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探り合い①

月曜日。

真一は起きると昨日の事を思い出して溜息ひとつ。

とりあえず学校に行く準備をするが翔の事が気掛かりで作業が億劫になる。

自分には何も出来ない。

そんな考えしか浮かばない。

それでも数少ない手掛かりから少しでも翔の為になりたい。原因がサッカー部にあると考えるも近付く理由がない。

どうしたものかと思いながら手を進めていた。

会話のない食卓で何となく朝食を口に入れて家を出る。もう何度も繰り返しているのに今日が一番全てに対して物事が前に進まない。

家を出て、少し歩くと麗がいる。

「おはよう。」

明るい挨拶に真一も挨拶を返す。

麗にとっては何も変わらない日常でただ自分がいつも通りに振る舞えばいつも通りになるが学校に着けば翔のいない事に気付くだろう。

昨日の話では意識が戻らず重体と大事は言えないので数日の間はとりあえず熱が出ているから休む事にすると翔の母親は話していた。

麗は翔が意識不明な事を知らない。いない理由は熱が出てると統一した方がいいと判断した。

「今週末だね。翔のサッカーの試合。一緒に応援しに行こうか?」

「えっ...あっ...あぁ...。」

「約束ね。破ったら許さないんだから。」

咄嗟の会話につい行けると答えてしまった。そしてそれからも麗は翔のサッカー部で頑張っている事を話し出していた。

「...それでね。初めてのレギュラーだって喜んじゃって。いっぱい努力したもんね。後ろの方だけどシュートして点数入れちゃうかも。」

自分の事の様に嬉しそうに話しているがその反面、真一は明るく返事する事は出来なかった。

「...あとね...。」

「ちょ、ちょっと待って。」

真一が急に発した言葉に麗はピクリと止まった。

「...?どうしたの?」

「あんまり翔にプレッシャーを掛けるのは良くないって。試合で上手くいくかもわからないのに期待値だけ上げすぎるのは良くないって。」

「それもそうだね。すっごく楽しみだからテンション上がっちゃった。」

「程々で頼むよ。」

それからは授業について話している間に学校へ着いた。

そして2人を屋上から結奈と静香が見ていた。

「やっぱりいない。朝練にも姿が無かったから普通に登校すると思ったんだけど...休み...かな?」

「...とりあえず休んだ理由を明確に知っておかないといけないわね。」


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