自分が考える批評の目的と手段とは何か

1. はじめに

前々回
https://note.com/mistforest/n/n471a2edfffc3


前回
https://note.com/mistforest/n/n8c7454f841c5

と批評をネタに書いてきたけど、ここまで書いてきて実は批評とはなにか、何を以て批評というのか、何のために批評をするのか、という命題が定まっていなかった気がする。
そもそも最初の記事に上げたとおり、批評の手引書は本当に一冊も見当たらないので仕方がないといえば仕方がない。

そこで私が見様見真似でやっている批評についての考え方、取り組み方を公開したいと思う。
ただし私の無手勝流なので違うと思うことは有ると思うが、その場合は是非読者流の批評の流儀を見せてもらいたい。

2. 目的について

2.1. 読者の作者に対するカウンター

創作というのは暴虐的なテーマを度々扱う。
それらに対する読者側からのカウンターとしての批評である。
一種の反論も含むし、単純に相聞歌的な共感としての手段の側面があるともいえる。
いわばコミュニケーションにおける読者からのレスポンス全般と考えていい。

2.2. 創作者の必要条件

私の場合は少し事情が異なる。というのは創作を行っていて、その目的論も含まれるからである。
「優れた詩人は優れた批評家であるがその前提は必ずしも真ではない(ボードレール)」という言葉が示すとおり、創作者にとって批評のスキルは必要条件に含まれる。
批評のスキルの向上がそのまま創作のスキルの向上にもつながるからである。
例えば芥川賞の選考委員は皆作家であり、批評家が実は一人もいない。
だからといって批評が手薄かというとそんなことはない。
文藝春秋の芥川賞受賞掲載号の選評など見てみたら分かると思うが、下手な受賞作より面白かったりする。(個人的には村上龍の批評が特に面白い)

3. 手順

テンプレート、フレームワーク、ガジェット、モチーフと分解していく。
最後にテーマを見抜く。大まかな流れはこの通り。
テンプレートとフレームワークは散文だとあまり見ないかもしれない。
例えば「異世界」「チート」「ハーレム」とはモチーフである。
間違ってもテーマではないし、間違いやすいがテンプレートでもない。
ガジェットはSFやファンタジーだとよく凝られたものが出てくる。
重要なのは人間の生活はガジェットによって大きく変わるので、その点は留意されたし。
探偵小説についての批評は割愛する。というのはこの領域は乱歩の頃から意見が割れに割れている。

モチーフは同じであっても異なるテーマは当然描ける。というか美術家なら当たり前にやっている。
また逆に同一テーマでモチーフを変えることもある。

分解、整理後に
この時モチーフと構成以外に言及しない。なぜなら自明だからである。
テーマとは作品の真の名前であり、言い換えれば表題は仮の名前と考えてもいい。

4. 最後に

最後に批評とは何かというと、作品を完全に理解し尽くすこと、作者を激烈にムカつかせること、即ち作品を支配することである。
「二番目にムカつくのは理解されないこと、最もムカつくのは理解されること(村上龍)」
「げに知るということは殺すということと似ている(三島由紀夫)」

また逆に批評家や読者を批評、格付することは作者の権利であるということも付記しておく。

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