告白③
昼食時、翔は席を立ち1組へと向かった。
真一の前まで来ると、
「なぁ、今日は一緒に昼飯食べないか。」
真一は疑う事もなく「いいけど...。」と素っ気なく返事をした。
「どこで食べる?」
「とりあえず屋上にでも。」
「あぁ、わかったよ。」
2人は屋上にあるベンチに座ると昼食を食べ始めた。翔はパンを頬張りながら、
「何か急にごめん...。」
と落ち込みながら話し出した。
「まぁ、初先発レギュラーだから緊張でもしてんの?」
「いやそういう事じゃなくてさ...真一は麗の事ってどう思う?」
真一は間髪入れずに、
「幼馴染だろ。翔も。」
クールに言葉を返すと翔は少し動揺しながら、
「そ、そうだよな。俺達は小さい頃からの幼馴染だよな。そうだよな...ハハハ...。」
不器用に笑っていると、
「でももし翔が麗の事を女性として好きになったら教えてほしい。」
真一は翔の考えている事を察してそっと呟いた。
「...いやまだそれはないよ。」
「そっか。俺は翔なら麗と付き合っても何の問題はないと思ったんだけど。むしろ今後、もし麗が誰かと付き合うなら翔がいいと思うな。」
「...真一は麗と付き合いたいとは思わないの?」
「俺は...いいや。今は誰かと付き合いたいとか思わないから。もし翔と麗が付き合って、今までのこの関係がなくなっても、それはそれでいいと思う。それよりも麗が他の男と付き合ってもきっとこの関係は終わると思うんだ。だったら俺は翔と麗が付き合えばいいと思う。」
真剣に話す真一に翔は、
「俺は麗は真一と付き合えばいいと思ってたんだけどな。...何か麗の押し付け合いみたいだな。」
真一はふふっと笑いだすと、
「こんな感じだからこれまでやってこれたんだよ。これからもずっとこんな感じだろうな。麗がどう動くかずっと待ってたらすぐにみんな年老いていきそうだ。」
「その時は3人で日向ぼっこでもしたらいいんじゃないかな?」
「そんな老後を夢見てたら誰も結婚できそうにないな。」
「そうだな...。こうなったらお互いに麗以外の彼女でも作るか?」
翔は冗談混じりに言うと真一は少し俯き加減に、
「...それはいいや。俺達が他に彼女作ったらきっと麗は1人になってしまうから。翔が他で彼女を作るなら俺が麗と付き合うよ。翔は自分の好きにしたらいい。」
と言うと、翔は今朝もらった手紙の事を言い出せなかった。
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