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友人の結婚式の余興をめちゃくちゃ盛り上げるための心得

友人の結婚式に呼ばれるとほぼ必ずと言っていいほど余興を頼まれる。道でキャッチしているお兄さんとかもすごく馴れ馴れしく声をかけてくれるので、おそらく物事を頼みやすい顔をしているのであろう。そして頼まれたら断らない性分ゆえに、友人代表スピーチや二次会の司会等も含めると既に10回以上は何かしら引き受けたことになる。あがり症で足や声が震えるのにも関わらず引き受けるのもどうかしているが、それを知っていて頼む方もどうかしている。

今時ググればなんでも調べられる時代、まとめサイトに上がっているようなフレームワークでさっさと仕上げればいいのに、せっかく頼まれたんだからといって結構真剣に取り組んできた。違うコミュニティの結婚式なら同じ台本を焼き直せばいいのに、真面目に向き合い毎回新作を書き下ろしてきた。死ぬほどウケた時もあるし、めちゃくちゃスベったこともある。緊張しすぎて吐きそうになったこともある。とにかくたくさんのことを経験してきた中で、せっかくだからこれから結婚式の余興に挑まれる若い人にこの経験を伝えたいと思い拙いながら筆をとった。

はじめに

結婚式は当の2人にとって人生の大イベントの1つである。そんな大イベントの余興を頼まれたのだから、しっかり準備して大いに盛り上げたいところである。ウケを狙っても良いし、感動の涙で包んでも良い。正直なんでもありである。だがこれがかえって難しい。新郎新婦の親族・同僚・旧友が一同に会する中の余興は、自分の知り合いばかりが参加する忘年会の余興とは少し雰囲気が違うので、なかなか思い通りにいかない。だからこそ、事前の準備が大切である。

ここでは、結婚式を盛り上げて友人との素敵な思い出を増やすために、いくつかポイントを挙げながら準備の方法を解説していく。なお、この記事を読んだからといって必ずしも余興が盛り上がることを保証するわけではないし、スベり倒してかえって良い思い出の1ページが追加されることもあるので、気負わず気楽に読み進めていただけると幸いである。

ポイント1.新郎新婦ファーストに進める

まず外していけないのは何があっても新郎新婦が主役ということである。盛り上げようという気持ちが強すぎるあまり、バカ騒ぎしてお酒を一気飲みして粗相なんてした日には目も当てられない。その場で親族に盛り塩されることも覚悟せねばならない。

禁忌が3つある。1に下ネタ、男子にはウケること受け合いだが無論新婦側の列席者にとっては不快極まりない。まれに下ネタ好きな女性もおられるかもしれないが、祝いの席だけに笑うに笑えないだろう。初めは笑っていたお察しの良い男子達も次第に場の空気を感じてあーやっちまったなぁ感を演出する。そもそも新郎新婦の大切な人が集まる場で1人でも不快な思いをするならやめとけという話である。新郎を脱がせたり新郎の恋愛遍歴をいじるのも同じくらい罪深い。

2にアルハラである。飲み会のノリで新郎に沢山飲ませたくなる気持ちはわかる。新郎が飲むと盛り上がること間違いなし。しかし、余興の後も披露宴は続く、しかもどちらかというと感動フェーズに差し掛かっていく中で新郎がベロベロになってしまったら、、、それはそれで面白くなることもあるが避けるに越したことはない。特に極度の緊張状態の中お酒を飲むと普段強い人ですら潰れているシーンを何度も見てきた。炭酸オレンジジュースをビールに見立てるくらいのホスピタリティと余裕を持ちたい。

3に内輪ノリである。サークル内だけで流行った言い回しやノリはそこでしか盛り上がらない。必然会場の80%以上の人が???となって大体変な空気になる。これに1,2の禁忌が合わさると惨劇である。黒歴史すぎて思い出話にすらならず自らの走馬灯にのみ出現することになる。というかその場で走馬灯が見えるかもしれない。意図的に変な空気にして新郎だけが笑っているという空気感を楽しみたいという変態じみた願望があるなら仕方ないが、想像の10倍くらいの変な空気になるので覚悟が必要である。

フィンガーボールを飲んでしまっても周りに嘲笑されて自分が傷つくだけだが、祝いの席で新郎新婦やその大切な人が傷つくことは避けねばならない。いきなり〜するべからずから入るのもイマイチだがそれくらいここは基本中の基本なので心に刻んで欲しい。

