動きます。加速していき、番手をあげていく。馬体を合わせるのはグランアレグリア。
待ってましたとばかりのシーンが展開されます。
コントレイルとグランアレグリアの2頭とも手ごたえ十分で4コーナーでサリオスに並びかけ、先頭を走るレイパパレをけん制します。

4コーナー、サリオスは内ラチ沿いに、レイパパレは馬場のいいところに持ち出します。追いかけるのはコントレイルとグランアレグリアですが、コントレイルの加速が少し遅れます。その後ろから迫るのはモズベッロです。
先頭はレイパパレ、弾むように伸びていきます。直後にコントレイルとグランアレグリア、内ラチ沿いにサリオス。やはり実績馬が最高の競り合いを演出します。
残り200mを切っても、レイパパレの脚色は鈍りません。コントレイルとグランアレグリアの道悪のせいか、切れ味が今一つ。ゴール前100mでサリオスは力尽き、そこに襲い掛かるのはモズベッロ。コントレイルとグランアレグリアは3着争い。

レイパパレは余裕のゴールイン。

なんと三冠馬に4馬身以上の差をつけて逃げ切って勝ったのは4歳牝馬レイパパレでした。ぬかるんだ馬場もものともせずの圧勝でした。

総括

道悪のなせるわざなのでしょうか。しかし、最後の直線勝負は役者がそれぞれの力を発揮した名勝負となったのは確かです。レイパパレも試金石といわれながら、その実力をフルに発揮できた最高のレースだったのではないでしょうか。いかに道悪が得意でも、三冠馬に勝つことは容易ではありません。

秋華賞での除外の悪夢から半年、新しいヒロインは実力で栄冠をつかみました。今後、デアリングタクトとの共演も楽しみにしたいところです。

また、コントレイルとグランアレグリア、サリオスは今後の進路に変更があるかもしれません。今度は晴れた日での対決をみてみたいところです。

春の中距離決定戦は”意外な”無敗馬が新しい歴史をつくったレースとなりました。

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