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アリさん

公園のすみっこに


アリの行列がゆく
一心不乱に列をなして
黒い音符を描くように


行く手をはばむ石ころ
大きな砂山もそのまま
うねうね歩みを止めることもない


アリの行列が迷う
途中に出会うクッキーの粒つぶ
妹のポロポロこぼすクッキーの雨


ちょうど三時のおやつどき


よろこび勇んで行列を
抜け出した黒いアリさんたち
甘い粒つぶをお口にくわえたまま


そのとき。。


靴が降る
四歳の妹の巨大な
その靴がアリの行列に落雷する


命からがら逃げ出す黒い君たち
同調圧力は霧散した
妹の靴が次々と破壊する


幼い妹よ
アリさんの家族がおうちに待つのだ
踏んではいけないよ


きょとんとした妹の
コクリうなずくおかっぱに
夏の光のつぶがはねて


幼い兄はアリの行方を
じっとみていた
あぁ、痛かったろうに


あんなにもみんなが行列をなして
あんなにも働いていたのに


おかっぱの髪に
やさしいそよ風が吹くとき
にっこりと


きみは命の大切さをきっと知ったのだろう




やさしい母親になったな

いただいたお気持ちは、noteの街で創作に励まれている次の方へと循環させていこうと思います。あなたの作品を見たいです。ありがとうございます。