告白④
昼休みが終わり、5限、6限と過ぎて行く中で翔は気が気ではいられなかった。
行かないという選択肢も視野に入れてみたが行かなかった所で相手を傷付けた上、どんな噂が流れるかわからないと考えるととりあえず行った方がいいという考えに行き着いた。
それでも翔の考えは今の所、決まっていた。
何で呼ばれたのかわからないが、もし告白されても断るという事。
理由はクラブっていう事にしたらいいと思った。
そう考えていたら少し楽になった。今まで誰からも告白された事なく、バレンタインデーのチョコレートは親か麗からしかもらった事がない。恋愛対象の女性とは縁のない生活をずっとしてきた。クラブも真剣にしたい。だから断るんだ。そう自分に言い聞かせた。
そう考えていると6限が終わり、終礼が終わった。
翔は教科書を鞄に入れると立ち上がった。屋上に向かおうと階段前に来ると萌音が階段から降りてきた。
「あっ、武藤君、一緒にクラブ行かない?」
萌音が偶然会った翔に話し掛けてくると、
「ごめん、ちょっと用事あるから先に行ってて。」
翔は萌音の横を颯爽と駆けていった。
萌音は通り過ぎた瞬間はクラブに行こうと考えたが翔が上に行く事に疑問を持つと追いかけずにはいられなかった。
翔は屋上に出ると萌音は屋上に出る扉を少し開けて翔に気付かれない様に翔の死角になる様に壁を背もたれに身を潜めた。
屋上は誰も居らず、翔はベンチに座って待つ事にした。
鼓動は高まるばかりで屋上の扉が開くと見ずにはいられなかった。
1人の女生徒が現れて翔に近付いて来る。
翔はベンチから立ち上がると、
「遅くなってすみません。私が持田結奈です。」
と結奈は言った。身長は155センチ位でポニーテールと目がクリッと丸くて可愛いのが第一印象だった。
「いや俺も今、来た所だから...とりあえず座らない?」
翔はベンチの端に座ると結奈は中央に座った。2人の間は30センチといった所で翔はその近さに少し驚いていた。
「来てくれてありがとうございます。来てくれないと思っていたので...。」
「いや...何か大事な事だったら大変だしそれはないよ。それよりも話したい事って?」
翔は話を切り出した。
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