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観月 静香③

喫茶店に入り、向かい合わせになって2人は座ると店員が水を置いた。

「私、メロンソーダフロート。」

結奈はメニューを見ずに頼むと静香は焦って、

「ア、アイスコーヒーで。」

とこの店のメニューを見る事なくコーヒーならどこの喫茶店にもあるだろうと思って頼んだ。静香は喫茶店なんて来たのは数回程しかなかった。静かな雰囲気だが周りは勉強していたり、会話を楽しんでいたり、ここでの過ごし方は人それぞれであった。

「ご注文繰り返します。メロンソーダフロート1つとアイスコーヒー1つでお間違いないですか?」

結奈は返事をすると店員は行ってしまった。

「観月さん、アイドルエデン好きなの?」

「好きになったのは最近なんだけどアニメは今までのは全部見たわ。その中でも今日の話は最高だった。先週の続きがずっと気になって仕方なかったの。それで見たらフィギュアのCMが流れて、買いに行かずにはいられなくてここに至るって感じ。」

「私も私も。今日の話は良かったよね。アサミのフィギュアも手に入って安心したよ。」

「こういうのって発売日におもちゃ屋に行ったら手に入るんじゃないの?」

「そんな事ないよ。人気の子の限定ドレスとかは手に入り難いし、すぐに転売されちゃうから結構大変なんだよ。アサミのフィギュアも絶対に人気だと思ってお母さんに車出してもらったの。」

「あんまりこういうのに詳しくないからこれからは気を付けなくちゃ。」

「もしかして初フィギュア?」

「えっ、そうだけど...アイドルエデン見始めたのも先週からだし...。」

「えーっ!!じゃあ1週間で今までの全話見たの!?」

「先週の話を見たら面白くなっちゃって。これから色々と遊んでいけたらと思って。」

「じゃあゲームもまだなんだね。」

結奈は鞄からファイルを取り出して開くとカードがびっしりと詰まっていた。

そこから何枚か取り出して、

「これダブってるからあげるよ。アサミは次の弾から来るみたいだからとりあえずこれで楽しめると思うから。」

と静香に渡した。静香はキラキラしたカードを見るとドレスやアクセサリーのカードでこれがゲームで使えるのだろう。

「ありがとう。ゲームやってみるね。」

それからも飲物を飲みながらアイドルエデンの話を終始していて結奈の母親から電話が来ると2人は携帯電話の番号を交換し、喫茶店を出た所で別れた。

そこから静香はせっかくなので玩具売場に戻りゲーム機体がある場所に行くと6台も並んでいた。

静香は『さすが人気ゲームね。』と思いながら空いていた機体に座った。100円を入れてプレイすると自分のアバターを登録する画面になり、静香は登録を済ますとゲームが始まった。

結奈に貰ったカードを登録するとアバターはそのドレスとアクセサリーを着けてリズムゲームが始まる。結奈は自分がゲームの世界に入ったかの様にリズムゲームを楽しんだ。

その時間は一瞬でゲームが終わるとカードが一枚出てきた。見てみるとキラキラしたアクセサリーのカードで最高レアリティのカードだった。

もう1度したいと思ったが後ろを見ると順番待ちの人間がいたのでもう一度する事を諦めて家へと帰る事にした。

その道中でゲーム中に流れた歌を歌いながら歩いていた。

そこから静香は結奈とよく話す様になる。

一緒にゲームをしたり、買物やライブに行く様になった。

静香は初めは結奈がいれば自分のアイドルエデンの欲求を満たせると利用する気持ちで近付いていたが結奈は裏がなくいつも正直な所にいつの間にか人間として惹かれていった。

そんな中だった。

結奈が、

「ねぇ、本当にアイドルエデンの中に入って自分がアイドルになれるとしたらどうする?」

静香はその言葉を聞く限り、結奈は『もしも』の話をしているのだろうと思った。

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