ポイント2.共通の話題で掴む

結婚式の余興において一番難しいところは親族と職場の同僚と大学や高校の友人全てが共通して笑う/泣くようなコンテンツに仕上げる必要があるというところである。老若男女幅広いウケがいるのでM-1グランプリというよりは笑点の方が感覚としては近い。なので参加者全員が共通してわかるネタで行くのが定石である。

まずもって鉄板はお祝いムービー。新郎新婦の友人からお祝いのメッセージを集めて繋いで流す。新郎新婦を祝うために集まった人たちが見るわけなのでまぁまず間違いなく盛り上がる。式に来ていない高校や大学の恩師や、長らく会っていない友人、さらには新郎新婦のご両親からサプライズメッセージをゲットできれば新郎新婦も大感激である。

次はその時の流行りネタ。芸人のリズムネタなんかがちょうど良い。一昔前はピコ太郎で今であればTT兄弟あたりがよいだろう。ダンスなら昔恋ダンス、今パプリカといった感じだ。正直新郎新婦にはほとんど関係ないが、老若男女みんなが知っているという点で圧倒的に強い。

最後は新郎いじりである。新郎新婦の馴れ初めや新郎の変な癖など、とにかく新郎が恥ずかしくなるようなエピソードや新郎あるあるで攻め続ける。愛のあるいじりやあるあるで大いに盛り上がるであろう。この点は笑点で春風亭昇太いじりが盛り上がるのと構造的にはほぼ同義である。なお言うまでもなく、禁忌を侵さないことに細心の注意を払って台本を書かねばならない。

ちなみに、全員参加型のクイズとかは意外と盛り上がらない。すごく張り切ったチームが爆笑をさらいまくるのはまず稀で、勢いあまって変な回答して変な空気になるか、置きにいった普通の答えが出揃って世界不思議発見みたいになる。余興を頼まれたものの責任として自らが体を張って盛り上げる覚悟を持たねばならない。

ポイント3.会場のルールを守る

最後のポイントは、会場のルールに従うと言う社会人にとって当たり前のことである。事前に言われた〆切を守る、当日の時間を守る、尺を守る、食べ物を持ち込まない、入ったらあかんとこに入らない、台本と違うことしないなどなど。

余興を頼まれた側は余興がメインイベントになるが、会場サイドや新郎新婦、さらには他の参加者とってもあくまで1つのアミューズに過ぎないということを忘れてはいけない。基本的に会場側も式を良いものにしたいのでこちらの要望に応えようとしてくれるが、それに甘えて無理な要求をしたりルールを守らないなら、やらないほうがマシである。

また、動画を持ち込んだり音楽を流したりする場合も当日合わせりゃ大丈夫だろうという軽いノリでいくと危険である。何度も言うが余興は当日のアミューズの1つでしかない。その他の段取りなどで当日は会場サイドも大変なのである。漫才のようにほぼ何も事前提出物がないネタでいくなら問題ないが、事前に言われた期日にきちんとDVDや台本を提出して確認してもらって、当日は立ち位置とか流れをざっと司会と相談して決めるくらいのスマートさがないと、せっかく準備したのに当日動画が流れないとか台無しになってしまう。そんなスポイルな展開はあり得ないと思っているが稀に見かけるし油断しないほうが良い。

おわりに

以上、新郎新婦を全力でお祝いして余興を盛り上げる上でのポイントをまとめた。いや、言われなくてもわかってるよというような基本的なことをあえて言った。それは、余興を考えているうちに楽しくなってきて忘れてしまうような当たり前のことは、結婚式というお堅いイベントにおいては許されないような失敗に化けるという恐ろしさがあるためだ。ふざけ過ぎた結果、新婦や新婦友人に嫌われ、2人の新居に遊びに行くどころか一緒に飲みに行くことすら嫁に気を遣って拒否される事態すら起こりうる。それは怖い悲しい辛いことである。

次回は具体的に楽しい余興を作るプロセスの解説に入る予定だが、書いているうちにまた当たり前のことを書いてしまったらすみませんが、当たり前のことを当たり前にできる人こそ余興を頼まれるべきである。と私は思う。

自分の経験したことを文章にしていくことで、誰かの役に立てたら嬉しいとか、ただ書くことが楽しいとか、そういう風に私はなりたい。