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お知らせ

 六月になりました。陽射しに汗ばむ毎日です。けれども朝夕は風がつめたく、半袖で出歩いてしまったことをいつも後悔しています。
 私は夏のために生まれてまいりました。だから夏がくるたびに離れ離れになった恋人に奇跡的に再会したような気分になるのです。それは情熱的なことにはちがいないのですが、同時にそれが永遠ではないことに、いつも心痛めるのです。
 終わってしまうくらいなら、始めから夏なんてこなければいい。……そんな風に割り切ってしまえるほど、私は大人になりきれません。ただ、いつのまにか忍び寄って、そうしてあっというまに立ち去ってしまう夏というやつが、少しいじらしかったりします。
 夏がきた。それは、夏の終わりが始まったということです。ああ、行かないでくれ、これから毎日乞うのでしょう。届かない空に手を伸ばし、叫んだ声は蟬時雨にかき消され、面影は陽射しの中に吸い込まれる。
 夏は気の強い少女のようだ。毎年毎年、上手に口説けずにいる。今年はどう付き合おう。どこに行って何を食べて、どんな風に眠ったら夏は行かないでくれるだろう。答えのわからない日々を、私は今日も歩いてゆきます。

 さて、そうした夏とのかかわりの中で、私の叶えたいことはいくつもあるのですが、そのうちのひとつに文章を書くということがあります。夏は文学の季節だと思っています。夏になると、私はやけくそに文章を書きなぐってしまいたくなる性格をしているのです。いつもはひとりの部屋で読まれるあてもない文章を貧しく書いているのですが、今年は幸いにして、同じく文章を書くことの好きな方々のお仲間に入れてもらえる次第となりましたので、ご報告いたします。
 「モノカキ★プロジェクト」と申しまして、これまでいくつかのイベントでnote内の小説界隈を盛り上げてきてくださった海見みみみさんの主宰されている同人サークルです。参加されている顔ぶれを拝見いたしますと、人を楽しませることに手抜きのない方々ばかりで、そんな中に私のような個人の感情の漏洩をひたすら繰り返している者を加えてよいのかという不安はありましたが、せっかくお誘い戴いた、またとない機会だと思い、お断りするような真似はいたしませんでした。
 まずは今冬に同人誌を発行するそうで、みなさまぜひご期待ください。私以外のすべての方の文章に、特にご期待ください。それでは、素敵な夏になりますように。

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