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すれ違う心②

「あっ...先輩...?」

結奈は消えていく翔に近寄ろうとしたが間に合わなかった。

「今のって結奈が消したんじゃないの?」

慌てふためく結奈の後ろから静香が歩きながら聞いてきた。

「違う...私が消したんじゃない。」

「じゃあ先輩が力を使い過ぎたって事?」

「先輩は何も力を使ってないよ。元々、心の力が弱過ぎるからあれ位で力尽きて消えちゃったって事?」

「そう考えるのが自然な所だけどこの世界は長時間、居過ぎても力は消費される。だけど先輩は力も使ってないし、結奈がこの場所に誘導したからここに居た時間も長くない。やっぱり心の力の容量が少ないのかしら...?それとも心が弱ってる?」

「ちょっと追い詰め過ぎたかな?」

「かもしれないわね。やり過ぎは良くないって事ね。ここで力を消費し過ぎて消えた時、私は学校休んで1日中寝た事があったわ。」

「じゃあ明日は先輩は学校を休むのかな...?」

「結奈のせいでね。大事な試合も近いのに...可哀想。」

「そんな!言い過ぎだよ!私だって先輩が消えるまでしようとは思ってなかったの!」

「冗談よ。すぐにムキになるんだから。それよりも明日もし先輩が学校に来たら注意して見た方がいいのかもね。本当に力尽きて消えたのかを確認するためにも。あと、自分でこの世界から出る方法を知っている可能性も考えられる。先輩には悪いけど私のモルモットになってもらわないと...。」

「そんな言い方良くないよ。先輩をこの世界に入れたのは私を知ってほしいからなんだから。」

「結奈、この世界は分からない事がまだまだ多すぎるわ。2人で作る世界なんだから全てを把握しておかないと先輩どころかいつか私達もこの世界に飲まれるわ。」

「静香は少し考え過ぎだよ。お婆ちゃんは私が不幸になる為にこの世界をくれたんじゃないんだから。まぁ、ちゃんと把握しておく事は大事だけど根詰め過ぎるのは静香の良くない所だよ。もし静香に何かあったら絶対に私が守るから。」

「...ごめんなさい。少し言い過ぎたわ。」

「ふふふ、聞き分けのいい所は静香のいい所だよ。」

「ありがとう。ごめんね。」

俯く静香を結奈はそっと抱き締めると静香も結奈の腰に手を回した。

『あぁ、結奈...いい匂い...ずっとこのままで...。』


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