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引き込まれた世界の中で①

翔は結奈の告白の後、30分程ベンチに座って考えていた。

『好きって何なんだろう?』

『本当に相手の事を何も知らずの断ってよかったのかな?』

暫くぼんやりとしていたが考えてても答えは出なかった。とりあえずクラブに行く為に立ち上がり屋上を後にした。

そしてそこには萌音の姿はすでになかった。

翔が部室で準備をして外に出るとキャプテンの二階堂がいた。

「武藤、遅いぞ。」

「すみません。呼び出し食らってまして...。」

「そういう事なら仕方ないな...全く、武藤といい筒井といい...アップが終わったらすぐに練習だ!試合まで時間ないぞ!」

「ハイッ!」

翔は準備運動を済ませるとコートに入った。

パスの練習をした後、試合形式で練習していたが翔のミスが目立った。そしてそのまま練習が終わった。

翔は帰宅準備が終わって学校を出ようとすると校門で萌音が待っていた。

「よかったら途中まで一緒に帰らない?」

「あぁ、帰ろうか。」

翔は返事をすると萌音と一緒に歩き出した。

「そういえば今日は調子悪そうだったけど何かあった?」

「えっ...いやこんな日だってたまにはあるよ。」

「そう...試合前だからプレッシャーが掛かってると思って心配したんだけど...。」

「ありがとう。やっぱり高校入って初のスタメンだから緊張してんのかなぁ...。」

「本当にそれだけ?」

萌音は翔に顔を寄せると翔は後退りした。

「な、何でそんなに!?」

「女の勘ってやつ?武藤君わかりやすいから。」

「そんなに?」

「さぁ、それは自分に聞いた方がいいんじゃない?私だったら誰かに聞いてほしいって思っちゃうけど...抱え込んでもいい事ないよ。」

「筒井は凄いな...じゃあ本当に困ったら筒井に相談するよ。」

「うん、待ってるね。」

萌音は微笑んでいた。

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