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旦那が猫に堕ちたとき【保護猫はロシアンブルー•日常編⑩】

とうとう聞いてしまった。
我が家の保護猫・ぐりに対して、赤ちゃん言葉を使っている旦那の声を。

いや、その前から兆候はあった。
ぐりに情が移らないよう、あえてぐりの名前を「ねこ」と呼んでいた旦那。しかし最近は帰宅時にぐりが玄関に来ないと、「ねこが迎えに来てない‥」などとボヤくようになっていた。

ちなみに旦那の帰宅時にぐりが玄関にいるのは、決して迎えに行っているわけではない。
スキを見てドアの隙間から脱走するためだ。
旦那とてわかりきっていることなのだろうが、ぐりが玄関にいることにどうしようもない嬉しさを感じ始めていた?

ぐりはよく知っている。
旦那が無防備にドアを開ける人間だということを。だからいつも旦那の車の音がすると玄関に走っていくのだ。

少しずつ、少しずつ旦那の心をトリコにしていったぐり。猫ってすごい。

「どちたのー?お腹空いたのー?」
齢50の旦那の声に笑いを噛み殺しつつ、必死で耐える私。

「猫の名前呼ばない作戦」は大敗を喫した。
猫にそんなちょこざいな作戦は通用しないのだ。

「カワイイ」は最強の武器、というのを思い知らされた日だった。

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